第42話 『吸血鬼の恨み』
「俺だって属性くらいある」
「くそ!」
「余所見をするな!」
しまった!
グライズの方に気を取られていた。
向き直ったときには、もう俺が持っていた剣は宙に飛ばされていた。
尻餅をつくとともに剣が地面に刺さる。
気づいたときには、目の前に剣を突き付けられていた。
スランガが不適な笑みを見せる。
「フッ、勝負あったな」
スランガが刃先を俺に向けたまま、剣をあげる。
そしてそのまま振り下ろした。
終わったと思った瞬間だった。
いきなり強風が吹かれたのだ。
あまりの強風に吹き飛ばされたほどだ。
受け身をとり、見るとそこには、レイナが怒りに満ちた表情で宙に浮いていた。
目を赤く光らせ、コウモリのような黒い翼を広げている。
魔人族と同じような、覚醒的な何かがあるのだろうか。
「終わるのはあんたたちよ」
彼女はその言葉をスランガたちに言った後、背中にある翼で仰ぎ、風を吹かせた。
その風に吹かれ、スランガとグライズは飛ばされてしまった。
一瞬でグライズの前まで移動し、手から巨大な火を放った。
グライズの悲鳴が周りに響いた。
レイナは、スランガの落とした剣のところまで移動し、さっきのところに戻った。
一瞬で。
レイナは剣を握り、グライズに向かって振りつけた。
その瞬間、グライズの首が飛んだ。
綺麗な赤色をした血が空高く噴出する。
頭を無くしたグライズはそのまま地面に崩れ落ちた。
レイナが剣を立て、空を飛んだ首はその剣に向かって、落ちてきた。
そして丁度よく剣に突き刺さる。
グライズの顔は目が白目をむいており、口からは長い舌をだらしなく垂らしていた。
レイナは剣を思い切り下に向かって振り、頭を剣から離した。
そしてスランガに目をやる。
やばい。あのスランガも殺すつもりだ!
「待て!レイナ!」
レイナはその言葉を無視して、スランガのいるところに向かって走り出した。
ケリウスが飛びながら一瞬でレイナの前に下りると、両手を横に広げながら、
「止まれ、レイナ!」
だが止まろうとせず、そのままケリウスに向かって走ってきた。
ルシアもレイナのところまで走り、レイナを羽交い絞めにした。
だが、走るのをやめようとしない。
レイナはルシアを振り切り、ケリウスを翼でどかし、スランガに向かって走り出した。
覚醒すると理性を失う感じ?
クソ、めんどくせえ!
俺は空間に闇の渦を出し、その闇を通って、一瞬でスランガの前まで移動した。
「待てレイナ!」
すると、何をしても止まらなかったレイナが、俺を見た瞬間に動きを止めた。
翼が小さくなり、目の光も治まってきた。
落ち着いてきたようだな。
「お前に何があったか、知らないがこいつは関係ねえだろ。だから殺すな。どうせ殺すんだったら、俺の用事が済んでから殺せ!」
「………ごめん」
「わかればいいんだ。じゃあ用事を済ませるか」
振り返り、地面に倒れてるスランガを見下す。
「お前にはこれから俺の都合のいい道具になる」
ニヤニヤする俺を見て、スランガはその場から逃げようとしだした。
俺はスランガが逃げる素振りを見せた瞬間に思い切り顔面を殴りつけた。
「逃げんなよ~。殺すつもりはないんだから~。今は」
俺は笑顔でスランガに言った。
その笑顔からは闇のオーラを放っていた。
その表情が逆に怖かったのか、スランガはパニックになって、発狂しだした。
あまり傷つけると、錬金術が使えないかもしれない。
俺はケリウスにスランガを羽交い絞めにさせ、動かせないようにした。
そして紋章の刻筆で胸に刻みこむ。




