第12話 『友達とは』
「おい、殺人鬼。なんで今日も来た」
「………」
「何無視してんだよ!」
男に思い切り腹を殴られる。
「ううぅぅうぅう」
あまりの痛さに腹を抑えて唸り声をあげる。
「何しやがる」
俺は男を睨みつけた。
男の名前?
こんなクズの名前なんて一々覚えてられるか。
「俺は正義としてやったんだ。だから何も悪くない」
髪の毛を掴みながら俺を睨みつける。
「なら、お前を殺ってもいいんだぞ」
俺は男を睨み返しながら、怒りの籠った声をあげる。
男は一瞬怯んだが、
「いいのか?俺を攻撃しても悪いのはお前ってことになる。そして退学になるかもな」
俺を見下しながら、男は話す。
その瞬間、エルドが男をぶん殴る。
男は尻餅をつくと、
「いってえ、何しやがる」
「こいつは俺の友達だ。だから殴って当然だろ。俺から見ればお前の方が悪だ」
「………ちっ!」
男は大きく舌打ちをすると、起き上がり席に戻った。
放課後になると、教室を出て帰った。
その途中、路地裏の方で声が聞こえてきた。
なんだと思い、隠れながら行ってみると、そこにはなぜかあの男とその他五人、そしてエルドがいた。
どういうことだ。
隠れたまま、耳を傾ける。
「お前、いつまであいつと一緒にいるつもりだよ」
「うーん、卒業式が終わったくらいのときかな」
「それまで耐えれるのかよ」
「当たり前だろ。ケリウスの絶望する顔を見るなら苦じゃない」
え?
一瞬、思考停止する。
どういうことだ、エルド。
お前、俺に優しくしてくれたじゃないか。
なのに、なんでそんなこと言うんだよ。
「お前もいい考えをするな。友達と思わせておいて最後の最後に裏切って絶望のどん底に落とすって」
「だろ?俺頭いいからな」
エルド、俺はお前を友達と思っていたのに、お前にとってはただのおもちゃだったのか。
いつものあの笑顔は偽物だったってことか。
目が霞む。
目からポロポロと涙が流れていた。
「それにしてもあのとき殴ったとき結構痛かったんだけど」
「え、そうか?手加減したと思うんだが」
その場から離れようとすると、足音がなってしまった。
「誰だ!」
思わず逃げ出す。
「あ、待て!」
俺が今まで生きていけたのは、お前がいたからと言っても過言ではない。
それほど、エルドを信じていた。
それがたった今、簡単に裏切られた。
なんとかエルドたちから逃げ切り、家に帰る。
次の日の放課後、俺はエルドを呼んで教室で二人になった。
「どうしたんだよ。あ、もしかして悩み事でもあるのか?あいつにまた殴られたとか」
いつもの笑顔のはずなのに、何かを企んでるようにしか見えない。
「確かにうまいな。俺も怪しまないわけだ」
一瞬、何言ってるの?という用な表情をしていたが、すぐにわかったようだ。
一瞬で俺への表情が冷たくなる。
「なんだよ、バレてたのか。いつバレた?あ、昨日のやつ?」
「…………」
「やっぱり?ハハハ、ならもう演技はしなくていいな」
「お前を地獄のどん底に落とすのは、俺だ」
エルドは俺を見下しながらどす黒い声を漏らす。
この世界も捨てたもんじゃないって思ってたけど、やっぱり腐ってるな。
そうか、人間がいるからなのか。
人間を滅ぼせば、この世界は綺麗になる。
俺の中の闇が膨張する。
光の感情が消えていく。
――破壊したい。
その考えが頭を過った瞬間、
ピコン
―――――
スキル『闇の呪い』を習得しました。
―――――
俺は手から巨大な闇を出し、エルドに向かって放つ。
エルドは闇に当たる瞬間にニヤッとしながら光って消えた。
瞬間移動か。
ちっ、逃がしてしまった。
でも、いつか絶対に殺してやる。
この身をかけてもな。




