第44話 『虐殺』
「嫌だぁ!行きたくない!」
他の子どもたちの必死に泣き叫ぶ声を聴いて心が痛んだ。
でも、私には何もすることができなかった。
「お願い、子どもたちだけは――」
喋った女性に剣が突き付けられた。
「余計なことはぬかすな」
「お前等は大人しく俺たちに従えばいいんだよ!」
とことんクズね。
「おい、こいつらはどうする」
一人の兵士が男を指差して言った。
「ん?そうだな。あ、いいこと思いついた」
リーダー的な兵士は私たちを見てニヤニヤしていた。
嫌な予感がする。
「この女どもの前で殺そう」
思った通りの言葉が出た。
「まずはこいつからだ」
適当に選び、その男を私たちの前に連れていき、膝をつかせた。
兵士は腰にさしてある剣を引き抜き、男の横に立った。
そして手に持っている剣を上にあげる。
「やめてぇ!お願い!お願いします!その人だけは、殺さないでください!」
きっとあの人の家族の人だろう。
愛している人が殺されるところなんて見たくないだろう。
すると、兵士はニヤリとし、剣をゆっくりと下げた。
「わかった。すぐには殺さねえ。じわじわと殺してやる」
男の表情が絶望の色に染まる。
女の人は既に泣いていた。
この後のことを想像してしまったのだろう。
兵士は剣を腹に突き刺した。
その剣は腹を貫通していた。
男は口から血をこぼし、涙を流していた。
何かを言いたそうに口を開いている。
あまりの痛さに声も出ないのだろう。
兵士は次に剣を振り上げ、腹を切りつけた。
「っ!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
男の叫び声が村中に響く。
こんなの、聞きたくった。
「じゃあ、終わりだ」
兵士はとどめをさすように、男の首を跳ね飛ばした。
「お父さああああぁぁぁぁぁん!」
「あなたああああああ!」
「ああもう、うるっせえな。お前等、この二人黙らせろ」
すると二人の兵士が、泣き叫ぶ人たちを、口を抑えて黙らせた。
「さあて、次はどれ(・・)にしようかな~」
人を物みたいに言うなんて本当に不愉快。
次々と無残に殺され、次は五人目だ。
四人が殺される瞬間を見せられ、私はもう限界だった。
だが、それにまた追い打ちをかけられることになった。
次に選ばれたのは、私のお父さんだった。
「お父さん!」
呼ばずにはいられなかった。
「あなた!」
兵士は、私たちが家族だと知ると、お父さんを私たちの前に連れてきた。
「レイ――」
お父さんが喋り出した瞬間に、横から剣を突き付けられた。
「ひっ!」
「今度はお前が俺を楽しませてくれよ」
その瞬間、兵士はお父さんの体中に剣を振り、深く傷つけた。
傷からは血が大量に噴出する。
「あああああああああああああああああ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
こんなに苦しむお父さんなんて、見たくなかった。
これが国の兵士がすることなの?
あの国、絶対狂ってる。
「もういいや」
兵士は剣を片手で上げ、そのままお父さんの首目掛けて振り下ろした。
お父さんの首は地面に落ち、血がドバッと一気に出た。
色んな感情が一気に膨張した。
怒りや悲しみの感情が入り混じって何がなんだかわからなくなる。
私は、ゲラゲラと笑う兵士を、睨むことしかできなかった。




