幹部、アンザー・ギーフォンス
「核が破壊された、だと?」
「はい……我々も想定外でして……」
現帝王―――グルア・フーリスは机を殴った。
横には幹部四人。
「核は簡単に破壊できるものではないはずだ。それを破壊できるとなると……歴史書や、文献に載っている、精霊国最強の剣聖だろう。厄介だ。剣聖並の力を持つ者が精霊国にいる。とても厄介だ……何をしても良い。そいつを特定し、始末しろ」
幹部四人は頷く。
「我々もご協力いたします。帝王陛下」
「期待してるぞ。幹部たちよ」
■
ここは……前世の記憶?
「一同、剣を持てぇええ!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
そんな時期もあったなと、私は思いながら過去に浸る。
「ッ―――」
目の前で人が死んでいく。私はそれを見て心が傷んだ。今も昔もそれはかわらない。
■
「ハッ!!」
「起きたのね」
見慣れた天井が視界に入った。
「ええ。心配しないのね」
「ギルティナなら大丈夫に決まってるし」
「はぁ……それでも、私は人間―――」
言い終える前に、外から大きな爆発音。
「チッ……看病してもらったところ、悪いけど……戦わなかきゃいけないわ」
「止めないわよ。止めたって行くものね」
私は外に出た。この国を囲まれた?
四方向から気配が感じる。
「クソ……帝国の幹部たちね」
「グランド、起きてる?」
『ああ、準備はできている』
では、始めようじゃないの。私の力の一部、をね。
空に、魔法陣が浮かび上がる。それは、何十にも重なる。
「真魔力神界」
四方向に魔力発射口を構築。昔から続く、幹部の家系五人の中の四人。先程会ったアイツが5人目。アイツ以外弱いはず……。倒せるとは思ってはいないが、少しでもダメージ。
グランドを空に向ける。魔力が集まってくるのが分かる。周りの兵士からは「見たことねぇ」や「あれは本当に、ただのハズレ職か?」などと言われる。
「ッ……」
久しぶりなのか、キツイ。目が充血し、額や腕、足の血管が浮き出ている。
無理するしかないわね……。下手したら、しばらく起きないかも。またフィオナに迷惑かけちゃうな。
『100%』
私は笑った。幹部は許さない。誰一人。私の前世で大事な人を殺した家系……そして、民たちを最も苦しめた存在。私は許すわけがない。一生忘れることはない。
これで、殺せなかったとしても、私は必ず……この手で仕留めてやるッ。
「発射ッ!!」
音速を超え、光速の域に到達している。一瞬、いや、常人じゃ何も見えないだろう。数秒後に、轟音が鳴り響く。鼓膜が破れた人もいるかもしれない。
……だが、幹部の気配はまだ残っていた。先程よりは気配が薄くなった。ダメージは入ってい―――
「君かい。核を破壊したのは」
私は即座に距離を取った。一瞬、死が見えた。本能が勝手に作動し、体が動いた。いつからそこに? 全く気づけなかった。
「アンタはの家はどこなの」
「アンザー・ギーフォンスさ」
ギーフォンス。私の前世で大切な人を殺した家ではない。
「なぜ、帝国に従う。もっと自由に生きれば良いものを」
「別に、忠誠心などはないよ。ただ、言われたらやる。ただそれをこなすだけ。昔からそう教育されてきたから。今更変えることなんかできないよ」
「それとね、痛かったんだよ? あの攻撃。今じゃ、ロストマジックになってるよね? あの魔法」
「そうね」
ギーフォンス家、帝国最大の魔法の家系だ。そりゃ、詳しいわけね。
「たしか、真魔力神界だよね。でも、四口あったし、重ねがけが多すぎるし……君の頭、いじりたくなってきちゃったよ! どんな演算能力があるの? 君の頭と僕の頭を合わせたら、世界最強になれるッ! ねぇ? どう?」
「悪いけど、お断りよ。絶対に」
私はアンザーを睨む。
「怖い怖い。せっかく可愛いのに、台無―――」
私は、アンザーの片腕を切り落とした。血がダラダラと流れ出す。そして、腕は細切れにし、魔法でも修復できないようにした―――はずだった。
「あははっ! やっぱり、面白いよ。君は」
バキギギギィィィ、と言う鈍い音とともに、腕がアンザーに生えた。
「チッ……」
「もう、お遊びは終わりだよ」
私がグランドを構えた瞬間には視界には居なかった。気配は後ろに移動していた。もう目は信じてはダメだ。今、本当に信じて良いのは、長年鍛えてきた感と、察知能力だけだ。
ペースが速くなっていく。大剣では速度に限界が来る。
『主はレイピアを要望しているのだな』
自動的にレイピアに、形状が変更された。グランド、お前は本当に優秀な剣だわ。
速度に余裕が出てきた。いつもの戦い方に勝手に戻っていく。崩壊しそうな建物を足場に、地上から離れていく。空中戦になっていく。
「やるね……君。もっと、もっと楽しもうよ」
私と、アンザーはお互いを見た。こいつ、ムカつくわ。
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