第37話 『脱獄』
あれからどれくらい経っただろう。
数分、数時間…………数日、いや、もしかしたら数年経っているかもしれない。
いや、さすがにそれはないか。
自分の考えのバカさに呆れつつ、檻の奥を見つめる。
…………あれ、おかしいな。
バカになったのかと目を擦り、もう一度見る。
幻か?
いや、違う!
幻でも、俺がバカになったわけでもない。
あそこにいるのは、ケリウスだ!
「っ!」
思わず大声を出しそうになる。
俺はケリウスにギリギリ聞こえるくらいの声でケリウスに話しかけた。
それに気づいたケリウスは、すぐにこっちに向かって走ってきた。
それにしても、なんでここにいるんだ?
どうやって脱獄したんだ?
やばい。謎が多すぎる。
わからないことが多すぎる。
だが、ケリウスが本物だということだけは確かだ。
「待ってろよ。今この檻を破壊してやる」
ケリウスは少し下がり、手から闇を出し、檻に向かって放った。
放たれる瞬間に巨大になる。
闇!?なんで放てるんだ?
闇が通り過ぎても俺は消滅しなかった。
檻の方に目を向けると、そこに檻はなかった。
消した……ってことか。
とりあえず、細かいことは後で考えるとして、今は脱獄できたことに感謝するか。
「これからどうするんだ」
「ルシアを助けるに決まってんだろ!」
小声で怒鳴り、急いでルシアのいる牢屋を探す。
「くそ、どこだよ。どこにもいねえぞ!」
「もしかしたら、ここにいないのかも」
「じゃあ、いったいどこに………」
考えてる時間が無駄だ。
とりあえずルシアを探すのは後回しだ。
上に続く階段を上り、誰にも見つからないように色んな部屋を探索していった。
だが、三人の兵士に見つかってしまった。
一瞬ビビッてしまったが、あることが頭に浮かんだ。
ケリウスが闇を使えるようになったってことは、俺も使えるってことだよな?
試すまでだな。
手に力を込める。
すると、闇が手に纏われた。
できた!
「死ね!」
その闇を兵士に向かって放ち、兵士は叫ぶ暇すら与えずに消滅した。
属性無効がなくなってるってことは、その持ち主、つまり国王が殺されたってことだよな?
くそ!俺の手で殺したかった。
闇が使えれば、もうお前等に勝ち目はない!
探索し続けて数分が経ったころ、ある部屋を見つけた。
宝庫だろうか。
キラキラした装飾品などがたくさんある。
その中には、凄まじいオーラを放った剣が真ん中にドンと置かれていた。
こいつが、恐魔の宝剣。
近くまで移動し、宝剣に手をかける。
触れるだけで罪って感じだな。
「おい、兵士が大勢ここに来たぞ!」
見張りを頼んどいたケリウスが声を上げる。
「大勢で来たからって俺は負けない」
自信たっぷりといった感じで、口を開く。
廊下に出て、乱れた足音の聞こえる方へ体を向ける。
手に魔力を込め、思い切り放つ。
廊下内を覆いつくすほどの大きさで放たれた。
闇の奥から兵士たちの断末魔が響き渡る。
フン!愉快愉快。
じゃ、宝剣は盗むことができたし、後はこの城の中の奴等を無双して、とっととここを去るか。
なぜかできたことになってますが、なんでできるようになったかは後で明かされます。




