精霊
3日以内には間に合いませんでしたが、何とか1週間以内にはあげられました。
のんびり進行で申し訳ないですが、よろしければお付き合いください
ロロナに先導されてコウとアルメリアは村のはずれにある一つの小さな家屋に訪れる。
「はいって」
ロロナが扉を開けて中に入るように促し、本人はさっさと中に入っていく。
二人は追うようになかに入ると、
「お帰りなさいロロナちゃん」
20代前半に見える人族の女性がロロナを出迎えていた。
「ただいま、お母さん・・・」
どうやらロロナの母親のようで、雰囲気も似ているし、髪の色もロロナと同じ感じだが。
二人のやり取りを聞き取ったのか、奥からローレンも顔を出してくる。
「やぁ、おかえりロロナ。コウさんも先ほどぶりですね。この人は僕の奥さんでルナと言います。えっと、そちらは?」
ローレンの紹介で、ロロナの母、ルナが会釈する。
「ああ、こいつは俺の連れでな、アルメリア」
「はじめまして、アルメリア・リュトと申します、よろしくお願いします」
先ほどの痴態からは想像できないくらい上品なしぐさで礼をするアルメリアに
「ここちらこそ!よろしくお願いしますっ」
少し緊張しているようだが・・・ああ、領主の娘ってことに気づいたか?普通に名乗ってるし気づかない方がおかしいか。
「アルメリアは今、俺の連れってことになってるからあまり気にしないでくれると助かる」
あとで騒ぎにならぬように釘を刺しておく。
「ここに来たのは精霊のことについて詳しく知りたかったからなんだが、かまわないか?」
ここに訪れた理由を話すコウを、ローレンは歓迎してくれるようだ。
「コウさんは恩人ですからね、歓迎しますよ。しかし精霊のことについてですか・・・。僕は魔法はそこまで得意ではないので、あまり話せることはありませんが、ロロナはぬこまると契約もしていますし、僕よりは話せることは多いでしょう」
そういってロロナの抱くぬこまるに視線をやると、少しうらやましそうな顔をする。
その視線を追ったコウは、自身もぬこまるを視界に入れると、この生物のことも聞いておこうと思い、訊ねてみることにする。
「そいつも精霊らしいな、そいつのことも聞きたいがまずは精霊のことを教えてほしい」
ロロナのほうを見てお願いをすると、ロロナは頷いて、
「あっち・・・」
そういってロロナはテーブルを指し示し、来客用の椅子を引っ張り出してから席に着く。
そこで話すということなのだろう、コウとアルメリアも倣い、席に着く。
視線をロロナに移すと、ぬこまるを枕みたいにして頭を乗せたりしてじゃれていた。
それを見ていたアルメリアがものすごくうらやましそうな顔をしている。
「それじゃあ、私はお茶を入れてきますね」
そういって部屋を出ていくルナ。
コウは気になることがあったのでその姿を目で追っていたのだが、それに気づいたのかローレンが、
「きれいな人でしょう?いやぁ、自然と気遣いもできるし、ほんと僕なんかにはもったいない人ですよ」
顔を赤らめ、言葉のわりに自慢げに話すその姿はうっとおしいことこの上ない。
「あの人があんたの奥さんだとするとロロナはエルフと人間のハーフってことか?」
結構親しげに話してくるし、少し突っ込んだことにも答えてくれると思い、いっそのこと訊ねてみる。
「あ、彼女は人族ではないですよ。彼女がコウさんのおっしゃるハーフになりますから、ロロナはクウォーターになります」
思った通り答えてくれるが、想像していたのと若干違う答えにコウは驚く。
「ほう、ハーフなのに耳は人間みたいなんだな」
「ハーフといってもエルフの特徴が出る場合と、出ない場合があります。彼女は後者ですね」
「見た目で判断はできないということか」
どうやら同じ里出身で、頭の固いエルフに彼女は冷たくされていたらしく、それをかばい続けた為にいつしか里にいづらくなり、二人で里を飛び出しこの村にたどり着いたらしい。
そして何やかんやでロロナを授かり、幸せに暮らしていたようだ。
そんな話をしていると、ルナがお茶と茶菓子を持って戻ってきて、配膳する。
「どうぞ」
「ありがとう」
そういってコウはさっそくお茶と茶菓子を頂くことにする。
見た感じは緑茶なのに紅茶のような味がして、見た目との違いに驚きはするが、味自体はとてもよく、またお茶菓子は木の実を使ったルナお手製の菓子のようで、自然な甘みがお茶の渋みとよく合う。
「うまいな」
そうつぶやけば、ルナが微笑み、ありがとうございますと言う。
お茶で一息ついたところで、本題に入るためコウはロロナに話を向ける。
「それじゃ、精霊の事を教えてくれないか?」
そういって促すと、ロロナは頷き
「精霊はエルフの、あとドワーフの友達・・・」
なるほど、と思い続きを促すが続きはないらしくなんだかやり切ったと言わんばかりの顔で胸を張るロロナ。
それを見て苦笑するローレンとルナ。
「そ、それだけか?」
「うん・・・あ、お願いすると力を貸してくれるよ・・・」
「あーっと・・・そうだな、こちらから質問していくから答えてもらっていいか?」
こちらから聞いていかないとどうも話が進みそうにないので、対話形式に変えることにする。
ロロナも異論はないらしく頷いてくれる。
「精霊はどこにでもいるのか?」
「いる。ここの近くだと風と地が多い」
「力を借りるのはエルフとドワーフじゃないとできないのか?」
「ううん。人族でも精霊に力を貸してもらった人がいるみたい」
今のは有力な情報だな。
「人族でも契約は可能か?」
「うーん、わかんない。契約まではした人はいないと思う」
「精霊に強いとか弱いとかもあるのか?」
「うん、たぶんお兄さんには見えてないんだろうけど、小さいのがいっぱいいるよ」
「小さいのっていうのは弱いやつか?なら強いのは?」
「ぬこまるがそう。まだぬこまるは子供だけど」
「力を借りるには仲良くなればいいのか?」
「うん。ボクはぬこまるとなかよし」
「ぬこまるは何の精霊なんだ?」
「わかんないけど・・・たぶん光?」
わかんないのか・・・どうゆうことだ?
確かに見た感じよくわからない生物だが・・・とローレンのほうを見てみると、ローレンもわからないらしく、首を振る。
すると、ルナが控えめに手を上げ、
「あなた、私が説明してもいいかしら?」
「そうだね、コウさん、彼女はハーフですが僕より全然魔法に精通していますから、お役に立てるかと」
「そうか、それなら頼む」
「では、僭越ながら私が・・・まず精霊には下級、中級、上級、さらには王級と階級があります」
「ほほう、わかりやすいな」
「また、精霊は魔力を食事としていまして、私たちが魔法を使う際に食事として与える時に、その精霊の好む魔力に変換するため、一般的な人族が使う魔法と比べて消費魔力が大きいのですが、しかし精霊に与える魔力の違いで効果は激変します。その力を借りると単純に2倍ほどの魔力で、3倍、4倍はたまたそれ以上の効果が出るのです。」
「なるほど、魔力が食事か」
おそらくミリアが言っていた魔力の消費が大きいとはこれのことだろう。変換とは初耳だが・・・
「下級精霊は契約はできませんが、だれでも力を借りることができます。これがさっきロロナちゃんが言った、人族でも精霊の力を借りたことがあるという証明となります」
「力を借りるにはどうすればいいんだ?」
「先ほど、魔力が食事と言いましたが精霊は下級といえど属性を持ち、また魔力の好みがあります。それを与えるためにはまず、精霊を認識できるようにならなければいけません」
「認識か」
「はい、そのためにまずイメージしてください。魔力を属性魔力に変換するのです」
「確かここは風と地が多いんだったな」
そういってコウは風脚を使うときのように魔力を纏い、風属性に変換しようと試みた。
風のイメージは緑、爽快、素早いといった感じか?そう思いながら魔力を練り上げる。
「にゅ!?」
コウが纏う魔力を見て、ぬこまるが反応する。
ローレンら家族も驚いているようだが、そこまでではないようだ。
もしかしたら、エルフでこれくらいの魔力は使えるやつが多いのかもしれない。
実際には、エルフと言えどもここまでの魔力を持つのは数える程度だったのだが。
「にゅにゅっ!」
何やらぬこまるの様子が・・・と思っていると、
「あっ・・・」
ロロナの声と、コウに体当たりするかの如く跳んでくるぬこまる。
そしてコウの近くに来るやいなや、ものすごい勢いで魔力を吸い取り始める。
「ちょっ、何するんだぬこまる・・・」
せっかく属性変換しようとしていたのに・・・これが魔力を食べるってことなのか?
「にゅんにゅん!!」
何やらご機嫌なぬこまる。
ひとしきり食べて?満足したのかロロナの元に戻り、すやすやと寝息をたてはじめる。
「ごめんなさい、おにいさん。たぶん、おにいさんの魔力がすごいおいしそうで我慢できなかったんだと思う」
そんなこと言われても苦笑いしか出てこないぞ・・・。
今回は少しおとなしめの内容です、しかしぬこまるはいったい何なんだろう・・・
今後ぬこまるがどうなるかは自分でもわかりませんw




