第21話 『魔術師VS天使』
なら、地道に一人ずつ呪いを解くか。
いや、それじゃ、時間がかかるし、黒の魔術師がまた闇の呪いをかけるかもしれない。
なら、僕が黒の魔術師を倒せばいいんじゃないか?
僕がみんなを救ったとしても、黒の魔術師がいれば、また世界に闇が訪れる。
そうさせないためにも、やっぱり僕が倒した方がいいだろう。
なんとか立ち上がり、ある方向を睨みつける。
その方向には、アルクスカ大陸がある。
そこに黒の魔術師がいるのだとか。
「僕が世界を救ってみせる」
それを最後に、僕は飛んでアルクスカ大陸に向かった。
「もう殺してくれ~」
情けない声でそんなことを言っている。
それを聞いたのは何回目だろうか。
俺は、この十日間、ずっと人間を傷つけている。
ちゃんと魔法で逃げられないようにしてあるから、抗うことはできない。
こいつらは俺の完璧なおもちゃと化したのだ。
「前に言ったよな?殺さないって。俺、約束は守る主義だから、殺すわけにはいかないんだよ」
俺は無意識にニヤニヤしていた。
バンッ!
扉の開く音が、部屋中に響き渡る。
扉の方に目を向けると、そこには男が立っていた。
背中には白い翼が生えている。
なんだ、天使か?
「なんだ、俺を倒しにでも来たのか?」
「そうだ!君を倒して平和な世界を取り戻す!」
男は戦う構えをとった。
「なんだよ、ヒーローきどりか?気持ち悪い」
男はその言葉を無視して、どこかを見ていた。
そこには、傷だらけになっている俺の奴隷がいた。
「その傷、あんたがやったのか…?」
「ん?ああ、そうだ。いいだろ、別に。俺のおもちゃなんだし」
男は拳を握り、ぶるぶると震わせていた。
怒ってんのか?
「そんなことして、罪悪感はないのか?!」
俺は鼻で笑った。
「他人の命なんてどうでもいいんだよ。誰かが苦しもうが、誰かが傷つこうが、俺が傷ついてるわけじゃない」
その瞬間、男は手を俺の方に向けた。
やばい、ここに中にいると死ぬ。
手に魔力を込め、光を放つ。
俺は当たる寸前のところで、窓を突き破って外に出た。
窓から光が漏れる。
城の中が光に囲まれてるのがわかるな。
城が崩れ、そこから翼を広げた男がこっちに向かって飛んできた。
俺はそいつに闇を放った。
だが、全部避けてこっちに向かってきた。
しぶといな。早く死ねよ。
心の中で舌打ちをしながら、俺も男に向かった。
近くまで来たところで、手から闇を出し、男に向かって放った。
それと同時に、男も手から光を出し俺に向かって放つ。
周りは、光と闇に包まれた。
闇は光さえも呑みこむんだよ。
内心そんなことを考えながら、光を放つ彼に向かって闇を放ち続けた。
だが、光はどんどん巨大化していき、次第には闇を呑み込んでしまった。
なんで、俺の方が吸い込まれる形になってんだよ!
混乱しながら、男を見つめる。
眩しい。
体から膨大な光のオーラを放っている。
やっぱり神の力には及ばないか………
俺はそのまま落下し、地面に叩きつけられた。
その後に、男が舞い降りた。
「まだだ!俺は人間を苦しませないと気が済まない!」
そんなことを言っているが、俺はもう半分諦めていた。
一回やられた時点で、もう俺に勝ち目はないと確信した。
「みんなの呪いを解くんだ」
俺を見下ろしながら、低い声を漏らす。
それが天使のやることかよ。
俺は素直に従うことにした。
「わかったよ。呪いを解く」
俺は手に魔力を込め、指を鳴らした。
これで、みんなの呪いは解かれたはずだ。
男は手から光を出す。
「じゃ――」
「ま、待ってくれ。殺さないでくれ!」
「殺しはしないよ」
それを聞いて安堵のため息をつく。
「君は不老不死の体になってもらう」




