第79話 『貴族に復讐』
「?誰だ」
あらゆる感情を、体を震わせながら我慢する。
気を抜けば今にも襲い掛かってしまいそうだ。
あいつは、俺が牢屋にいたころ、俺の目の前で母親を殺したあの男。
「まぁ……まさか…俺のこと………忘れたわけじゃねぇだろぅなぁ」
「?………あぁ、あの奴隷か。久しぶりだな。元気してたか?」
「ふざけんな!!」
俺の怒声にケリウスもビクッとする。
「久しぶりにこの感情を感じたぜ」
「おまえ、あそこから抜け出したんだな。目つきも随分変わって……」
「あんたを殺すために俺はここまで生き延びることができた。そして、前より強くなることができた………」
「ケリウス。ラングちょっとおかしくない?」
「無理もない。あいつはラングの母親を目の前で殺したからな」
ケリウスたちは俺に聞こえないように小声で言った。
「悪いな、ルシア。俺、ちょっと別の用事ができたんで、復讐は後にしてくれ」
「え、まぁいいけど」
「後、剣を貸せ」
「え?」
「早く呪剣を貸せって言ってんだ!」
「は、はい」
ルシアは慌てながら剣を出し、俺はその剣を奪い取った。
俺の体からは闇のオーラが放出し、目はギラッと赤く光り鋭くなっていた。
「……殺す………」
「え?何?もっとでかく言えよ」
「殺す!」
俺は怒りに任せて走り出す。
貴族目掛けて剣を突き立てる。
貴族の方も剣を出し、ガードした。
剣と剣を合わせて押し合い、睨み合う。
貴族は俺の力に圧倒され、押されている。
「魔人族の力なめんなよ?」
「お、おまえ、雰囲気変わったな?」
「あぁ?俺がこうなったのは誰のせいだ?おらぁ!」
足で奴の腹を蹴り、剣を横に振る。
「ねぇ、ケリウス。ラング、いつもより強くなってない」
「怒りで強さが増してるんだろうな」
俺の攻撃はいつもより荒々しくなっていた。
何度も何度も剣を振り下ろす。
貴族は剣でガードするのがやっとって感じだった。
「おらぁ!おらぁ!さっきまでの冷静さはどうした?アハハハハ」
「く、ナメんな!」
貴族は一瞬の隙をついて、攻撃をしかけてきた。
俺はその攻撃は避けることができたが、足で押し倒されてしまった。
貴族は俺の上に乗り、剣を下ろす。
俺の剣でガードし、奴を睨む。
「あ!ラングがやられそう」
「邪魔するな!」
ルシアが加勢に入ろうとするが、俺は邪魔させないように怒鳴る。
「ご、ごめんなさい」
「こいつは俺がやる!」
「へぇ、こんな状況でよくそんなことが言えるな」
俺は目に力を入れ、威圧した。
貴族は怯えたような表情をし、震えて動かなくなってしまった。
「フン、雑魚が」
俺は小声で言い、一瞬で立ち上がると、貴族を押し倒した。
俺の顔を見た貴族は、
「ひっ!」
と情けない声を漏らす。
俺は貴族を見下ろしながら睨んだ。
ニヤリと微笑み、剣を下に向ける。
そのまま剣を貴族の足目掛けて思い切り下ろした。
足は切れ、血が大量に噴出した。
「ああああああぁぁぁぁぁぁ!」
ああ、この感覚、久しぶりだ。
俺は剣を何度も振り下ろし、貴族の体を傷つけた。
そこから血がブシャーと大量に出てくる。
「泣け!苦しめ!俺にその泣き叫ぶ表情を見せろ!」
「やめて、やめてくれ!痛い痛い痛い痛い!お願いだ!助けて!」
貴族の顔が恐怖に満ちている。
俺は貴族にニヤニヤと悪い笑みを見せ、奴の首目掛けて剣を振り下ろした。
飛び散った血が、俺の顔にかかる。
振り向いてみんなが俺の顔を見た瞬間、ケリウスたちの表情は恐怖に満ち始めた。




