第11話 『闇属性のリスク』
ここから、何話かケリウス目線になります。
「魔王?」
「この世界に君臨し、人々を脅かす存在だ」
人々を脅かす……
いいかもな。
俺は片方の唇を引き上げ、ニヤリと顔を歪ませる。
「魔王か。いいかもな。人間みたいなクズは俺が壊してやる。俺のおもちゃとして、何人も殺してやる」
俺の声が恨みの籠ったように徐々に低くなっている。
強くなって魔王になり、復讐する。世界の人間ごと!
人間は滅んだ方がいい。
その考えだけはいつになっても変わらないだろう。
人間は皆クズだからな。
だから、俺が魔王になって人間を始末すればいいんだ。
でも、ただ始末するんじゃない。
俺の奴隷にしてこき使ったり、おもちゃとして傷つけたりしてから殺そう。
俺が魔人たちを救う。
「フッ、フハハハハ!この先のことが楽しみだ!ありがとよ、いい案をくれて」
「お前は殺さないでおいてやるよ」
俺はケリウスに背を向け、ドアノブに手をかける。
「………待ってくれ」
「んぁ?なんだよ」
「俺を、仲間にしてほしい」
「はあ?なんでそうなる?!」
「俺も世界を滅ぼしたいから」
「はあ、だから人間はクズなんだよ」
「?」
「お前は人間だろ。なのに、人間を殺そうとする俺の仲間になろうとするとは」
「人間は人間とも戦う。同族と争うのは俺のは到底理解できない。ったく、人間はどこまで腐ってやがるんだか」
俺は呆れたように首を振る。
「だいたい、お前は人間だ。そんな奴と一緒にいるとか、耐えられるか。吐き気がする」
もう一度背を向け、今度こそ出て行こうとする。
が、ケリウスの次の言葉を聞いて俺はピタリと止まった。
「……俺は、過去に裏切られたことがある」
「どういうことだ」
思わずケリウスに近寄る。
「俺は昔――」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
太陽の光で目が覚める。
俺はベッドから起き上がり、着替えて外に出た。
俺の名前はケリウス・センエラー、十六歳。
貴族の三男に生まれ、結構贅沢をしている。
豪邸に住んで、メイドもやとっている。
だが、俺には不満を抱いていることがある。
俺の属性だ。
―――――
ケリウス・センエラー
職業:魔術師
属性:闇
―――――
これはステータス魔法で、自分の今の状態を数値で表すことができる魔法だ。
で、属性を見てほしい。
闇だ。
この世界で数少ない属性の一つだ。
どうやら俺はハズレを引いたらしい。
闇は強いが、それなりにリスクもある。
自分の心を悪にするのだ。
だから、将来人殺しをする可能性は非常に高い。
だからか知らんが、俺は他人に軽蔑されている。
話かけても完全に無視する人もいれば、俺を睨みつけて、暴言を吐く奴もいる。
さらには、俺を殺そうとする人まで出てきた。
正義のつもりなのだろうか。
俺の周りの人間は、俺にそんな対応をとる。
ありえないことに親もな。
俺が手から闇を出すのを見てから完全無視を決め込んでいる。
まるで俺がそこにいないような錯覚を覚えるほどだ。
兄二人は話しかけるのに。
でも、ご飯はちゃんと俺の分もつくっている。
豪華なやつを。
俺はそんな豪華なご飯はいいから、俺とちゃんと話してほしい。
ちゃんとした愛がほしい。
メイドは俺と喜作に話してはいるが、陰で俺が死んでほしいという話をしているのは言うまでもない。
そんな生活で、よく耐えられるなと思うかもしれない。
俺も実際、俺のメンタル強すぎないかと思ったこともある。
魔術学院に着くと、教室に向かった。
今日もいつもと変わらない一日なんだろうな。
そんなこと内心思いながら教室に入る。
「あ、ケリウス、おはよう」
俺に向かって走ってくる彼の名はエルド・ロアセキル。
見た目も性格もイケメンで、明るく接しやすい。
そして属性は光。
俺とは正反対だ。
エルドはなぜか、俺が闇属性と知ってるのに、普通に俺に話しかけている。
俺とエルドは友達だ。そして俺にとってかけがえのない存在。
彼がいたから俺は壊れなかったのかもしれない。
「?何ぼおっとしてんだよ」
「いや、ちょっと考え事をしてただけだ」
エルドの笑顔につられて、つい俺も笑顔になる。
俺の友達でいてくれてありがとう、エルド。




