第102話 『リザードマン』
闇の渦を潜り抜け、俺たちは兄貴がいた森とはまた別のある森を歩いていた。
見覚えのある光景に妙な懐かしさを感じる。
それと共に、負の感情が膨張しているのがわかった。
「こんなところに何の用があるんだよ、ラング」
盛り上がる憎しみを拳を握ることで必死で堪え、俺は質問に答えた。
「ここは………俺が住んでいた村の近くの森だ」
その声は憎悪に満ちていた。
「…それって……」
「俺を裏切って突き放した全ての元凶、エルザの下に行く」
どうやって痛めつけてやろうか。
豪快に傷つけるのもいいが、じわじわと痛みに苦しんでもらうのもいいな。
これから待っている光景を想像して、思わずニヤリとした笑みが零れる。
そんなことを考えながら森の中を歩いていると、視界に何かが映るのがわかった。
目を向けると、そこにはリザードマンの群れがあった。
なんだ、ただのリザードマンか。
スルーして通り過ぎようとしたが、目が合うといきなりリザードマンのリーダーらしき人が手に持つ矛で攻撃してきた。
咄嗟の反応で寸でのところで避ける。
「いきなり何をする!」
「うるさい!おまえら、あいつの仲間だな?」
あいつ……?
「何の話だ?」
「問答無用!」
困惑するが、そんなのお構いなしに躊躇なく襲い掛かる。
そっちがその気なら俺だって容赦しないぞ。
俺は闇を放ち、奴等は抗う暇もなく、圧倒されてしまった。
「さて、死にたくなければ話を聞かせろ。その気になればおまえらを一瞬で殺すこともできるんだぞ?」
倒れるリザードマンを見下ろしながら俺は話を訊いた。
「何か勘違いしてるんだと思います」
「だからなんで襲い掛かってきたか訊くんだよ」
「…………俺たち、何か勘違いしていたようだな」
「いいから早く理由を教えろ」
俺の圧に押されたのか、襲い掛かってきた理由をリーダーが説明し始めた。
「実は俺たち、ある男に自分たちの村を襲われたんだ。おまえらもその男も仲間だと思って一方的に襲い掛かってしまった。すまん」
目を瞑り、軽く頭を下げる。
「なんで仲間だと思ってたんだ?」
「あんたと目が合ったとき、あいつと目つきの悪さが似てると思ったからつい」
目つきの悪さが似てるから仲間だと思われるって………。
性格が似てるってことなのか?
「その男のことについて知らないか」
もしかしたら俺の野望の妨げになる存在かもしれない。
早めに始末しておかないと。
「………名前は知らんが、特徴なら知ってる」
「特徴?」
「あぁ、その男、弓矢を持っていたんだ」
「弓矢がなんで特徴になるんだよ」
「話は最後まで聞いてくれ。その弓矢が印象的だったんだよ」
「弓矢が…?」
「どんな弓矢だったんだよ」
俺はぶっきらぼうに訊くと、リザードマンのリーダーは話を続けた。




