第88話 『堕天使』
「あいつ………」
そこには、ケリウスが呪いをかけていた天使が立っていた。
「っ!貴様、何をする!」
「強いからって偉そうに………俺はおまえに散々こき使われてうんざりしていた」
その声はさっきの明るい声をとは違い、暗く邪悪に満ちていた。しかもハキハキ喋らずにボソボソと喋っている。
顔自体は変わっていないものの、雰囲気がまるで違う。
性格まで変わっているのか。
「堕ちてしまったか……エデウス」
ん?どこかで聞いたことある名前だな。
「助けに来てくれたの?」
その言葉を無視して、エデウスは話を続けた。
「もうおまえの言いなりにはなんねえよ。俺はこいつらの仲間になる。その方がおもしろそうだからな」
エデウスは話を終えると、俺らを連れてその場から逃げ出した。
逃げて着いた先は、どこかの森だった。
雑に扱ってるから少し体が痛む。
「いてて、もう少し丁寧に扱えよ」
「知るか。おまえらの体が弱えだけだろ」
「それにしても雰囲気変わりましたね」
確かにそうだな。
呪いをかける前の面影はほぼない。
髪はボサボサで目にかかり、猫背になっている。
表情も暗い。
それに口調に悪くなっている。
「おまえらは俺に助けられたんだぜ?ちょっとは感謝しろよ」
「おまえ、あまり調子に乗るなよ!」
ケリウスが怒りに任せてエデウスの胸倉を掴む。
「………おまえ、昔どこかで見たことあるな」
「っ!………」
ケリウスの知り合いか?
ケリウスの知り合い………エデウス……。
「あ!」
「な、何よ。いきなり」
「何かあったんですか?」
「なぁ、あんたの名前ってエデウス・エレガレンスか」
「ん?なんでおまえが俺の名前知ってんだよ」
「やっぱりか。道理で聞いたことあるわけだ」
「なんで知ってるの?」
未だ理解していない様子のルシアとルーベスとレイナ。
「こいつらは昔、戦いあったことがあるんだよ」
「そうそう。で、こいつは俺の怖気づいて逃げ出したわけ」
「んだと!」
「喧嘩するな!過去の話だろ。エデウスも、あまり調子に乗るな」
「ちっ!うぜぇ」
「そういえばここどこだよ」
「知らねぇ。適当に着地したからな。あ、でも近くに『竜の里』があるのは見えた」
「竜の里か。よし、じゃあ、次はそこに行くか」
「何しに?」
「そこには竜王がいるはずだ。そいつを倒すことで、より強い力が手に入る」
「で、竜の里が見えたのはどこなの?」
ルシアの質問に、エデウスはめんどくさそうな表情で指を差した。
「北か」
俺たちは、エデウスが指差した北の方向に向かって歩き出した。




