第23話 『仲間という名の奴隷』
「……なるほど、そんな過去があったのか…」
さっきからこいつ、俺に似てんなと思ってたけど、そんな過去があったら無理もないか。
「……わかった。ついていってもいい」
「でも、裏切ったら奈落の底に落とされても地獄の底から這い上がってお前を殺しに行くからな」
悪、黒、闇、どれで例えても完全に表すことができない。
普通の人なら怯えながらぶるぶると震え、身動きができずに絶望するだろう。
だが、ケリウスは俺をまっすぐに見ている。
これは、裏切らないから平気なのか、裏切っても負ける気がしないのか、どちらもあり得るな。
「わかってる。怪しい動きをすればすぐにでも殺していい」
仲間ができて悪い気はしない。
だからといって、安心もできない。
俺はまだこいつを完全に信用したわけじゃないからな。
さっきの話だって、嘘の可能性もある。
それにこいつは人間だ。
裏切られる可能性は十分にある。
だから例えこいつが俺を信用しきっていたとしても、俺はこいつを信用しない。
あ、そうだ。いいこと考えた。
俺はケリウスに向かってニヤリとした笑顔を浮かべる。
俺はポケットからある物を取り出す。
それは、紋章の刻筆。
「それは……」
「これでお前の胸に奴隷紋を描く。別に問題はないよな」
「……ああ、わかった。それで俺が裏切らないと証明できるなら」
胸に奴隷紋を刻む。
これで、こいつは俺の奴隷ってわけだ。
「じゃ、当分ここで暮らさせてもらう」
「え?」
「俺は住む家がないからな」
「なんで、旅に出るんじゃないのか?」
「近いうちに、近くの魔術学院で入学試験がある。俺はそこに入学して強くなるつもりだ。だからそれまで、暮らさせてもらうと言ってるんだ」
「は、はあ」
あまりよくわかってない様子だ。
「まずは受験料が必要だな。金はあるか?」
「ああ、盗んで貯めてた金がある」
「いくらだ?」
「金貨五十枚くらいだな」
「まあ、それくらいあれば十分だろうな」
「………魔術学院って俺も入学しないといけないのか?」
少し低い声でケリウスは言った。
「当たり前だろ。お前も強くなってもらわないと、って元から強いのか。でも、それより強くなるためにお前も入学してもらう」
すると、ケリウスの表情が一気に曇る。
その顔を見て察した。
「……わかった。お前は入学しなくていい。学費とか必要だからお前は毎日最低でも金貨五枚を盗めよ?」
「ああ、入学するくらいならそれの方がよっぽどマシだ」
「申し込みとかそういうのは、お前に任せた」
「え、俺が!?」
露骨に嫌な顔をするな。
「じゃ、頼んだぞ」
俺はケリウスの言葉を無視して、話を終えた。
玄関に行き、ノブに手をかける。
扉を開けて外を見ると、さっき殺した死体が無造作に転がっていた。
手を前に向ける。
すると、死体の上に闇の渦が出現し、それが下がり死体を消した。
ほぅ、やはり闇は強い。
闇の呪いが手に入らなかったのは残念だが、これだけでも十分に奴等に復讐できるだろう。
やっぱりあいつは使えるな。




