強極伝説 7 警備隊長ガルヴァス
「まあ、普通じゃないかもしれないけど……俺達は悪人じゃないと思うぜ?」
ケイタは肩をすくめた。
「なんで襲われたのか、理由ぐらい教えてくれないか?」
すると、サエカが冷たい目でケイタを指差した。
「あなたの様な、変態に教えることはありません」
「えっ!? 俺は変態じゃねぇぞっ!!」
「だって、メルフィア様の色香に反応したのでしょう?」
「えっ!!」
ケイタは思わず赤面した。
その瞬間。
「いたたたたたっ!」
ミィアが笑顔のまま、ケイタの耳を引っ張っていた。
そして――
「ケイタさん……反論ぐらいしなさいな♪」
冷ややかな笑顔で呟く。
「……………………」
ケイタは、反論できなかった。
その時だった。
森の奥から異様な気配が近づいてくる。
ガサッ――。
現れたのは数人の男達だった。
全員が武装している。
その中心に立つ男は、一目で分かるほど異質な雰囲気を放っていた。
「失礼。この森はシュガースノーの管理領域なんだが?」
低く落ち着いた声が響く。
「なぜ君達が、ここにいるのかな?」
男はゆっくりと、周囲を見回した。
そして、メルフィアを見る。
「メルビーの女王!」
その視線に敵意はない。
だが、油断もない。
「ふんっ!」
メルフィアが、睨み返した。
「先に条約を破ったのは、あなた達の方ですわ!」
「私達は……メルビーの安全のために、不届き者を処分しに来たのですわ!」
珍しく声を荒げる。
そこへ、ケイタが割って入った。
「あんた達は、誰なんだ?」
「まず事情を、確認した方がよくないか?」
男はケイタへ視線を向けた。
「私は、ガルヴァス」
「シュガースノーの、警備を任されている者だ」
短く名乗る。
「ここでの問題には、口出ししないでもらいたい!」
そして、静かに続けた。
「今なら、見なかった事にしてもいい」
「どうする? 女王」
メルフィアの眉が吊り上がる。
「ふん……面白いですわ!」
一触即発。
空気が張り詰める。
しかし。
「帰ります!!」
突然、サエカが割って入った。
全員の視線が集まる。
「えっ……ちょっと、サエカさん?」
「メルフィア様!」
サエカは、真剣な表情で言った。
「ここは、いったん引きましょう」
「分が悪すぎます」
「むぅ……」
メルフィアが、頬を膨らませる。
サエカは、構わずガルヴァスへ向き直った。
「ガルヴァスと言いましたね?」
「今日は、引きます」
「ですが、このままで終わるつもりはありませんので」
ガルヴァスは、何も答えなかった。
ただ、静かに見つめている。
やがてメルフィア達は、森の奥へと消えていった。
しばらくして。
「ふん……」
ガルヴァスが、小さく鼻を鳴らす。
「全員始末する、いい機会だったんだが……まあいい」
その言葉を残し、ガルヴァス達も軽く会釈をして、立ち去った。
再び森に静寂が戻る。
「うっ……何だったんだ?」
ケイタが、頭をかく。
「結局、俺は変態呼ばわりされただけなんだが?」
すると、ミィアが優しく微笑んだ。
「ケイタさんは、ちょっとおバカなだけで変態じゃないわ♪」
「そうそう」
ルカも頷く。
「ちょっと、残念なだけだよ」
「そうなのじゃ♪」
陽毬まで同意した。
「お前ら、全然フォローになってねぇ!!」
ケイタが叫ぶ。
しかし三人は、苦笑いだった。
「もういい!」
「宿屋を探すぞ!!」
ケイタはズンズン歩き始める。
「あっ、待つのじゃ!」
陽毬が慌てて追いかけた。
「まだ、わらわの話が終わってないのじゃ〜!!」
ケイタ達は町へ向かう。
森には陽毬の叫び声だけが響いていた。




