第28話 『犯人が見つかったようだ』
そして次の日、あの男の席だけ空いていた。
それも当然だ。
あいつは死んだんだからな。
「あれ、あいつの席だけ空いてない?」
「サボりとかじゃねえのか?」
そんな会話があちこちから聞こえてくる。
ドアのバン!という音で、一気に教室中が静かになる。
イージマが凄い形相で教室に入ってくる。
「お前等、実は――」
あの男が行方不明になった。
その言葉を発した瞬間、また教室が騒がしくなる。
誘拐?
神隠し?
殺されたんじゃないの?
色んな声が聞こえてくる。
俺的には神隠しとかそういう感じで片付けてほしいんだけど、無理そうだな。
「だからお前等は今日は休みだ」
どうやら俺たちがやったとは考えられていないようだな。
俺は学院を出て、家に向かった。
家に着いたはいいが、ケリウスがいないぞ。
そっか、金盗みに行ってるのか。
数時間が経過すると、ケリウスが帰ってきた。
「あれ、なんでいるんだ?学院は?」
「実はな」
俺は昨日と今日あったことをケリウスに話した。
「面倒ごとを起こしたのか」
「でもな、俺が疑われることはないだろうから安心しろ」
「その自信はどこから出てくるんだか」
「金はどれくらい手に入った?」
「金貨六枚だ」
ケリウスはニヤニヤしながらローブの内ポケットから袋を取り出す。
確かにそれくらい入ってそうだな。
「まあまあだな」
「な、六枚だぞ六枚!」
「ああもうわかったよ」
「ついでに商店街の方でも食べ物を堂々と盗んできた」
「堂々!?大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。ちゃんとこのローブを被ってたから、顔は見られてないはずだ」
それって本当に大丈夫なのか?
「で、食べ物は?」
「これだ」
手の平を下に向けると、その空間に波紋が出る。
そしてそこからキノコと魚が落ちてきた。
「これを盗んできたのか?もっといいのなかったのかよ?」
「他にもあったんだけど、迷った結果この二つを選んだんだ」
こいつは何ドヤ顔で言ってんだ。
「料理できるのか?」
「まあな。ここでずっと一人暮らししてたわけだし」
話をしながらケリウスは厨房に向かう。
そして料理をしだした。
「できたぞ」
置かれた料理を食べてみる。
「まあまあの味だな」
「まあまあが多いな」
そして、二日後。
今日も休みだ。
ある情報が耳に届く。
犯人が見つかった。
俺じゃない奴が犯人にされたのか。
殺人事件があったことは街中に噂されてるから、犯人が捕まったのもすぐに広がったのだろう。
街を歩いてるときにババアの雑談で聞こえてきたんだ。
犯人が見つかったんだから、もう俺だとバレる心配はないな。
次は誰を殺そうかな。
バレなきゃいいだけだから、殺しても問題ないだろう。
あいつらは俺のストレス発散用のおもちゃになってもらう。
一気に殺すと、俺だとバレるだろうから、一人ずつ殺そう。
思わずニヤリとしだす。
それを見てケリウスが、
「何ニヤニヤしてんだよ……」
引き気味に聞いてきた。
なんだこいつ、自分の立場わかってんのか?




