第18話 『支配』
耐えられなくなったのか、暴れながら立ち上がり、どこかに走った。
気になったから、飛んで追いかけることにした。
あいつは何をしてるんだ?
ずっと走っている。
何かを探してるように周りも見ながら走っている。
だが、ついに本当に耐えられなくなったのか、発狂と号泣が混ざり合ったような叫び声になった。
地面に膝をつき、頭を思い切り地面に打ち付ける。
何度も何度も。
痛みが和らぐとでも思ってるのだろうか。
なんて見苦しい姿なんだ。
頭を打ち付けすぎたせいか、でこには醜い傷ができており、地面には赤いドロッとしたものが付着していた。
自殺がしたかったのだろうか。
自殺ができるような場所を探したが、ないから仕方なく頭を打ち付けてる的な?
まあ、そんなの俺には知ったこっちゃないんだけどな。
数十分経ってもずっと叩き続けてる。
死ぬまでやめないと察した俺はそいつから目をそらした。
それにしても、他の奴等どこに行きやがった。
そういえば、こいつら東に向かって走ってたな。
そこにみんな逃げてるかもしれない。
俺はあいつらが向かった方向、東に飛びながら向かった。
どうやら、もうこの国には誰もいないらしい。
隣国に逃げたか。
国の壁を越え、隣国に着くと、そこの地面に下りた。
俺が降りた瞬間にそこにいた奴等が俺を見た。
すると、そいつらが俺を囲み、持っていた剣を俺に向けた。
鎧も着てるし、騎士か兵士か?
「お前か、人を殺してるのは」
全員俺を睨みつけ、その中の一人の騎士が言った。
なんだ?もう俺の情報が広がってんのか?
まあいいや。
「うぜえな~。呪いをかけてやろうか?」
一人ひとりを睨みつけ、ニヤリと笑みを見せる。
俺を囲む全員の体から闇を出し、纏わせた。
数秒経ち、闇が消えると、俺に剣を向けるのをやめ、どこかに行ってしまった。
あ、いいこと思いついた。
この大陸の半分の人間に呪いをかけて傷つけあってもらい、後の半分は恐怖に怯えてもらう。
俺、天才か?
そうと決まれば早速行動に移すか。
俺は上空に向かい、大陸の左半分に巨大な闇の靄を出した。
国の中で争いが起こり始める。
どこかの国に向かってる奴等もいる。
右半分に向かうのも時間の問題だな。
後は勝手に苦しんでくれるだろう。
じゃあ次は、セイラン大陸だ。
覚悟しておけよ。
ニヤリとしながら、心でそう呟く。
アルクスカの奴等から目をそらし、飛びながらセイラン大陸に向かった。
「あ、見えてきた」
無意識に悪い笑みを浮かべる。
無事に着地すると、近くにいる奴は俺を不審に見ていた。
「じゃ、やるかな」
笑顔で言うと、自分の体から闇の渦を出し、大陸の半分を一気に呑みこむ。
悲鳴や叫び声が聞こえたが、すぐにその声もしなくなった。
フッと闇が消えると、悪に満ちた奴等がそこにはいた。
何かを呟きながら近くの人間に殴ったり、剣で切ったりする奴もいれば、どこかに向かう奴もいる。
他の大陸、エーデン大陸とアキラセ大陸にも向かい、大陸の半分に闇の呪いをかけた。
それにしても、エルドの奴、どこにいやがる。
どの大陸にもいなかったぞ?
海にでも沈んだのか?
それは困る。
エルドだけは、俺の手で殺したいからな。
アルクスカ大陸に向かい、城に戻った。
その大きなドアを開けると、その奥にはなぜか大勢の人間がいた。
そして一斉に俺を見ると、ひっ!と情けない悲鳴をあげ、怯えはじめた。
「な、なな、なんでここが」
あ~、なるほど。
誰もいないからここが安全と判断したのか。
残念ながら、ここは俺の家だったんだな~。
俺はニヤリといやらしい笑みを浮かべる。




