第69話 『魔剣士』
「私は、昔、アークロセリス王国に魔剣士として仕えていたの――」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
私はここアークロセリス王国に仕える魔剣士ルシアよ。
たまに戦に向かう時があるけど、ほとんど修行して過ごしてるのよ。
街にはよく行くから、人との信頼関係はちゃんと築いてる。
私は魔人族だけど、街の人たちはそんなこと気にすることなく接してくれた。
だから私はこんな生活を充実しているんだけど、一人厄介な人がいる。
その女の名は、アレフ。
私の苦手な人物。
みんなの前では優しい人を演じているけど、私だけの前では本性を現す。
私に向かって暴言を吐いたり暴力をふるったりしている。
それだけなら可愛いもんだわ。
殺されかけたことだってある。
それでも私はアレフを無視して我慢し続けた。
「な~んだ、いたんだルシア」
声のする方へ顔を向けると、案の定アレフだった。
アレフはいつものように気味の悪い笑みを見せながら話しかけてきた。
「何してんのよ、ここで」
「別にいいでしょ?ちょっと休憩してるだけよ」
すると、アレフはいきなり顔を近づけてきて、悪意に満ちた声で、
「誰に口利いてると思ってんの?調子乗んな!」
アレフはそう言いながら私を押した。
私は体勢を崩して、尻餅をついてしまった。
「いたっ!」
「フン、あんたにはそういう苦しそうな顔がお似合いよ」
これだけなら私は動じない。
だって、これ以上に危険なことをされてきたのだから。
私は何事もなかったかのように立ち上がり、部屋を出ようとする。
「おい!」
アレフに呼ばれたけど、私は無視して扉に近づいた。
「待てって言ってんだよ!」
「痛い!」
頬を殴られて、口を切ったのか血が出てきた。
「あんた、いい加減にしなさいよ」
「あんたが無視するのが悪いんでしょ」
私は今度こそ扉に近づき、ノブに手をかける。
「どこ行くつもり?」
「修行に決まってるでしょ?」
私は扉を開けて、バタンッと音をたてて閉めた。
「ったく、あいつ何考えてんのかしら」
愚痴を零しながら修行場へ向かう。
私は木刀を持って、修行し始めた。
と言っても、縦に何度も振るだけだけど。
修行を終えると、私は街に向かった。
何か起きてないか、街を見回るパトロールしてるのよ。
「あら、ルシアじゃないの」
「あ、おばさん。こんにちは」
「また見回りしてるの?」
「はい、街の治安が悪くなったら嫌ですからね」
この街にいる時間が一番の癒しかもしれない。
だからたまに用事もなく行くことがある。
「じゃあ、また今度会いに行きますので」
「うん、またね」
こんな平和な時間が永遠と続けばいいのに。
でも、それは絶対にないんだろうな。
私は魔人族だし、差別する人もいるだろうから。
でも、この人たちは私を信用してる。
だから、私はこの街の人たち、このアークロセリスの人たちを信用できる。
話を終えると、見回りをまたし始めた。




