9.犯罪者の多い国
誤字脱字、拙い文章すいません。
レースは船酔いで寝込んでいるのでわたしと巫女の2人で上陸した。
「昨日は楽しかったわね」
「その話はしないでください!」
と、たわいない話をしながら辺りを見回す。
「わぁあ」
辺り一面に広がる大自然に思わず感嘆の言葉をもらす。
湖、森、小動物達、とても和やかな世界だった。
「綺麗なところね」
「はい」
巫女はこの国を犯罪帝国だと呼んだがとてもそうは思えない。
自然を保つにはどうしたって人間の努力が必要になる。
ゴミ1つ、チリ1つ落ちていないこの自然は人々が大切に守ってきた証拠ではないだろうか。
わたし達は村を探す事にした。
その為に目の前の森に足を踏み入れた。
その瞬間足元に魔法陣が出現した。
魔法陣は踏んだ瞬間に赤く輝き周囲にキーンと耳の痛くなる様な音を大音量で撒き散らす。
「えっ?」
何が起きたのか把握出来ずにいると今度は魔法陣から意味のある言葉が発せられる。
「自然保護法、第1条、人間の森への立ち入りを禁止する。違反を確認。拘束術式展開」
感情の起伏のない無機質の声は精霊のそれを思い起こさせる。
そして魔法陣から無数に鎖が飛び出した。
「巫女さんっ!」
わたしは咄嗟に巫女さんを抱きかかえて空に逃げる。
だが鎖は2人を追い続ける。
「しつこいなぁ!」
鎖の速度が徐々に速くなっていく。
(このままじゃ追い付かれる!)
リリィは相手を攻撃するスキルを持っていない。
唯一の攻撃スキル
現在は武器すら持っていないのだ。
逃げる事しかできない。
(まずいっ!)
無数の鎖がリリィを円形に囲い逃げ道を無くす。
「逃げられない!」
リリィと巫女は無数の鎖に両手両足の自由を奪われる。
鎖が魔法陣へと勢いよく吸い込まれていく。
二人の体も同様に、地面に叩き付けられることなく魔法陣に吸い込まれる。
ドン、と地面に軽く叩き付けられた。
「ここ…は?」
先程までの美しい自然の姿など何処にも見当たらず、目の前にあるのは巨大な鉄格子だった。
巫女が近くに倒れてることに気が付いた。
巫女が微動だにせずじっと固まっているので心配になり近づこうと体を動かす。
手足の自由を奪われ少し移動するのにも一苦労がかかる。
「巫女さん、大丈夫ですか?」
リリィが声をかけると巫女はすぐに目を開いた。
「無事でよかったぁー」
「大丈夫よリリィちゃん。少し気絶してただけみたいだから」
巫女はリリィに笑顔を見せ答える。
「それにしてもここは………」
周囲を見回し、疑問を口にする巫女だが。
リリィには一つの予測が立っていた。
この場所の空気感に見覚えがあったのだ。
巫女があたりを見回し終わりひとつの単語を口にする。
「……牢屋?」
「わたしもそう思います」
そう、そこは王城地下の空間に酷似していた。
違いといえば一つ一つの牢屋の大きさだろうか。
王城の牢屋は一人に一部屋割り当てられていたがここは違う。
それぞれの牢屋のスペースがかなり広い。
一部屋十人分といったところか。
「まさか犯罪者を殺しに来て私達が犯罪者になるなんて」
巫女がそうつぶやく。
「あんたら旅のもんか?災難だったな、こんな国に来ちまうなんて運がねぇな」
向かいの牢屋から声が聞こえる、遠いので顔はよく見えないが声色からおそらく若い男性だろうか。
「どうゆう意味ですか?」
運がない、その言葉の真意が知りたい。
「……あんたらどうして捕まったんだ」
「えっ?」
「何して捕まったのか聞いてんだよ」
「あっ、えぇと、森に入ったら……」
ついさっきの出来事を思い出す。
改めてあの魔法の強大さを思い出す。
Lv18の勇者であるリリィが回避しきれないということはあの魔法を防ぐことのできる人間が存在していないことを意味するのではないだろうか。
「それで、それは捕まるようなことだと思うか?」
「いえ、全く思いませんね」
巫女が即答する。
巫女の声はわたし達に向けられている時よりもひどく冷淡なものだった。
リリィは昨夜の会話を思い出す。
巫女が男嫌いだという話だ。
謎の多い巫女だがそこだけは決して触れてはいけない部分なのだと感じる。
「あぁ、それが普通だうちの国も前までそうだったしな。だが今は違う。あのくそ王が変えちまった」
普段の巫女など知らない男は淡々と続ける。
「この国の国民、その半数が国中の牢屋に閉じ込められている」
衝撃の言葉だった。
総人口を知らないが、それがとんでもない数の人々だということはわかる。
「そんなっ、どうして」
「……異常規制」
リリィの質問に答えたのは男ではなく巫女だった。
「巫女さん知ってるの?」
「え、いや。そんな気がしただけよ」
巫女は慌てて首を振る。
「……その通りだ。商売、食事、睡眠、なんでもこいだ。いまやこの国では普通に生活しようとするだけで犯罪者になれるのさ」
男は諦めたように言う。
それが運がないと言った意味だろう。
普通に生きることのできない国に足を踏み入れたそれを不運といわず何というのか。
「でも、どうしてそんなことに?」
「王が国よりも自身の身の安全を優先したからだ。…この国は魔物が支配してるのさ。どうしようもなく質の悪いのがな」
男は悪態をつきながら言う。
「ここの牢は人がいなくて暇だったんだ。教えてやるよ…この国の現状を」
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