第27話 『我慢できない』
教室に向かい、席に座る。
こいつらが俺のクラスか。
人数は十五人程度、まあまあだな。
「おい」
いきなり声をかけられる。
見ると、人間が三人俺の前にいた。
目が吊り上がってて、性格悪そうだな。
ただの偏見だけど。でも、本当に性格悪いだろうな。
「お前に話しかけてんだよ!無視すんな!」
いきなり怒声をあげる。
俺はフードで隠れていた目を男たちに覗かせ、睨みつけた。
一瞬怯んだが、
「な、なんだよ。俺を誰だと思ってる。闇属性のくせに、調子乗ってんじゃねえぞ!」
まず声からして悪そうだもんな。
ここは冷静に対応するんだ。
今殺すわけにはいかない。
「はあ、ちっせえなぁ」
ため息をはき、愚痴を零す。
「あ?誰に口きいてんだ!」
「だから、心がちっせえつってんだよ!気づけこのバカ!」
暴言を吐いた瞬間、男は顔を真っ赤にする。
「後悔しても知らねえぞ!」
男は俺に向かって殴り掛かってきた。
俺はそれを軽く避ける。
振り向くと、男は情けない表情をして倒れていた。
「クソ!だいたい、きめえんだよ!なにずっとフード被って顔隠してやがる」
別に顔は隠してるつもりはない。
フードがでかくて少し顔半分が隠れてるだけだ。
俺が隠してるのは頭の部分だ。
角が見られるわけにはいかないからな。
「………………」
黙って男を見下ろしていると、いきなりニヤリときもい笑みを浮かべる。
「そこになんか隠してるんだな?」
「…………」
男が俺の後ろに目をやる。
後ろの奴とアイコンタクトしてるんだな。
後ろから外させるつもりだろ。
バレバレだ。
「今だ!」
その合図とともに、後ろの奴が俺のフードに手を伸ばす。
俺は一瞬で振り向き、その手を掴んで地面に叩き落とした。
「クソ!」
男は俺の前まで走り、フードに手を伸ばす。
俺の反応が遅かったのか、フードは掴まれてしまった。
一瞬、頭が見え隠れする。
次の瞬間、男は倒され、俺が男の胸倉を掴んでいた。
俺はその情けない表情をしている男を睨みつける。
俺は誰にも聞こえないような小ささで、
「このフードだけは絶対に外すな」
冷たい声で、男にそう言い聞かせた。
「は、はい」
「言ったな?」
俺は胸倉を離し、席に戻った。
周りから視線を感じる。
面倒なことにはならなきゃいいがな。
それから数分経つと、ドアが開き、色んな装飾がされたローブを着た男が入ってきた。
俺たちの前に立つと男は、
「今日から三年間、お前たちの教師になるイージマ・タケヲだ」
ださっ!
喉元まで出かかったその言葉をぐっと堪える。
そ、それにしても珍しい名前の奴もいたもんだな。
違う国の奴なのか?
苗字も変だし。
タケヲってなんだよタケヲって。
「今日はプリントを配布して下校だ」
全員に紙が配られた。
見ると、この学院のことが色々書いてある。
帰りの支度をし、教室を出ようとすると、後ろから肩を掴まれた。
振り向くと、さっき俺を煽ってきた男がいた。
一人のようだな。
ちなみに今教室にいるのは、俺とこの男だけだ。
「さっきはよくも俺に恥をかかせてくれたな」
こいつ、全然懲りてねえな。
すると、いきなり俺のフードを掴んで外し、頭を露にした。
男は俺の頭を見て、唖然としている。
角を見て、俺が魔人族だと察したようだ。
男は顔をニヤリと歪ませる。
「これがバレたらどうなるんだろうな~」
男はニヤリとした表情を貼り付けたまま、話を進めていく。
なんとなく言おうとしてることはわかるが……
「そうだ。俺が内緒にしてやるよ。その代わり、お前は今日から俺の奴隷だ」
そのワードを聞いた瞬間、一気に殺意が芽生える。
バレたなら、殺すまでだな。
殺したとしても、バレなきゃいいのだ。
簡単なことじゃないか。
もうこいつには隠す必要はないと思った俺は、フードを被らずに男に向かって歩み寄った。
「な、なんだよ」
「お前を殺せばいいって結論に至ったんだよ」
「は、はあ?お前何言ってやがる!正気か!?」
「十分正気だ」
「す、すまん。さっき言ったことは謝る。だから殺さないでくれ!」
また命乞いか。
どいつもこいつも。
「助けてくれ!」
俺は闇を放ち、男の手めがけて当てた。
当たると、そこから徐々に消滅しはじめた。
「う、うわあぁぁ~」
俺はニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、
「痛みに苦しみながら死ね!」
「痛い痛い痛い痛い痛い!やめてくれえ~!」
男は涙でぐしょぐしょになった顔で俺を見つめる。
気持ち悪い。
そのキモい顔ごと跡形もなく消滅しろ。
「嫌だ。死にたくない。死にたくないいい!」
それを最後に男は完全に消滅した。
最後の最後まで命乞いか。
いったい、人間って奴はどこまで腐ってるんだか……。




