第32話 『同種族』
お待ちかねのヒロインです。
「最近お前また余計なことしてたろ」
「ん?なんのことだ?」
「昨日死体が道端に転がっていたと今噂になってるぞ」
「早えな。もう噂になってるのか」
「なんでそんなことするんだよ。バレたらどうすんだ」
「大丈夫だ。バレねえ」
「何を根拠に言ってるんだか。で、なんでって?ストレス発散なら一人で十分だろ」
「まあ確かにその理由なら一人で十分だが、俺が大量に人間を殺したのには理由がある」
「ほう、堂々と言ってるからちゃんとした理由なんだろう」
「強くなるため、とでも言っておこうか」
「強くなるため?」
「そうだ。殺せばレベルも上がるし、力もつく。そして快楽を得られる。これほどいいことはないだろう」
「じゃ、そろそろ行ってくるわ」
支度をし、扉に手をかける。
外に出て学院に向かった。
授業が終わり、休み時間だ。
廊下を歩いていると、前の方から女が立っていた。
顔はいい方、なのか?俺にとっては人間皆ブスだからな。
それなのに、可愛いと思えるとは、相当だろう。
俺はそう感心しながら、女を見つめる。
だが、そんなの関係ない。
次はあいつにしようかな。
その考えは、すれ違いざまで消滅した。
窓から風が吹き、女の髪の毛が乱れる。
そのときに角を露にしたのを、俺は見逃さなかった。
この女は俺と同じ種族―――――魔人族なのだ。
俺は角が見えた瞬間、女のところまで走って前に立った。
女が頭に?を浮かべている。
こいつ、頭隠さないのか?
角が見られたら魔人とバレるぞ。
「お前、魔人族か」
その言葉を発した瞬間、女が俺を睨みつけ、いきなり攻撃をしかけてきた。
俺はその攻撃をすんでのところで避ける。
こいつを殺すわけにはいかない。
俺と同じ種族だからな。
「待て。落ち着け。俺はお前を差別しない!俺もお前と同じ魔人族だからな」
すると女は睨むのを止め、攻撃をするのもやめた。
「………………本当……?」
「ああ、本当だ」
証拠の角を見せるためにフードを外す。
髪で少し隠れた角を見て、信じてくれたようだ。
俺は相手に敵意がないことを知ると、女に近づいた。
「お前、頭隠さねえのか?そのままだと絶対バレるぞ?」
「大丈夫よ、髪で隠れてるから」
「その髪が揺られて角が見えたんだが」
「とりあえず、俺みたいにフードで隠せよ」
「そ、そこまで言うなら、そうするわ」
女は仕方ないなとフードを被り、頭を隠した。
顔が隠れるのは惜しい気もするが、これでもうバレる心配はないだろう。
でも、絶対安全というわけではないんだよな。
学院の不良とかに無理矢理外されてバレるという可能性も低くはない。
まあでも、これでバレる可能性は低くなっただろう。
二人で教室に戻ることにした。
「お前、名前は?」
「ルシア・ラリーナよ」
「ルシアか。俺はラングだ。呼ぶときは呼び捨てでいい」
「ラング……ね。覚えたわ」
ルシアは俺をじっと見つめながら顔を赤くしていた。
なんで顔を赤くしてんだ?
…もしかして、俺のことが好きなのか!?
なわけないか。
でも、もし好きだったら、俺とS〇Xしてもらうか。
俺の性処理をしてもらう。
想像すると、思わずニヤリとしてしまうな。
あまり妄想しない方がいいかもしれない。
「お前、どこに住んでるんだ?」
すると、一気に表情が暗くなる。
訊いちゃまずいことだったか。
「………家はない」
家がない!?
衝撃的すぎて一瞬思考停止する。
よくないこととは思ってたが、まさかそこまでとは……。
「親はいるのか?」
「親もいない。昔死んだ」
俺と……同じ道を歩んでるな。
なんでこの学院に入学したんだ?
と訊こうとも思ったが、訊きすぎるのもよくないと思い、訊かないことにした。
「なるほどな。なんで魔人族だけこんな苦しまなきゃなんねえんだろうな」
「……そうね」
ルシアか。
こいつは俺の気持ちをわかってくれるだろう。
仲間にするか。




