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基礎体力

遅くなりましたが更新です。ちょっと中途半端かも

 コウは目が覚めると、日課となっている自己鍛錬をこなす。

 そして今日のアルメリアに課す修練内容を頭の中で整理する。

 他の事を考えていても、体はいつもの型を自動でこなす。

 もはや体に染みついた行動であるからだ。

 できればこれくらいできるようになってほしいが、コウは幼いと言える時期から師と言っていいかわからないが、そんな人物に教えを受け、死にもの狂いと言えるほどの修練をこなして今に至るため、さすがに同じものを求めるのは酷というものだろう。

 思い出せば無茶をやったものだ・・・と、今では笑い話で済むが、当時は本当に死んでもおかしくなかっただろうほどの修練を課されたものだ。

 師(仮)は素手を信条としており、裏の世界を生き延びた知る人ぞ知る生きる伝説となる人物であった。

 なぜそんな人物とコウが出会ったか、といったものは今は置いておく。

 まずは今日のアルメリアの修錬に使えそうな、昔自分がこなした修練内容を思い出しながら考えをまとめていく。

 アルメリアの治癒魔法をうまく使えば、短期間で強くなれると思う。

 あくまで、机上の空論のために実際アルメリアにやってもらわなければならないが、そうそう危険なことにはならないだろう。

 この世界での魔法はイメージで具現化されるため、使うためには正確なイメージが必要で、中でも治癒魔法は難易度が高いらしいのだが、アルメリアはなぜか感覚的に使えている。

 あくまで推測であるが、アルメリアも魔力保有量が多いことで、多少強引に使っているのかもしれない。

 とりあえず、それも横において置き、アルメリアに課す修練内容をまとめる・・・といっても最初は大したことはできないと思うが・・・。

 考えがまとまったところで、アルメリアとミリアが起きたのか姿を見せる。


「おはようございますコウさん」

「ああ、おはよう」


 挨拶を交わせば、ミリアが軽い食事を用意してくれたようで、それを食べに馬車に戻る。

 食事が終われば、ミリアはさっそく馬に鞍をつけ、颯爽とまたがると


「では、コウさん、私はリュトの町に戻り報告してきますが、昨日言ったように騎士団の編成もあるでしょうから少し時間がかかると思います。・・・おそらくは1週間ほどでこちらに戻れるかと思いますのでその間、お嬢様とこの村の警備をお任せします」

「ああ、任せておけ」


 ミリアの言葉に力強く頷くと、ミリアも微笑し、頷く。


「それでは・・・『ウインドラン』・・・はっ!」


 魔法を使うと馬の脚に風がまとわりつき、馬に鞭を入れて走り出すとあっという間に見えなくなるミリア、おそらく1日もかからずにリュトの町に着くだろう。


「あんな使い方もあるんだな、馬や他人にも使うことができる、と」

「ミリアが隊を率いると突破力のある遊撃隊となるそうです」

「確かにミリアは臨機応変に動けるだろうしな・・・本当にミリアが抜けた穴は大きいと思うが、大丈夫なのかね・・・」


 コウのつぶやきにアルメリアが答える。


「お父様は名君として名高いですし、アーネストおじ様もあれで高いカリスマ性がありますから」


 そういって少し誇らしげに胸を張る。


「ま、何とかなるんだろうな」

「はい」

「それじゃ、お待ちかねの修練と行こうか」


 そういってアルメリアを見やると、


「よろしくお願いします!」


 アルメリアはやる気十分のようだ。


「よし、ではまずは昨日の座学の復習だな」


 そういって馬車に戻り、コウの使う武術を使うための体つくりの理論からはじめる。

 こちらの世界ではあまり医術、人体の細かなあれそれは伝わっていないようなので、肉体のつくり、鍛え方などを、ざっくりと復習。

 アルメリアは治癒魔法の使い方からして感覚で覚えるタイプのようなので、あまり難しいことをつらつらと話しても眠くなるだけだろう。

 なので、筋肉、体を酷使すると一度筋組織が破壊され、回復することにより強靭になるといった、前の世界では当たり前に知っているが、しかし重要なことだ。


「そういうことで、鍛錬をすると体が痛くなるわけだが、その痛みが治ると体が丈夫になるわけだ。これをアルメリアは治癒魔法を使うことで治す時間が省略され、より効率的に体を鍛えることができると思っている」


 そういってアルメリアを見ると、うんうんと頷いている。


「やってみないことにはどうにもならんからまずは実際に試してみるとしよう」

「はい、私は何をすればいいのでしょう?」


 そういって首を傾げる。

 そんなアルメリアに、にっこりと笑って


「まずは基礎体力だな、村の外周を走るぞ!」


 そういってコウが馬車を降り、アルメリアも続く。


「あのう、コウさん? ・・・どれくらい走るんですか?」


 コウの笑顔に何か感じるものがあったのか、おずおずと問いかけてくる。


「倒れるまでに決まっているだろう」


 その言葉に顔を青くするアルメリア。


「そら、いくぞ!」


 そしてコウは走り出す。

 それにアルメリアも続くがあまり走り続ける、ということがなかったのだろう。

 しばらくすると息が上がり、フォームも崩れ、べたべた、といった感じの走り方になっている。


「しっかり胸を張って脚も上げて走れ!そういう走り方はただ疲れるだけで体力なんてつかないぞ!」


 コウはそう言うが、アルメリアのお耳に入っているかどうかすでに怪しくなっていた。

 この世界の人間は前の世界に比べて総じて体力が高いため少し高めに見積もっていたのだが、これは見直しが必要だな。

 しかし村の外周はおおよそ10キロメートルほどあり、前の世界で普段運動もしない人間がこの距離を走るとなると完走も危うい。それを一周走り切ったのだからやはり基礎力は前の世界の人間よりも高いのだろう。

 ちょうど一周したところで足を止めると、アルメリアはばったりと倒れる。


「アルメリア、疲れてるだろうが治癒魔法は使えるか?」


 そう聞いてみるコウは息一つ切らしていないが、アルメリアはまさに息も絶え絶えで呼吸でいっぱいいっぱいのようだ。

 仕方なしに、アルメリアを仰向けにし、胸の中心部に手を当てる。


「コ、コウひゃっ!?・・・けほっ・・・けふっ・・・」

「少しおとなしくしていろ」


 そういって意識を集中し、魔力を少し集め、魔法のイメージ、具現化をする


「あれ・・・呼吸が楽になりました・・・コウさんも治癒魔法使えるんですね・・・」


 呼吸が落ち着いてきたアルメリア。


「これは治癒って程じゃないな、手当てって言ってな、この言葉は手を当てることで落ち着かせる、安心させるといった効果があるんだ。それを魔力を使って効果を増幅させてみただけだ」

「確かに、なんだかすごく落ち着きました。ありがとうございます、コウさん」

「ああ、それで、体はどんな感じだ?」

「・・・なんか腕と足がだるいですね・・・」


 さっそく治癒魔法を使うようにいうと、アルメリアは目を瞑り治癒魔法を発動させる。

 アルメリアの身体が発光し、柔らかな光が包み込む。

 その光が落ち着くと、アルメリアは何ともなかったのように立ち上がることができていた。


「ふう、なんだかすっきりしました」

「体に異常はないか?」

「はい、大丈夫です」

「よし、ならもう一度行くか」

「・・・え?」


 そういって走り始めると、戸惑いつつも追いかけてくるアルメリア。

 またも村を一周するころには、バテバテの様子であったが、先ほどよりは息が切れるまでが長かったように思う。

 内心、効果ありか?と思いつつ、先ほどのようにアルメリアの胸に手を当て呼吸を整えさせる。


 この行動を5回ほど繰り返すとアルメリアは村の周り一周ではそこまで息を切らすことはなくなっていた。

 しかし、1周するとそこそこ疲労はあるようで繰り返し手当という魔法?を使っていると横から、


「・・・なに、してるの?」


 平坦な、というより眠そうな声が聞こえた。

 顔を向ければ、クウォーターエルフであるロロナがおり、なんだかじとっとした目でこちらを見ている・・・元からの気もするが・・・


「今は休憩中だが・・・?」


 とそこまで言ってから現状を改めてみると、顔を上気させて横になり、息を乱す女性の胸元に手を当てているこの状態は他人から見ると少しまずいのではないだろうかと思いいたる。


「ロロナ、お前はきっと勘違いをしている」

「・・・勘違い?」

「ああ。これは治療的な行為であり、決していやらしい事をしているわけではないぞ」

「・・・別にそんなことは思ってない。・・・お兄さんの魔力の流れを見ればなんとなくわかる」

「そうか・・・じゃ、何が気になったんだ?」


 勘違いしていたわけでは無いようだが・・・そう思い問い返してみると、


「・・・さっきから村の周りを走ってる。」


 どうやらコウとアルメリアの修練を見ていたようだ。

 ロロナに今までしていたことの説明をすると、


「・・・ボクもいっしょにやっていい?」

「かまわないが・・・そう楽しいものでもないぞ?」

「・・・だいじょうぶ」


 ロロナはそう言って、その場でぽてっと座り、こちらの様子をうかがっている。

 恐らくアルメリアの回復を待っているのだろう。

 それを察したか、アルメリアも治癒魔法を使って自身を回復する。

 そしてアルメリア自身も立ち上がり、こちらを促す。


「よし、じゃあ行くぞ」


 そういってコウが走り出すと、アルメリアが続き、それを追うようにロロナも走り出す。

 走り出したコウは、少し気になりロロナの様子をうかがうが、その眠そうな表情とは裏腹に、なかなか軽やかな走りであった。

 思えばロロナの父であるローレンがロロナの弓の腕は一級品と言っていたのを思い出し、おそらく狩人なんだろうとあたりをつける。

 それを肯定するかのようにロロナは足音がしないのである。

 体重が軽いのもあるのだろうが、村の周りは内部に比べて荒れている。

 小石などを踏めば音はなるものだが、それが一切ないとなると足運びの技術がある程度あるのだろう。

 そして1周走り終えると、やはりアルメリアはまだきついのかその場で座り込む。


「はう・・・」


 それに対しロロナは息を乱していないようだが、顔はうっすらと上気していた。


「・・・これはなかなかいい。・・・普段は目的がなければ走ることはないから」

「ならばこれから毎日体力をつけることを目的として走るといい」


 そういっても、なかなかそれだけでは継続することは難しいのだが。



 

 

キャラが増えると思ったように書けないですねえ・・・。


作中で手当てという魔法?が出ますがこれはほんとに俗説というかなんというか・・・例えば病気の時心細かったりして誰かいると安心するでしょ?そんな精神的なやつをコウは言っています。

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