第63話 『絶望の女神、フィランザ』
「誰だ?」
ルーベスを見ると、奴を凝視して怯えていた。
きっとあいつが、その『絶望の女神』なのだろう。
「見つけたぞ。こんなところにいたのか」
口調からして気の強そうな女だ。
露出度も高いし……。
手には槍を持ってる。
「あ、あいつが絶望の女神、フィランザだ……」
倒すと言ったからには絶対に倒す!
俺は手を横に伸ばし、ルーベスを奴から遠ざけた。
「なんだい、お前たちは」
「たった今、こいつと契約した者だ」
「そうかい……まあいい。お前等ごとそのプテライドを殺せばいいんだからな!」
その途端、フィランザは俺たちに向かって走り出し、槍を前に突き出した。
「ターゲットロックオン!」
フィランザはルーベスに目を向け、ロックオンをした。
槍から白く光った矢のような斬撃が飛ぶ。
みんな一斉にバラバラに避けた。
「なにっ!?」
見ると、斬撃はルーベスを追跡していた。
「なんだよ、あれ」
「どういうこと?」
「なんで、ルーベスを追いかけてるんだ?」
「その斬撃はターゲットを『自動追尾』するんだよ」
「じ、自動追尾だと……!」
「そんなものがあるのか……」
って関心してる場合じゃない。
俺はルーベスの前まで駆け付け、両手両足を広げた。
斬撃が左手に右腕にかする。
傷は浅いと思ったが、意外にも深く抉れていて、血が大量に出てきた。
「いっ!くそ」
傷口を手を抑えながらフィランザを睨みつける。
「次はあんたにするよ」
フィランザは俺に目を合わせ、槍から斬撃を放った。
「フン、俺をターゲットにしたのが間違いだったな」
手袋を脱いで『魔の手』を露にし、前に向けた。
その手は俺に向かって飛んできた斬撃を吸い込んだ。
「バカか。避けもしないで立ってるなんて」
「バカはどっちだ。俺のこの左手は『魔の手』でできてるんだ」
前にケリウスから聞いてもらったが、『魔の手』は吸い込んだ衝撃を跳ね返すことができるんだ。
俺はフィランザに向かって左手を向ける。
すると、手の平から矢のような斬撃が飛んだ。
「なにっ!攻撃が跳ね返ってきた」
フィランザはギリギリで斬撃を避ける。
飛んでった斬撃は振り返り、もう一度フィランザに向かう。
斬撃はそのまま直進し、フィランザの背中を貫いた。
「なん…だと……!」
「お前本当にバカか。自分で言ったんだろ。その斬撃は自動追尾だって」
「そうだった!」
こいつ、本当に忘れてやがったのか。
それでも神かよ。
斬撃に貫かれた腹はぽっかりと穴が開いていて、奥が丸見えだ。
フィランザは地面に倒れ、苦しそうにもがきながら俺たちを睨む。
「この私が、たかが下等生物ごときに……」
俺はニヤリといやらしい笑みを浮かべ、フィランザに歩み寄る。
「下等生物によって殺される気分はどうだ?ん?」
「貴様あああ!」
フィランザは最後にその言葉を残し、煙を出しながら溶けていった。




