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奴隷は魔王となり、復讐を決意する。  作者: 影月命
第10章「剣術修行」
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第101話 『修行の終わり』

「シューイチ」

「?」

「おまえが良ければなんだが、俺の仲間にならないか?」

「え」


数秒間、沈黙が流れる。

俺はこの冷めきった空間を破るように話を続けた。


「あ、否、嫌ならいいんだ——」

「いいぞ」

「え……いいのか?」

「あぁ、俺の復讐のサポートをしたくて言ったんだろ?その優しさを無駄にするわけないだろ?」

「シューイチ……」


「なんだ、また仲間つくる気か?」

「ラングだから仕方ないことよ。同情した人は全員仲間に入れたがるんだから」


ああ、ルシアの言う通りだ。


「おい、何話してんだ。真面目にやれ」


兄貴が話を遮るように言ってきた。


「すまん、兄貴。じゃ、これからよろしくな、シューイチ」


シューイチにだけ聞こえるように小声で呟くと、俺たちはまた修行を始めた。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



今日の修行が終わると、俺は森の近くにある川付近で一人で座っていた。

あたりはすっかり真っ暗になっていた。

すると、いきなり後ろから足音が聞こえた。


その音に過敏に反応し、俊敏に振り返る。

そこにはエデウスが立っていた。


「なんだ、エデウスか………ビビらせんなよ」

「ここにいたのか、探したぞ」


いつものようにだるそうに呟く。


「なんだ、なんか用か?」

「あぁ、シューイチのことでな」


彼はさりげなく俺の隣に座り込むと、話を持ち掛けてきた。


「おまえ、あいつのこと仲間にするとか言ってたが、いいのか?」

「………?…どういうことだ?」

「なんか、あいつが何か企んでるように見えたんだ」

「おまえは疑り深い性格だな。考えすぎだ」

「おまえは危機感がなさすぎだ。そろそろ世界もおまえを危険視しているはずだ。だからおまえを狙う者も現れるはず」

「そんな奴が現れても俺に敵うわけがねぇだろ。俺も色々と経験を積んでるし」

「自分が強いからって楽観的になってんじゃねえよ、このバカ!」


エデウスは偉そうに悪態をつく。

いきなりエデウスに貶され、少し腹が立ったが、それくらいなら我慢はできた。


「でも、あいつはタケルという友人に裏切られたんだぞ?少しは信じろよ」

「それに関しても嘘の可能性があるだろ」


俺が反論しても、構わず跳ね返してくる。


「おまえも過去に裏切られたことがあるんだろ。そのときに学ばなかったのか?それならまた痛い目を見――」

「おい!」


俺も怒声でエデウスの声はピタリと止んだ。


「調子に乗るな」

「……………」

「勘違いすんなよ。俺はおまえの力が欲しいだけだ。おまえは単なる道具でしかない。それを自覚しろ。おまえ、俺のことが信用できねぇのか。なんなら今この場でおまえを殺してもいいんだぞ。また別の堕天使を仲間にすればいいんだからな」


エデウスを鋭く尖った目で睨みつけ、殺意の籠った声を発した。


「………………」


俺の威圧に怖気づいたのか、エデウスは何も喋らない。

俺が怖くなったら萎縮するのか。

フン、とんだ臆病者め。

こいつを選んだのは失敗だったか。

強くても、小心者なら意味がない。宝の持ち腐れというヤツだ。


せめて俺に抗うことぐらいしろよ。

まぁでもそんなことされたら、俺は抵抗できずに死ぬんだがな。


そうだ。この際だから、こいつに奴隷紋を刻み込もう。

こいつに逆らえられたらたまったもんじゃないからな。


俺は空間から『紋章の刻筆』を取り出し、慣れた手つきでエデウスの胸に刻み込んだ。


これでこいつに襲われることはないし、逃げられることもない。

口ではあんなことを言ったが、こいつを失うと後々面倒だからな。

そう簡単に失うわけにはいかない。


「俺はもう戻るからな」


俺はその台詞を吐き捨て、エデウスを置いてみんながいるところに戻った。



それから日が経ち、兄貴の修行も終わりを告げた。


「この数日間、修行してくれてありがとな」

「なぁに、容易いことだ。弟の頼み事でもあるしな」


「…………ありがとう」


俺たちは兄貴に別れを告げ、森を抜けた。


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