ゼロイチ8
フタコは人差し指で止まった自分の拳を見ていた。
フタコ「っう!な、舐めるな!!」
フタコ(力と速さでは無理だ)
拳に込めた妖力を全身へ等分させた。
フタコ(妖力を体全体に平等に振り分けろ。偏った部分から攻撃の予知をされる。)
ソート、ニア(なるほど。アドバンテージを有利に使ったな。相手が攻撃が出来ないなら防御しかない。それなら、先手を気取られずに攻撃を当てる。それを繰り返し行えば、倒せると思っているわけか。)
フタコは小刻みのステップとジャブでソート、ニアに拳を繰り出した。
フタコ(当たらない。何でよ!一発くらい当たってもいいだろ!)
ソート、ニア「フフッ何でって顔ね。ヒント。私は貴方に妖術を使っていない。」
ソート、ニアはお茶会でもしているかのような顔で婦人のように笑った。
フタコ(まさか!筋肉の動きと重心の移動で避けてる!?)
フタコは動きを急に止めた。
フタコ「ば、化け物…」
ソート、ニア「失礼な子ですね。副長ですよ。」
喉に石が詰まったかのように呟いたフタコをソート、ニアは嘲るようにそう言った。
そのままフタコは降参した。
フタコ「大きな扉だ」
気絶したままのヒノミをお姫様抱っこしたソート、ニアは訓練所に二人を連れてきた。
訓練所に着いてフタコが発した声がこれだ。
ソート、ニア「さぁ、訓練所はこの中です。」
背の高いソート、ニアは両手で抱っこしていたヒノミを猫を抱っこするかのように片腕に移し、もう片方の手で大きくて重そうな扉を軽々しく開けた。
扉が年期の入った音を立てながらゆっくりと開かれていく。
二人は少し高い敷居を跨いで部屋の中に入った。
ソート、ニアは起こさないようにそっとヒノミを綺麗な灰色のカーペットに寝かせて口を開いた
ソート、ニア「さて、訓練所はこの部屋です。あの扉を開けて脱出すれば訓練終了です。」
そう言うとソート、ニアはスタスタと早歩きで扉まで歩き、片手で開いた扉を再び片手で引いて閉めた。
フタコはヒノミの肩を持って揺すった。
フタコ「ヒノミ!起きて!起きて!」
ヒノミは少し眉をひそめた。
ヒノミ「う、うぅん…」
ヒノミは唸り声を上げた。まるで雑巾を絞ったような声だ。
フタコは再びヒノミの頭が左右に大きく揺れるほど肩を揺らした。
フタコ「こら!起きなさい!」
ヒノミ「うあぁ!」
ゴツン!
ヒノミが勢いよく起き上がった為に、顔を覗き込んでいたフタコとヒノミのおでこは低く鈍い音を上げてぶつかった。




