二章 初めての世解食
「お母さん、定食二つ。」
少女は母にそう催促した。
母娘で店を切り盛りしているのだろうか。
二人は4人掛けのテーブルで、向かい合うように席についた。
「して拓さん、この雰囲気はいかがです?」
「いいね、とても落ち着く。」
古民家風の建物、木の木目と香りに囲まれた部屋。
レトロな時計、その秒針の音がクリアに響く。
「そうかな、俺はそわそわして仕方ないなぁ。」
大はキョロキョロと周りを見渡している。
「あんな歳で働くんだ 大変だ。」
拓がそういうと、大はうんうんと首を振りながら言った。
「お行儀よくしないといけませんねぇ。」
「確かに、母娘でやってるなら 変な客が来たら大変だ。」
その時、水を運んでくる少女に感付き二人は静止した。
「大変じゃありませんよ、みなさんここで食事をすると満足して帰られますから。」
少女は水をテーブルに置きながら言った。
「そうですか。」
拓が畏まってそう返事をすると、少女は思い出したかのように言う。
「この水も、里の湧水なんですよ。」
「へぇ。」
「ほぉ~ん。」
あまりに気の利かないコメントしかできず、二人は一層萎縮する。
「お二人で切り盛りされてるんですか?」
「そうです、私はまだ全然なんですけど・・・お食事、もう少しお待ちくださいね。」
「はい。」
少女が視界から消えるのを確認して、大は不思議そうに拓へ問いかけた。
「不思議だよなぁ、なんでお前が俺なんかとこうしてグダグダ日々を送ってるのか。」
「なんで。」
「だって、もういち早く就職決めてそうな性格してるのにさ。」
「それは俺を買いかぶりすぎだよ。」
「俺、拓さんのこと尊敬してるのになぁ。」
「気持ち悪いこと言うな。」
それから、かれこれ15分ほど経っただろうか。
少女が盆を持って、一人分ずつ馳走を持ってきた。
二人の前にそれを置いたかと思うと少女は奇妙な行動を取った。
大は正直に反応が、声が、出てしまった。
「えっ。」
少女は大の隣に座った。
「それでは、世解食について少しだけお話させていただきますね。」




