第76話 『男の娘』
「そして魔術学院につき、俺と出会ったってわけか」
「そういうこと。これで私の話は終わり。私はアークロセリスに復讐を果たすために魔術学院に入学した」
「そうか………やっぱり俺、悪いことしてしまったな。俺が魔術学院を破壊しなければ………」
「過ぎたことはもういいわよ。それに、ラングが復讐を手伝ってくれるんでしょ?」
「まぁそうだけどな」
「あ、あのラングさん。ケリウスさんどうします?」
「やべ、忘れてた。手当しないと」
ケリウスを見るとレイナが棒でケリウスを突いている。
「やめろ、レイナ。そいつはおもちゃじゃない!」
俺はケリウスに近づき、頬を軽く叩く。
「おい、ケリウス。生きてるか?」
「息はしているみたいですよ」
「なら気絶してるだけか。よかった」
安堵のため息をつき、傷を包帯で巻き、手当する。
「もうちょっと休ませておくか………あ、そういえばルーベス、お前の話を聞きたい。誰がおまえを裏切ったのか、教えてくれ」
「えっと、僕を裏切った人の名前はル―ヴェル・グラッツ……です」
「ル―ヴェルか……。そいつって闇族だよな?」
「はい、そうですけど」
「そいつが今どこにいるかわかるか?」
「もうこの世界にはいないはずです」
「この世界にはいない…………ってことは、俺たちの世界にいるってことか」
「そういうことになります」
「でも、どうやって探せばいいんだ」
「何か、紙とペンがあれば似顔絵を描けるんですけど……」
「あぁ、一応紙切れならあるけど、よかったらこれを使ってくれ」
俺は服の内ポケットからペンも取り出し、ルーベスに渡した。
「ありがとうございます」
「……なんか描くことできなさそうだけど」
「擬人化すれば描けるんですけど」
「擬人化?」
「魔物や動物が人型になることです」
「どうやってなるんだよ」
「僕の契約者であるラングさんが、頭に僕の人の姿を思い浮かべればいいんですよ」
「頭に思い浮かべればいいのか?」
俺は人の姿を懸命に思い浮かべた。
どういう風な見た目にすればいいんだ?
そんなことを考えながらイメージをしていると、いきなりルーベスから煙が出てきた。
煙が消えると、そこにはメイド服の可愛らしいショートヘアの女の子が立っていた。
「「「え?」」」
まるで時が止まったかのように沈黙の時間が流れる。
その間を破ったのはルーベスだった。
「な、なんですか、この恰好!?」
「え、ルーベスってメスだったの?」
「ち、違います!僕はオスです!」
「じゃあ、なんでそんな恰好してるの?」
レイナが率直な疑問を言う。
「確か、契約者であるラングが考えた姿に変わるのよね」
「え、ってことは、俺が考えたってことか?」
「もしかしてラングって、そういう趣味?」
「違う!断じて違う!」
ていうか、見た目まんま女じゃねぇか。
サラサラした紫色のショートヘア、色白で目も大きい。
これで本当に男なのかよ。
「でも、なんか可愛くて守ってあげたくなっちゃう」
「か、可愛い!?」
ルーベスの頬が赤くなっている。
確かに可愛い。
「ラングさん!なんでこんな格好にしたんですか?」
「嫌か?」
「い、嫌……ですよ」
何でちょっと迷いがあったんだ………?
もしかして、ちょっと喜んでるな?
「羽は消えないんだな。ちょっと触っていいか?」
羽に手を伸ばし、触れると、
「ひゃっ!」
ルーベスがいきなり喘ぎ声をあげ、また沈黙が流れる。
え、何?
もしかして、俺を変態だとみんなに思い込ませようとでも思ってるのか?
何それ怖い。
どうしてくれんだ、この空気。
ルーベスは顔を真っ赤に染め、恥ずかしがっている。
「す、すいません」
「い、いや、俺こそなんかごめん」




