生きる国へ行く令嬢
剣士祭から早いもので一ヶ月。実技の成績は飛び抜けて良いギルティナとフィオナ。
そんなある日、フィオナとギルティナの元に一通の手紙が届いた。
「これ、学園からだよね?」
「そうね! なにかしら!」
開けて、手紙を読んだ。
『生きる国―――ブルーウォーム精霊国へ、一年の滞在を命じる』
ただそれだけ。ただ、この国は知っている。なにせ、前世の故郷であるから。
どれだけ発展しているのかを確認、更には王族にまで会えればラッキーだろう。
「ギルティナ!! やったわね!」
フィオナが珍しくはしゃいでいた。
「珍しいわね! フィオナがそんなにはしゃぐなんて!」
「当たり前でしょ!? あの剣聖が最期を過ごした国であり、豊かな国でもあるのだから!」
今では、そんな認識なんだ……。確かに、精霊のお陰で発展したところもあったのだけれど、そんなきれいなことじゃないのよね……。
■
これは前世の話……。
「精霊は悪!! 今すぐ絶滅させるべきだ!」
ギルフォードとしての人生―――その三十年目の時、精霊撲滅運動が起きた。
なぜ、精霊が悪と認識されたのはよくわからない。ただ、一度人の心に悪と感じたものは、いなくなるまで、悪と感じるものだった。
王の話も聞かず、誰の話も聞かない反乱軍。私は王に頼まれ、精霊樹を守っていた。
「剣聖! 通せ! 剣聖の肩書きを持つ貴方が、王国の言いなりなど、もったいない!」
「……だが、精霊がいなければこの国のすべてが止まる……。作物の成長が著しく低下し、天候悪化が激しく、病が起きやすくなる。それでも……いいのか」
「だが、我々は―――」
その言い争いは長く続いた。だが、私は諦めていた。こんなこと言ったところで、変わらない。
結局、私は手を汚した。精霊樹の前で人を殺した。
それが、最初の《人を殺す感覚》だった。
■
「はぁ……」
私は馬車に揺られながら外を見ていた。
生きる国……そして生きる街。それが生きた街という過去に廃れていないか気になるところだ。
私の死後、精霊撲滅運動の再来……それがあったとしたら、状況はひどいものだろう。まだ確信はしてはいけない。後少し……時間はあるのだから。
「ギルティナ! 見えてきたわよ!」
そんな事を考えていたら、フィオナが身を乗り出して指さしていた。
山から見える、ブルーウォームの首都―――《スピリット》
とても大きく、美しい。誰もが綺麗と呼ぶような町並み。すべて私が前世で設計したものだった。
「生きる国……ね」
この国でなにか起きるかはわからない。でも、何が起きてお言いように、万全な状態にしとくのは大事。
さて、どうなることやら。
ギルティナは、少し笑った。




