強極伝説 1 白雪・わたあめなのじゃ!
本編前のご案内
※主人公の篠山ケイタは男性です。
※ストーリーの都合上、現在は少女の姿をしています。詳しい経緯につきましては、本編(異世界で速攻スライムに食われた俺、最弱融合が最強すぎる)をご参照下さい。
強極伝説 1 白雪・わたあめなのじゃ!
数日後のある日――
バンッ!!
勢いよく玄関の扉が開いた。
「オタンコ! 白雪わたあめなのじゃ!!」
突然の大声に、ケイタは思わず顔を上げた。
「えっ、なんだ!?」
散歩に出ていた陽毬が、興奮した様子で部屋へ飛び込んできた。
「お前な……俺は、ケイタだっ!何度も言ってるけど、勝手に変な名前で呼ぶなっ!!」
「白雪わたあめなのじゃ!!」
「いや、それは聞いたよ!」
「ふわふわの、あまあまなのじゃ!!」
「だから、何なんだよ!?」
陽毬は……ケイタの前まで来ると、身を乗り出した。
「シュガースノーの名物なのじゃ!!」
「シュガースノー?」
「近所の、屋台のおばちゃんから聞いたのじゃ!」
「また、そのパターンかよ……」
ケイタが呆れたように頭をかく。
すると、話を聞いていたルカが反応した。
「あっ……シュガースノーか?」
「知ってるのか?」
「うん。ちょっとベルナから、頼まれていた事があるんだ……」
ルカは少し考えた後、
「丁度いいから……行こうかな?」
と言った。
「さすがは、コマなのじゃ〜!!」
陽毬は大喜びで飛び跳ねた。
「そのコマって呼び方、ちょっとイラッとするんだけど……」
ルカは苦笑する。
その時――。
ガチャ。
訓練から帰ってきたミィアが、部屋へ入ってきた。
「ただいま〜」
そして騒がしい室内を見渡す。
「えっ……何かあったの?」
陽毬は待ってましたとばかりに振り返った。
「ミャー!白雪わたあめなのじゃ!!」
「ええ〜っ!? 何それ?」
「それと私は、ミイアなんだけど?!」
「ふわふわの、あまあまなのじゃ!!」
「ええ〜っ!! なんか食べものの話?」
陽毬は大きく頷く。
「そうなのじゃ!」
するとルカが説明した。
「近所の、屋台のおばちゃんから聞いたみたいだよ」
「ああ〜っ……」
ミィアは、納得したように頷いた。
「いつものパターンね?」
「失礼なのじゃ!!」
全然否定になっていなかった。
陽毬は胸を張る。
「シュガースノーに行きたいのじゃ!!」
「ふわふわ、あまあまなのじゃ〜!!」
両手を広げながら力説する。
「この世の、天国なのじゃ!!」
「あっ……そこに行きたいんだ?」
「そうなのじゃ!!」
ミィアは少し考えた。
だが、その前にルカが口を開く。
「でもミィア、シュガースノーって結構遠いはずだよ?」
「えっ、そうなの?」
ミィアは陽毬を見る。
「陽毬ちゃん、遠いんだってよ?」
「遠くても、行きたいのじゃ!!」
即答だった。
ケイタは額を押さえる。
「お前なぁ……」
その時だった。
「あの〜……ルカ様」
控えめな声が響く。
ベルプリだった。
全員の視線が集まる。
「ある程度の方向さえ分かれば、ベルナードを何体か向かわせ、高速移動で場所を特定できますが……」
「へぇ〜〜っ?!」
ルカが興味を示す。
ベルプリは続けた。
「場所の特定さえできれば、転移も可能です」
「そうなの?」
ルカは少し考える。
「じゃあ、それをやっといて」
「ついたベルナードは……悪いけど、そのまましばらく待機ね」
「かしこまりました」
ベルプリは優雅に一礼した。
「準備が整いましたら、ご報告致します」
そう言って、静かに姿を消す。
ルカは、みんなの方を向いた。
「だって?」
「あっ……ベルナードか?!」
「なんか……なんでもありね……」
一瞬の沈黙。
そして――。
「やった〜のじゃ〜!!」
陽毬はその場で、謎の踊りを始めた。
くるくる回り、
ぴょんぴょん跳ね、
最後は両手を広げて決めポーズ。
ケイタは、深いため息を吐いた。
「……仕方ねぇな」
その様子を見ながら、
ミィアは小さく笑った。
「ふっ……」




