燃費の悪い令嬢
残り五日を切った。
神の呪いは解けたのか、魔力が練れるようになった。
私からしてはありがたいけど、何故呪いを解いたのか……そこは気になるわね。
■
剣士祭当日。
王都の人口の殆どは、この学園に集まっている。
「ねえ、フィオナ! あの空に浮いている街? みたいなのはなに?」
「珍しいわね……。あれは、優秀な剣士を集めた街よ。選ばれれば、あそこに行ける。完全に、実力主義よ」
「へー」
前世にはなかった。剣技、魔法の質が下がった代わりに、人類の技術が上がったのね。まあ、矛盾だけど。
教会が学園に行けと言った理由……なんとなく分かった気がしたわ。
「あの街に行った人は、完璧超人になって帰ってくるんだって」
私はそれを聞いて、固まった。
完璧超人はアリえない。ならば怪しむしかない。
敵ならば排除する。私はそう生きてきた……。
「そう。私は信じないわ! 行きましょう!」
■
空に浮く街――マータイト。
その操作室から監視している。
「異常個体を探せ……」
黒い服に身を包んだ者―――監視者。教会のマークを付けているため、教会の人間なのは分かった。
後ろから、シスターが出てきた。フィオナとギルティナの天職付与を見ていたあのシスターだった。
「まだ急ぐ時ではありません……。異端な者は排除すべきですが、見分けるのも大事」
「ははッ……人間を実験個体としか見ない上の人間が何を言うか」
「人間全員ではありません。あくまで異端な存在な者だけ……利用するのです」
「へいへい、そうですかよ」
監視者は、学園を覗いた。
「ほーん……上玉がいるな。魔力隠蔽が上手い。その隣にいるやつは魔剣士か」
「……特徴を言ってください」
「銀髪。青い目」
シスターも同じく学園を覗き、探した。
「私が担当したことある人がいました」
シスターは笑った。その目には、なにかおぞましいものが宿っていた。
■
「今年も始まりました! 剣士祭一日目ッ! 今年の新入生はアツいです!」
そんな放送が聞こえているが、どうでもいい。
なぜなら……
「これ美味しいわねッ!! 母国では見たことないわ!」
この食べ物はこの地域では、伝統的な食べ物らしく、一○○○年以上前からあったらしい。
まさか、この国ができる前からある食べ物に会えた。前世の世代に生まれたとなると、嬉しい。
自由に旅ができていなかった前世からして、美味しい食べ物に出会えたのは、大いに嬉しい。
「すごい食べっぷりね……お金はあるの?」
「家からの仕送りがあるから、大丈夫よ!」
「え、ええ。それなら良いわ」
フィオナは、呆れた様子でギルティナを見た後、料理を食べる。
「ていうか、そんな食べて大丈夫なの?」
「大丈夫よ! 剣を振るえば、すぐお腹が減るわ!」
「燃費悪いわね……」
相変わらず元気すぎるギルティナを見て、少し微笑んだ。
「あ、この料理、もう一つお願い!」
「もう、材料がありませんッ!」
屋台の店主が言った。
「えー!!」
「ないんでしょ? もう行くよ」
ギルティナの腕を掴み、引きずって移動する。
「ちょっと!! まだ話し終わってな―――」
「黙りなさい」
ギルティナの頭をぶっ叩く。
「ひぎゃッ!?」
そして、観客席に引っ張られていく。
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