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北へ

ブクマ、評価ありがとうございます。


じわじわ、じわじわと増えております。ありがたいことです。

 門を抜けて、開けた視界に移るのは広大な草原だった。

 その中に一本10mほどの幅の道ができている。

 その道以外は、腰までくらいの草で覆われた大草原であった。


「おお、南は森と山なのにこっちは草原か」


 隊商が前を進み、コウたち以外の冒険者パーティがまわりを警戒しながら進む。

 コウ達は最後尾で、ミリアが御者をする馬車の横を歩きながら、のんきにまわりを眺める。

 アルメリアも、馬車の窓からその様子を見たかクスリと笑い、


「こちらは開放的ですからね、風も気持ちいいですし」


 名もなき森近辺の南はこちらの草原に比べればじめっとしており、町を境に一変したかのようだ。


「あまり騒がないでくださいね、ここらもモンスターが出ますので」


 ミリアがそうたしなめてくる。


「こんなところにもモンスターが出るのか。確かに冒険者のやつらは警戒しているな」

「そうです、森と違いこちらはさまざまなモンスターが出ますよ。まぁ、こちらは温厚なモンスターが多いので、刺激しなければ襲われることはないと思いますが、中には凶暴なのも少なからずいますので」

「どんなモンスターがいるんだ?」

「そうですね・・・まずは虫系でしょうか」

「む、虫ですか・・・」


 その言葉を聞いたアルメリアが嫌そうな顔をする。

 モンスターは基本的に通常のもの比べると、サイズが一回りか二回りは大きい。

 おそらくは想像してしまっただろう。


「たとえばハチ系のモンスターは普段温厚ですが刺激すると怒って仲間を呼びますし、その数によってはランクもC~Bランクになったりと危険度は高いですね」


 草原とはいえそこらじゅうに花は咲いているので、おそらく蜜を集めたりしているのだろう。

 モンスターとはいえ食料は必要だろうし、行動は基本的にモンスターでもそうでなくても同じな様だ。


「あとはフェアリー系も幻惑魔法を使いますから、組合せによっては恐ろしいモンスターです」

「モンスターも魔法を使うのか?魔法はイメージというならモンスターにそんなことができるとは思えないが」

「イメージをもって魔法を使うのは人族、獣人族だけですね。モンスターは種族固有魔法というか、使える魔法が決まっているのです、そして妖精族、エルフやドワーフといった者たちもその種固有の魔法というか属性ですね・・・それを使うことしかできないようですが、しかしその魔法は多岐にわたり、エルフは風、水、光系統、ドワーフは火、土、闇系統の魔法が使え、その威力、効果は強力みたいですね」

「種族が違うとそこまで違いが出るのか。しかしイメージ次第ではまねできるんじゃないか?」

「過去にエルフやドワーフの魔法をまねしようとした人ももちろんいますが、制御が難しいのか、何か特殊な呪文がいるのかわかりませんが、模倣はできなかったとか」

「そうか、ならば限りなく近づけるところまでならできそうかな?」

「必要な魔力も高いそうですから・・・コウさんなら力技でできそうですね」


 そう話しながら進んでいくと、草原が終わりに近づきその先の林といった感じのところで何やら前方の隊商が少し騒がしくなってくる。

 やがて隊商は足を止め、冒険者たちはより警戒を強める。


「どうしたんだ?」


 コウは馬車から離れ、少し前にいたエイギルに話しかける。


「ああ、どうやら向こうの冒険者に斥候役のやつがいるみたいなんだが、先に林の中にいったまま戻らないらしい」


 向こうのというと特に話をしていないがエイギルたちと同じとすればC~Bランクとなかなか優秀なやつらのはず。

 そのパーティの斥候役となれば危機察知能力は高いはずだし、時間にも正確なのだろう。

 どうやら戻らないのを何かあったのではと警戒しているようだ。


「どうするんだ?」

「ふむ。本来なら戻るまで待つか、もしくは斥候をもう一人送るかなんだが、うちにはいないしな」


 エイギルのパーティでは、魔法使い風の男が探知魔法を使うらしく斥候はいないとのことだ。


「ならそいつの魔法で何かわからないのか?」

「あいつの魔法は自分を中心に半径50mとわりと範囲が狭いんだ。だからダンジョンとかそういったところ専用と言っていい」

「ならそいつの魔法を俺に教えてくれないか?俺なら少しは範囲も広くなると思うぞ」

「・・・聞いてみよう、あまり遅くなるわけにもいかねぇからな」


 少し離れて、エイギルが魔法使いの男ラインに近づいていき少し話し込む。

 やがて話がついたのか、二人ともこちらに近づいてくる。


「たいした魔法じゃないらしいからな、かまわないらしいぜ」

「まぁ、リーダーに技を見せてくれるらしいし、こんなもんで良ければおしえるさ」

「あんたは魔法の使い方はわかるんだよな?」

「ああ、アーネストのおっさんとミリアから教わったぞ」

「・・・アーネストさんから教わるとかうらやましいな、てかおっさん呼ばわりかよ」


 エイギルはアーネストに憧れがあるらしく本気でうらやましそうだ。

 アーネストは有名なのかと思い、聞いてみると


「当然だ!あの人は元王国騎士団第2師団長にその腕だけで上り詰めたというのに、友のためにその地位をあっさり捨てた人だ!普通の人間にはできねぇよ!マジでかっこいいわ!」


 どうやらエイギルの大剣もアーネストに憧れて使いだしたとこのことだ。


「ごほん!話がそれたな、使い方が分かるならライン、あとはお前が教えてやれ」

「おう、そうだな・・・」


 少しわかりにくいので、コウが自分なりに解釈することにした。

 まず、自分の頭の中で味方と敵対する対象のイメージを浮かべ、設定、カラーリングする。

 たとえるなら、FPSとかに出てくるマップのようなものに危害を加えてこないものなら青、危害を加えてくるものなら赤が表示されるといった感じだ。それが自分を中心に魔力を薄く広げて対象に引っかかったら頭の中に表示されると言った所か。この距離は魔力量に依存するようで、ラインは50mが精一杯らしくそれ以上になると何かいるのはわかるが設定したカラーリングが反応しないようだ。


「なるほど、少し難しい気がするがやってみよう」


 そういって集中すると、魔力がコウのまわりに集まり始める。

 その様子を見ていたエイギルとラインは驚きを隠せない。


「これが『魔人』と言われる所以か・・・」

「とんでもないな・・・なんか気分悪くなってきた・・・」


 エイギルは魔法を使わないのか平気そうな顔をしているが、ラインはコウの魔力に当てられてしまい、気分を害していた。

 コウは先程の説明を自分なりに解釈した方法で魔力を使い、発動する。

 すると脳内に近くの隊商、冒険者などと思われる青い点が発生しその先にある林の中の様子も大小さまざまなものが見えるようになる。その結果わかったことが、


「林の先に結構な数の人間がいるみたいだが、集落があるのか?」

「うむ、少し行った開けた場所に確かに小さいが村があるな、それがどうかしたか?」

「そこに敵味方入り乱れている感じがするな、おそらくは村人とモンスターの戦闘か・・・」

「なにっ!」

「そこにおそらくは斥候とやらも交じっているんじゃないか?」

「ならなおのことさっさと戻って援軍を呼ぶ気もするが・・・」

「もしかしたら動けない状態か、すでにやられているのかもしれないな」


 そう冷静に指摘するコウに、仲間である冒険者が憤る。


「そんな簡単にやられるようなやつじゃない!」

「ならばなぜ戻らない?」

「それは・・・」

「もうそんな押し問答をしている暇はない、村が襲われているならば助けに行くべきだろう?」

「だが俺たちは隊商の護衛だ、置いていくわけにもいかん・・・」


 隊商ごとその場に行くのは確かに下策だろう、守るべき対象が増えるのだから。


「ならば俺たちが先行する、ミリア、アルメリア!」

「はい!」

「いきましょう!」


 そう答えて、ミリアが馬に鞭を入れる。

 隊商を追い抜き、林へ突っ込もうとする馬車。

 それを見たエイギルたちが声を上げる。


「お、おい!3人で行くつもりか!?」

「お前たちは後からこい!・・・ミリア、俺は先に行くぞ!!」

「はい、村までの道はわかりますのでどうぞお先に」


 コウは答えを聞いて改良魔法『風脚』を使うと、林の中に飛び込む。

 そのスピードはまさに消えたように見えるほどである。

 冒険者たちはその魔法に唖然とするばかりであった。




いかがでしたかね、なんかアルメリアがヒロインのはずなのに空気。ミリアのほうがでばん多い・・・こんなはずでは・・・

とりあえず次回は村救出といった感じでコウが無双する予定です。アルメリアも治癒で活躍するよ!


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