ゼロ イチ9
ヒノミ「痛った〜…」
ヒノミは赤くなったおでこを両手で覆い、足をジタバタさせながらそう言った。
フタコ「ッ〜…」
フタコは声を出さずに、おでこを両手で押さえて悶えた。
大きな扉がチャームポイントの広い部屋で、二人の女の子が互いの個性を出しながら痛みを顕にしていた。
その光景は異常ではあるが、誰から見ても何が起きたかは明確に理解できる。
しばらく悶えていた二人は自らの痛みが薄らいでいくのと同時に、互いのおでこを見せ合い異常がないか確認した。
ヒノミ「ごめんね。フタコ。流石に寝起きだったから、避けられなかった。…」
フタコ「うーうん。ヒノミが起き上がるのを予想してなかった私にも非があるよ。…」
二人はお互いに謝り、気概を取り持ち直した。
ヒノミ「え~と。ちなみに、ここってどこ?」
冷静になったヒノミは現在の自分達の状況が分からない事に気付き、自分を起こしたフタコに単純明快な質問をした。
フタコ「詳しくは分からないけど、ここは訓練所なんだって。私達あの女にあっさり負けちゃって、ここに連れて来られたの…」
ヒノミ「え~。そんなにフタコが落ち込む必要なくない?きっと相手が悪かったんだよ」
ヒノミはフタコの俯いた頭を撫でながらそう言った。
フタコ「そうかな?」
ヒノミ「うん…」
フタコはヒノミの目を上目遣いでジッと見つめた。
僅かな時間だが、沈黙の中、ヒノミはフタコの頭を撫でていた。
ヒノミの少しつり目がかった目から視線を下に向け、息を大きく吸いこういった。
フタコ「まぁ、いいや。」
ヒノミ「いいのかよ!」
ヒノミが関西の漫才師のように突っ込んだ。
新しく生まれ変わったかのように立ち上がったフタコはまた大きく息を吸った。
ヒノミ「とにかく!訓練だろうが、脱走だろうが、ここを抜け出す必要があるね!」
元気を取り戻したかのように瞳をキラキラとさせた。
ヒノミはそれを見て元気を取り戻したことに気づくと、立ち上がり
横に並んだ。
ヒノミ「そうだね!」
ソート・ニア「いいですね。いついかなる時も、あぁ言う目をしている人材は中々見つからないものです」
絵画が飾られている部屋で、椅子に優雅に腰を掛けながら、裏刀副長官のソート・ニアはパソコンに映し出された二人の様子を見守っていた。
もちろん、二人には内緒に設置している隠しカメラによる映像ではあるが。
二人は部屋には誰もいないというのにコソコソと話し合っている。
何か意見が纏まったようだ。ソート・ニアは呆れたように溜息をついた。
ソート・ニア「はぁ…」




