強極伝説 6 お色気作戦ですわ♪
メルフィアとケイタたちは、森の中をしばらく進み、少し開けた場所へと出た。
そこには、数十人の人型の亜人たちが待機していた。
「なんか……まんまだな?」
ケイタが呟く。
「ふふっ……」
ミイアが苦笑する
「うん……ベタな展開だね!」
とルカ
「なんか……がっかりなのじゃ……」
陽毬は肩を落とした
「ちょっと、ここで待っていてくださいなっ♪」
メルフィアは笑顔で亜人たちの元へ向かった。
集団の中心にいた女性――サエカが、呆れたような表情で口を開く。
「メルフィア様……遅いですよ。いったい何をされていたんですか?」
「えっ……何って、犯人探しですわ!」
メルフィアは胸を張った。
「怪しそうな人達でしたので、連れて参りましたの♪」
「まあ……確かに怪しくは見えますけど……」
サエカは、遠目にケイタ達を見つめる。
「でも、よくここまで誘導できましたね?」
「あっ、それはサエカさんの指示通りにやりましたの♪」
「えっ……指示?」
「ええっ。お色気作戦ですわ♪」
メルフィアが、自信満々に答える。
サエカの顔が固まった。
「えっ……誰に色気を向けたんですか?」
(まさか……あの若いオスかしら……?)
少し不安げに尋ねる。
「誰って、あの背の高いメスですわ!」
メルフィアが、ケイタを指差した。
「なんだか、中心人物みたいでしたので♪」
「ええっ!?」
サエカは、思わず声を上げた。
「メスに色気を向けて、どうするんですか!?」
「私は、年頃のオスなら効果があるかもしれません……って言ったはずですが!?」
「えっ、そうでしたっけ?」
メルフィアは首を傾げた。
サエカは、頭を抱えた。
(この人、大丈夫かしら……?)
その時だった。
「おお〜い!まだかな〜?」
待ちくたびれたケイタが声を上げる。
「あっ、ちょっとお待ちくださいな♪」
メルフィアが、元気よく手を振った。
「俺たちは、これから宿を探さないといけないんだ」
「はい!すぐですわ♪」
そして。
メルフィアは満面の笑みでサエカを振り返った。
「じゃあ、サエカさん。やりましょうか♪」
「はぁ〜〜っ……」
サエカは大きなため息をつく。
「分かりました……」
そして表情を引き締めた。
「あなた達――まずは腕を試させてもらうわ」
周囲の空気が変わる。
蜂兵士達が一斉に武器を構えた。
ケイタは頭をかきながら前に出る。
「やっぱり、そんな展開かよ?」
サエカが右手を上げた。
その瞬間。
周囲を囲んでいた蜂兵士達が一斉に動いた。
ガガガッ!!
地面を蹴る音が重なる。
先頭の兵士が長槍を突き出した。
キィン!!
鋭い金属音が森に響く。
ケイタは片手で槍を受け止めていた。
そのまま身体をひねる。
ドォン!!
兵士の身体が宙を舞い、地面を転がった。
しかし、攻撃は終わらない。
左右。
後方。
上空。
四方向から同時に襲いかかる。
ガガガガガッ!!
連続する攻撃が地面を砕く。
だが。
誰一人としてケイタに触れられない。
紙一重。
わずか数センチ。
それだけ身体を動かし、全てを回避していた。
「……」
サエカの表情が変わる。
蜂兵士達は女王直属の精鋭。
決して弱くない。
その攻撃を。
目の前のメスは、まるで散歩でもしているかのように捌いていた。
さらに一人の兵士が、背後から斬りかかる。
パシッ。
ケイタは、振り向きもせず腕を掴んだ。
そのまま軽く投げる。
ドォォン!!
兵士は地面を転がった。
さらに二人。
三人。
四人。
次々と吹き飛ばされていく。
しかし。
誰一人として、致命傷は負っていない。
「加減してますの……?」
メルフィアが不思議そうに首を傾げる。
「当たり前だろ」
ケイタは答えた。
「殺し合いじゃないんだからな」
その言葉に。
サエカの背筋を冷たいものが走った。
今ので確信した。
このメスは。
本気を出していない。
それどころか、周囲に気を配る余裕まである。
「全員、一旦下がりなさい!」
サエカが声を上げた。
蜂兵士達が、一斉に距離を取る。
森に静寂が戻った。
ケイタは肩を回した。
「もう終わりか?」
サエカは答えない。
ただ、真剣な眼差しでケイタを見つめる。
(これは……想定以上ね……)
その横では。
メルフィアだけが、何故か誇らしげに胸を張っていた。
「ほら、言ったでしょう?」
「とっても危険な人達ですわ♪」
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