第33話 『てめーは俺を怒らせた』
人間はクズ。
それはいつになっても変わらないな。
「おい、そのフード外せよ」
不良の連中がルシアの前に立って絡んでいた。
害虫だな。今日の内に殺しとくか。
黙って見ていると、不良が無理矢理フードを外しやがったのだ。
そのときに角が見えたのか、不良等はいきなりニヤ~ッと悪い笑みを浮かべた。
男はルシアの耳に顔を近づけ、
「お前、魔人族だろ」
とニタニタしながら小声で言い放った。
「安心しろ。俺は優しいからな。バラしやしねえよ。ただし条件がある。俺の性奴隷になれ」
一気に怒りが膨張する。
脅迫するとは、とことんクズだな。
「もしそれが嫌だって言うんだったら、わかってんだろうな」
男はずっとニヤついた顔を貼り付けている。
なんでずっとニヤニヤしてやがる。
ダメだ。
ここでは暴れない方がいい。
ルシアは何も言わなかった。
怯えているのだろうか。
それとも、怒り感情を抑えてるのか?
どちらにしても、傷ついてるのは確かだ。
「………嫌よ」
「なっ!」
まさか断られるとは思ってなかったのか、男は情けない声を漏らした。
「へ、へぇ~、じゃあいいんだな?」
男はニヤニヤしながら言う。
何がそんなに楽しいんだか。
俺には到底理解できない。
男はそのニヤニヤした表情を貼り付けたまま、ルシアから目をそらした。
そして大きく息を吸うと、
「みんな、こいつは魔人ぞ――」
バンッ!
気づいたら、男は壁にぶつかり、倒れていた。
右手がひりひりする。
男の頬は抉れていて、そこに黒い何かがついていた。
そこで、俺は男を殴ってしまったとわかった。
考えるより先に行動していたのだ。
教室にいる奴の視線が俺に集まる。
くそ、教師の奴等に目をつけられたくねえぞ。
色々と俺、怪しいからな。
フードでほとんど顔隠れてるし、闇属性だし。
倒れた男はピクリとも動かない。
………死んでる。
人がいる前で人殺しをしたということか。
それだと退学にされてしまう。
………別にいいんじゃないか?
俺がこの学院に入学したのは強くなるためだ。
俺は十分強くなることができたし、ずっとこの学院にいてもこれ以上強くなることはないだろう。
それならもう、ここにいる必要はない。
俺はその後、校長室に呼び出された。
「お前何したかわかってんのか!」
イージマが怒声を上げる。
「これだから闇属性は」
なぜ闇属性だからって差別されなきゃならんのだ。
人間はなぜ個性をバカにするのだろう。
俺には全く理解できない。
「だいたい、なんで頭を隠している!フードを外せ!」
「これはファッションだ。別にフードを被ったらダメという校則はないだろ」
「何か隠してんだろ?早く外せ」
どうせ、もう殺すんだからバレてもいいか。
俺は素直にフードを外すことにした。
フードを外し、角を露にすると、教師たちは一瞬驚いたが、急に態度を変えた。
「闇属性の上に魔人族か。これは早く捕まえないと大きな犯罪を犯すな」
そんな考えをするから嫌いなんだ。
まあ、でもあながち間違ってないな。
魔王になって世界を支配するんだからな。
俺ら魔人がそんなことをする原因がお前等にあるということを、知らないのか。
はあ、クズな上にバカなのか。
もう今すぐにでも殺そう。
俺は手から闇を出すと、一瞬でイージマの前まで移動し、顔面を思い切り殴りつけ、頬をえぐり消した。
一瞬で壁まで飛び、地面に落ちる。
見ると、気絶―――――死んでいた。
急な状況に脳が追い付いていないのか、校長はブルブルと体を震わせて、立ち尽くしていた。
「ぽかぁんとアホみたい顔して恥ずかしくないのか?」
俺は笑いながら校長を煽っていた。
「じゃ、死ね」
最後の部分だけ低く言い放ち、闇を出し、校長に向かって放った。
気づけば校長室がなくなっていた。
空間が消えたっていうのか?
まあいい。
もうこの学院に用はない。
俺は誰にも見つからないようにルシアを探し、見つけると二人で外に出た。
「何するの?」
「いいから見てろって」
闇以外も使うか。
手から火の玉を出し、学院に向かって放った。
その瞬間、学院は爆発し、燃え尽き、大惨事となった。




