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18.解放祭

誤字脱字、拙い文章すいません。


「うわぁぁ、凄い賑わいですね」


「ええ、殆どの国民が集まってるのじゃないかしら」


「すごい、お店が、いっぱい!」


「ふふ、少し見て周りましょうか」


リリィ、巫女、レースの3人は昨夜ナルハックに上陸した。


そして今日はナルハック最大のイベントが催されていた。


建国祭、解放祭とも呼ばれるそれは国民が国のシンボル、今では守り神のように扱われる元勇者。


神崎 京子に祈りと感謝を伝える儀式でもある。


「…女さん…巫女さん」


「あら、ごめんなさいリリィちゃん。どうしたの?」


巫女は祭りで湧く人々に虚ろな目を向けていた。


「どうしたんですか?楽しくないですか?」


「…ちょっと人混みに酔っちゃったみたい」


「大丈夫、ですか?巫女、さん」


「ごめんなさい、少し向こうで休んでるから、2人で楽しんでて」


巫女は手を振りながら2人の元から去っていく。


「こんな、幸せそうな国っ、吐き気がする」


巫女の呟きは誰の耳にも届いてはいない。


否、巫女は知らない。


リリィが先日の虐殺の中で獲得した数々のスキルを。


【聴覚強化】、リリィが獲得したスキルのひとつだ。


遠くの音が聞こえるだけでなく、聞き分けるスキル。


そのスキルが巫女の呟きを聞き逃さない。


「巫女さん…」


「リリィさん、行こ」


「うん…」


「えいっ」


レースがリリィに抱き着く。


「えっ!?」


リリィは思わず声を上げてしまう。


「そんなに、巫女、さん、が心配、です、か?」


「え、それは、まぁ」


「でも、今、は、私を、見て、くだ、さい」


(わたしはレースの事を何も知らない)


と、リリィはふと思う。


見た目には自身と同じくらいの少女だが、言動はすごく幼い、乗り物に弱く、人を殺す事をあまり躊躇しない。


(そんな彼女の事をわたしはどれだけ知っているのだろう)


「うん、そうだね、2人でまわろっか」


「はいっ!あの、手ぇ、繋い、でも、いいですか?」


「手?いいよ」


「あ、ぁぁ、ありが、とう、ござい、ます!」


レースは感嘆の声を漏らしながらリリィの手を掴む。


(抱き着くのは出来るのに、手を繋ぐのは恥ずかしいのね)




「わぁぁ、リリィ、さん、見て、下さい、美味しそう、な、もの、が、いっぱい、あります、よ!」


「走らなくても食べ物は逃げないわよー」


レースはリリィの手を引っ張り数有る屋台の一つに駆け寄る。


「りんご飴?」


リリィが店の前に立っている看板を見る。


(聞いたことの無い食べ物ね)


「美味し、そう、ですね!」


「おうっ!りんご飴は初めてかい?」


「え、あ、はい」


「そうかい、ならぜひ食べて行ってくれ!このナルハック伝統の食いもんだからな!」


「へぇー、それじゃあ二本貰えますか」


「毎度あり!」


予め巫女から受け取っていたナルハックのお金を使い、リリィは会計を済ませる。



「はい、慌てて食べちゃだめよ」


「わぁぁ、ありが、とう!」


「姉妹仲良くな!」


店の店主が2人の様子を見てそんな事を言う。


「姉妹、じゃ、ない、です」


レースが不満に満ちた声で言う。


「ん?そうなのかい、まぁ仲のいいことはいいことだ!仲良くな!」


レースとリリィは外見的にはほぼ同年代に見えるのだが、やはりレースの言動は幼い印象を相手に与えてしまう。




「あ、美味しい」


「はいっ、本当に、おい、しい、です!」


「レース、口に赤いのが着いてる」


リリィはハンカチを取り出しレースの口元を拭く。


「あ、あ、あ、ありが、とう、ご、ざ、い、ますぅぅ」


いつも以上に歯切れ悪くレースはお礼の言葉を言い、レースの体温が上昇していく。


「レース顔赤いよ、大丈夫?」


ぴとっ


リリィがレースの熱を測ろうとおでこ同士を当てる。


「うーん、ちょっと熱い?かな」


「だだ、だだだ、だ、大、丈、夫、で、すぅぅぅぅぅぅぅ」


レースはそのまま力が抜けていく。


「えっ、ちょっとレース!大丈夫!」




「あ、起きた?大丈夫?」


「リリィ、さん?」


「そうよ、体調はどう?」


レースの正面にのぞき込むようにしてリリィの顔がある。


レースの頭には何か柔らかい感触がある。


レースがその状況に気が付くまで僅かな時間をゆうし、そして。


「ひ、膝、まぁ、く、らぁぁ」


またしてもレースは意識を失ってしまう。






「ここは、あぁ、夢か」


何もない空間に、1人。


レースは立ち尽くしている。


目の前に1人の少女が現れる。


何も無い所から突然現れた。


「誰?」


「忘れちゃったんだ」


少女はレースの前で立ち尽くしている。


虚ろな瞳でレースを、睨んでいるようにも見えるが、その実、何も見ていないような眼をしている。


「羨ましいな、私もそこに早く行きたいな」


「あなたは……」


「早く起きなよ、私が行くまで絶対手放さないでよね、やっと見つけた私を大切にしてくれる人。愛してくれる人。私のものなんだから」


「どういう意味なのっ?」


「可哀想な人。そんなどうでもいい事を1番大切な事に設定されてるなんて。でも大丈夫。私が戻ればそんなものなくなるから。だからそれまでがんばってね。私」


レースの意識が遠のいていく。


「ース!レース!」


聞き慣れた声が耳を撃つ。


「よかった気が付いて、うなされてたけど大丈夫!」


「あれ、なに、か、とても、大切、な、事、を、思い、出し、た、よう、な?」


「忘れちゃったの?よかった、少し悪い夢を見てただけみたいね。大丈夫よーお姉さんが着いてるからねー」


リリィはレースを抱きしめる。


(暖かい…私だけの…)


「大、好き、です」


「えっ、いや、そのわたし達同性、だし」


「あ、いや、変な、意味、じゃない、ですから!」


2人はお互いに顔を赤らめ、笑い合う。


(同性…私が男になれば…もっと愛してくれるのかな…)


レースの胸の内などリリィは知らない。


日は既に暮れ、祭りは終わる。


誰が何を思おうとも世界の大筋なんて変わらない。


英雄は胎動する。

続きます。

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読んでいただきありがとうございます!

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