強極伝説 2 シュガースノー
蒼い光が森の中に広がる。
次の瞬間。
数体のベルナードが静かに姿を現した。
シュガースノー郊外。
町から少し離れた森林地帯。
ベルナード達は周囲を見回しながら、それぞれ別方向へ散開してゆく。
任務は周辺状況の確認。
そして、ベルからの依頼内容に関係する異常の調査。
ベルナードの一体が木の上へ飛び移る。
さらに一体は地面を滑るように移動する。
森は静かだった。
鳥のさえずり。
木々を揺らす風。
どこにでもある平和な景色。
しかし――
一体のベルナードが立ち止まった。
その視線の先。
草むらの奥に何かが見える。
ゆっくりと近づく。
そして。
「・・・・・・」
そこには一匹のメルビーが倒れていた。
自然死ではない。
腹部が鋭利な刃物で切り開かれている。
蜜袋だけが綺麗に持ち去られていた。
ベルナードは周囲を確認する。
争った痕跡は少ない。
手慣れている……
単独犯とも考えられるが……
複数犯の可能性が高い。
ベルナードの瞳が淡く光る。
情報共有。
離れた場所にいる仲間達へ状況が送られてゆく。
すると別方向を調査していたベルナードからも報告が入る。
同様の死骸を発見。
さらにもう一体。
そしてもう一体。
「・・・・・・」
単発ではない。
組織的だ。
ベルナード達は即座に調査範囲を拡大する。
その時だった。
森の奥。
ごく微かに残る人の気配。
それを感知したベルナード達が一斉に視線を向ける。
だが。
すでに誰もいない。
残されていたのは足跡だけだった……
――――――
「ルカ様、報告です」
ベルプリが小さく頭を下げた。
「シュガースノー周辺への、先行調査を行っていたのですが……」
「周辺森林地帯にて、不自然な魔獣の死骸を複数確認しました)
「現在、調査を継続中です」
ルカは一瞬だけ考え込む。
「そう?」
その表情に大きな変化はない。
だが、わずかに視線だけが遠くへ向いた。
「どうかしたのか?」
ケイタが、首を傾げる。
「うう〜ん……なんでもないよ」
ルカは、軽く肩をすくめた。
「ベルナードが今、町付近を調査中なんだ……」
「今のところはね……」
そう言うと、ルカは皆の顔を見回した。
「それより、準備ができたみたいだけど?」
「行く?」
次の瞬間だった。
「行くのじゃ~~~!!!」
陽毬が勢いよく飛び上がる。
「白雪わたあめなのじゃ~~~!!!」
「だから、それしか頭にないのかよ……」
ケイタが呆れたように頭をかいた。
「当然なのじゃ!」
陽毬は胸を張る。
「わらわは、この日のために生きてきたのじゃ!」
「絶対違うだろ……」
ミィアが思わず吹き出した。
「ふふっ」
「でも、楽しみだね」
「お菓子の町なんでしょ?」
「そうなのじゃ!」
陽毬が満面の笑みで頷く。
「きっと、空から綿あめが降ってくるのじゃ!」
「降ってこねぇよ」
「降ってくるのじゃ!」
「だから、根拠は?」
そんな騒がしいやり取りを眺めながら、ルカは小さく微笑む。
そして誰にも気付かれないように、そっとベルプリへ視線を送った。
ベルプリも小さく頷く。
調査続行。
ベルナード達はすでに動いていた。
ならば今は――。
「じゃあ、行きますか?!」
ルカが指を鳴らす。
その瞬間、一行の足元に蒼い転移陣が広がった。
「しゅっぱーつなのじゃ~~~!!!」
陽毬の元気な声が響く。
眩い光が一行を包み込み――。
次の瞬間。
彼らの姿は、その場から消えていた。




