第61話 『闇の種族』
気がつくと、そこはもう別の世界が広がっていた。
赤い世界が広がっていた。
その光景を見て、口をぽかんと開けて唖然としてる奴もいる。
ドロドロとした真っ赤な溶岩が、見てておどろおどろしい。
奥に人型の黒い奴等が立っている。
あれが、闇族か。
俺たちは見つからないように岩陰に隠れた。
闇族は、俺たちの世界に来ると、擬人化するらしい。
その姿が俺たち魔人族の姿と似てるのだとか。
闇族の見た目は、全身真っ黒の体は人型で、頭が牛のようになっている。
「あれが闇族なのか?」
「ああ、見つかれば俺たちを襲いに来るだろう」
「それってどうしてなの?」
「俺が知ってるわけないだろ。そういう性格なんだよ、あいつらは」
「あの要塞に行きたいんだが……」
「要塞?」
「あそこに要塞があるだろ」
俺が指差した方向には、赤黒い要塞があった。
「あそこに何しに行くんだよ」
「あの要塞に『呪剣』があるんだよ」
「ジュケン…?」
「『狂魔の呪剣』のことだよ」
「とりあえず、あそこにいる闇族を殺すか」
見た感じ五人いるな。
「じゃ、行ってくる!」
「え、一人で行くの?」
俺は岩陰から姿を現し、闇族のいるところに向かって走り出した。
闇族は俺がいることを知ると、俺に向かって走ってきた。
「人間だ。人間がいるぞ」
「俺をあの人間扱いするな!」
俺は手袋をとり『魔の左手』で一気に闇族を掴んで消した。
振り返ると、ケリウスたちが走っているところだった。
「いきなり走るなよ、ラング」
「ここら辺はもう闇族はいないな」
もしかしたら村とかあるかもしれないが、もしあったとしてもそれらは用事を済ませてから始末する。
手から要塞の中に繋がる闇の渦を出す。
中に入ろうとすると、いきなり横から衝撃が走った。
何かがぶつかったのだ。
見ると、そこには紫色の鳥のような生物が倒れていた。
羽は刃物のようになっている。
「おい、大丈夫か!ラング」
「あ、ああ、ただぶつかっただけだ。怪我はしてない」
立ち上がり、ぶつかってきた鳥を確認する。
「おい、お前、何のつもりだ。いきなり攻撃してきやがって。今すぐ殺してもいいんだぞ!」
「すいません。僕、ある人から逃げてて」
「ある人?逃げる?」
なんか事情がありそうだな。
俺にわざと攻撃してきたわけじゃなさそうだし、ちょっと話を聞いてみるか。
俺は地面にしゃがみこみ、鳥の顔を覗いた。
「おい、逃げてるってどういうことだよ。なんか事情があんのか?」
「はい。実は僕、『女神』に追われてるんです」
「女神?」
「はい、『絶望の女神』です」
絶望の女神……この世界にいる女神か。
なんで追われてるのかは知らないが、何かしら事情があると思う。
もし事情がなかったら、容赦なく殺すだけだ。
とりあえずこの鳥の話を聞くとしよう。




