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11、王都=ヤバい

「た、倒れたぁ!?」


「回復魔法が効いたんじゃなかったのか!」


「チッ!後始末、面倒なのに」


違うから。倒れてないから。

ジャパニーズドゲザだから。

いやここ異世界だったわ伝わらねぇわ。


相次ぐお偉方登場にパニックになって前世と色々混じった。

でも本来は前世より今生世界のほうが身分差ハッキリしてるはずだから、謝罪の姿勢は取らざるを得ないな。


俺、王子様にバーカとか怒鳴り散らしたからな、さっき。

ああ、でも土下座じゃ謝ってるの伝わらない...!


あと最後、宰相様、不穏な発言止めて下さい。始末されるの確実に俺ですよね。


「あ、いや、その...。

田舎から出てきたばかりで王子殿下を存じ上げなかったとはいえ、大変失礼致しました。

謝罪の気持ちでこうべを垂れこのように...。なにとぞお許し下さい。倒れた訳ではございません。後始末も必要ございません。」


最後大事なところです、宜しくお願いします。


「頭は大丈夫なのだな?」

とは暴言...違った、ヴォーゲン王子。


「あはは、謝罪で崩れ落ちるとか初めて見た!ウケる!」

とはニコニール王子。


「本当ですね?のちのち「あの時の傷が...」等と申し立てたりしませんね?...いっその事誰かに言いふらす前に今ここで...」

待て待て待て宰相待て。


「本当に!大丈夫ですから!ちゃんと回復魔法かけましたから!このぐらいなんてことありませんから!

亡くなった方は回復出来ませんけど、息さえあれば、よほどでない限り大抵なんとかなりますから!」



「「「は?」」」


おー。三人とも好き勝手喋ってたのに息ぴったりかよ。仲良しかよ。


「それは、先程の君の回復魔法の話しを言っているのか?」


「はぁ」


「そこまで治せる回復魔法なんて聞いたことないけどー。ヤーバイ逸材来たんじゃな~い?本当なんなの君~。本当男なの、ねぇ。実は女の子でした!王子、結婚して!とかない?」


「ないですっ!」


「まあ、どこまで本当かわかりませんが、無事であるならそれで構いません。今回の事故はニコニール王子が精霊を制御出来なかったのが事の発端ですし」


...えーと、つまりだ?


「あの白い精霊は、ニコニール王子の精霊で?」


「そうだね~。」


「多分ですけど、俺とぶつかったんですよね?」


「だね~。君と見事にぶつかったね~。

ぶつかったと言うより、ひかれた?

ブフッ!いやぁ!本当に見事だったよ、あはは!」


要するに。


「おーまえのせいかー!!

ふざけんな!謝るのはお前の方だろーーー!!」


...とは叫ばなかった。

乾いた笑い声が出た。ははは...。

権力には逆らわないのです。だって俺は社畜の平社員...違った。普通の平民だから。


王都はマジ魔都だった。道を歩けば王子(の精霊)に当たり、目を覚ませば「頭大丈夫か」と罵られ(これは心配からくる発言だったが)、こちらが一方的被害者であるにも関わらず、事故をもみ消すどころじゃなく存在ごと国家最高クラスの権力にもみ消されそうになった。

ヤベぇ。前世のブラック企業よりヤバ...くないのか。

結果として今現在無事でいるので。前世多分死んでるかそれに準ずる感じかと想像してるんで。


王都がやばかったのは本当で、神に祈りを捧げる為に大教会に来たはずなのに、何故かしょっちゅう王子どもが二人仲良く来た。

一平民に気安く話しかけてんじゃねぇよ。畏れ多い奴になるだろ、俺が。表面上。

遊びに来たとか言ってるけど、遊ばねぇよ。こちとら修行しに田舎からはるばる出てきてんだよ。

俺に構う王子どもを見た同僚には一歩距離を取られ、上司には幹部に覚えめでたい手駒扱いされ、どこぞのお貴族様には馴れ馴れしいと説教され...。


予定期間でサクッと帰った。

修行期間、半年から一年予定だったけど、最短キッチリ半年で修行終わらせてやった。レイモンドとして初めて親元を離れたから、父様の子離れ修行も兼ねて長めに居ようかと思ってたけど、無理。都会怖い。王都ヤバい。オラ田舎が好きだ。


それと、王都に回復魔法使える人いるって聞いてたじゃん?

確かに、いたはいたけど!

王様とか!前騎士団長(先代王弟殿下)とか!宰相夫人(王妹殿下)とか!

教会にいた人は公爵家出身で王家の血筋の人だったし。

なんか王族ばっかじゃん!おじい様のあんぽんたんー!ちゃんと説明してよ!


あの、人の話を聞かないニコニール王子にすら、


「まぁ、回復魔法の事はあんまりおおっぴらにはしないほうがいいよぉ~。変なの寄ってきたら嫌でしょ?」


教会に利用されるのも、嫌でしょ?

ってまともな事言われたよ。

さすがに回復魔法持ちの面子を聞いたら、俺が使えることは秘密にしておいたほうが良さそうだ。


半年ほぼ修行しかしてなかったから、大教会の一部しか知らないまま領地に帰る事になった。

初めての一人暮らし、しかも都会。

色々期待してたのに、王都名物もろくに知らない。

はあ~。出会いもなかったなー。ラブ的な意味で。はあ~...。


帰りに王都観光でもして帰ろうかな。


「レイモンド!本当に帰っちゃうのぉ~?

王都観光?案内するする~!城寄ってく~?」


「そうだな。今日なら父上にお目通りもかなうかもしれないな」


寄らねえから、このバカ双子王子。

あれだろその「城寄ってく」は外からお城大きいねー、って眺めるやつじゃなくて、僕んちへようこそウエルカム~!だろ。

アホか。平民なめんなよ。こちとら前世も一般市民だかんな。皇居へようこそ!みたいなもんだろ。畏れ多くて無理だわ。

しかも君らの父上って王様だからな?

なんでお目通りかなっちゃうんだよ、繰り返すけど平民だよ俺。

意味がわからん。


「父が危篤で(嘘)。急ぎますので申し訳ございませんがここで失礼致します。

ご挨拶もままならないのが大変、たいっへん心苦しいのですが!宰相閣下にも宜しくお伝え下さい!

では、もうお会いする機会もありませんでしょうがお元気で!」


さっさと馬車に飛び乗り行者を急き立て出発した。


「さよーならー!」


「あはは!レイモンドめちゃくちゃいい笑顔なんだけど!」

「父危篤は嘘だなブフッ」

「だね!あははは!」


こうして王都からなんとか逃げのびたのである。

俺頑張った。

無事に帰った田舎は天国かと思った。

父様の号泣に出迎えられて溺れるかと思ったけど。

抱きついて泣くのやめて下さい父様...。


あとあんな出立だったから普通にお土産買い忘れた。

母様がひっそりとガッカリしてた。ご、ごめんなさい。次行ったら人気店のお菓子買ってきます。人気店とか全然知らないけど...。


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