第67話 『ヒュドラ』
「次はこの扉だ」
この扉、妙な威圧を感じる。
慎重に扉に手を触れると、不気味な音をたてて、ゆっくりと開いた。
その先には、黒い剣が部屋の真ん中に突き刺さっていた。
紫色の邪悪なオーラを放っている。
いかにも呪われてるって感じだ。
「あれか…?その呪剣って……」
「……見たことはないが、あれであってるだろう」
部屋の中に入ろうとした瞬間、いきなり部屋の横の壁が崩れ、そこから何個もの首を持った巨大なドラゴンが出現した。
首は全部で八つだ。
「な、なにっ!?」
「こ、こいつは……!」
「「「ヒ、ヒュドラだ!」」」
「「「GYAAAOOOOOOO!!」」」
全部の首が一斉に鳴き声をあげる。
いっ!
音がでかすぎて、耳鳴りが酷い。
頭を内側からガンガンと叩かれてるような痛みが続く。
「ま、まさか、ここで会うなんて」
「落ち着け。まだ勝ち目がないと決まったわけではない」
平然を保っているが、内心ちょっと衝撃を受けている。
その黒い巨体の塊には、妙な迫力を感じる。
さっさと倒した方がよさそうだ。
俺は闇を手から出し、ヒュドラに向かって放ちつけた。
闇はヒュドラの体の方に向かっていったが、一つの首が闇の向かった先に頭を行かせ、闇を喰らい消した。
「えっ!?」
「闇を喰らった!?」
「そ、そんなバカな……」
ヒュドラはその赤い目で俺らを睨み、余裕な表情を見せる。
くそ、ナめやがって!
次は巨大な闇の球を何個も一気に放ちつける。
が、それも八つの首に喰われ、放った闇は一気に消えた。
続いて、ケリウスとルシアが火と雷を放って攻撃するが、雷も食われ、火属性なのか、火が当たっても効いてないようだった。
「攻撃だ、ルーベス!毒でくらわせろ!」
「き、きっと無駄ですよ。闇でも効かなかったんですよ?」
「やる前に弱音を吐いてどうする!いいからやれ!」
「わ、わかりました」
俺の気迫におされ、ルーベスはしぶしぶヒュドラに向かって毒を吐く。
でもその毒もヒュドラに効くことはなかった。
するとヒュドラは、口から巨大な闇や火の球を吹き出した。
「あぶねっ!」
当たらないように逃げるが、左足に当たって傷を負ってしまった。
「ラング!」
「余所見するな!奴に勝つ方法を考えるんだ!」
「わ、わかった」
ヒュドラに勝つにはどうすれば……。
そうだ!属性で攻撃するのがダメなら、武器で攻撃すればいいんだ。
俺は闇の空間から『恐魔の宝剣』を取り出し、ケリウスに向かって投げた。
「ケリウス、その剣であいつを倒せ」
恐魔の宝剣を綺麗にキャッチしたケリウスは、俺と目を合わせると顔を引き締め、ヒュドラを睨みつける。
その瞬間に構えをとり、
「いくぞおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ケリウスは気合を入れるために大声をあげ、ヒュドラに向かって走り出した。




