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9話:『雷光都市ルミナリア』

開拓開始から2年、人口はついに2万人を突破。

もはや単なる「辺境の開拓地」ではなく、

立派な大都市、いや一つの国家に匹敵する

規模へと膨れ上がっていた。


これほどの街を無名のままにしてはおけないと、

領民たちの間で自発的な話し合いが行われ、

この街は二人の名を取って『雷光都市ルミナリア』と正式に命名された。


街を囲む白亜の城壁の上空には、今日もルミナスの『紫電』が美しい淡い光の膜を張り巡らせ、

巨大な結界となって住民たちを優しく、

そして絶対的な力で守り続けていた。


また急増する冒険者たちを統率し、効率的に魔物の

素材を回収するため、ルミナリア独自の

冒険者ギルドが設立された。


ギルド長代理に就任したのは、すでに街の誰もが認める実力者となっていたカイルだった。

王都のギルドのように貴族へのおべっかや中間搾取はなく、クエストの報酬は全額冒険者の手に渡る

クリーンな運営。


さらに、アルスが『鑑定』によって事前に周囲の魔物の生態や弱点、正確な生息数を完全にデータ化して

共有していたため、ルミナリア所属の冒険者の生存率は、驚異の「99.2%」という前代未聞の数字を

記録した。


都市が大きくなれば、当然食料の自給率が問題になる。しかしここでも、ルミナスの「不吉」とされた

力が奇跡を起こした。


現代の科学における「落雷の多い年は豊作になる


(雷によって空気中の窒素が地中に固定される現象)」


という知識をベースに、アルスはルミナスに、広大な農地へ向けて超微弱な、雨のような電撃を定期的に降らせるよう依頼した。


結果は劇的だった。それまで何を入れても作物が育たなかった赤茶けた不毛の荒野が、わずか数ヶ月で、

王都の特級農地をも凌駕する、

黄金色に輝く大穀倉地帯へと変貌を遂げたのだ。


ルミナリアの噂は、病を患う者や傷ついた者たちの

救いの神ともなった。


アルスの『アイテムボックス』には、時間停止の恩恵により、大陸中の秘境から採取された最高級の薬草が、まるで今摘んだかのような「成分濃度100%」の状態で山のように保管されていた。


これを用いた特効薬の処方に加え、ルミナスがコントロールする微弱な電流を用いた「電気刺激治療

(細胞の活性化と神経麻痺の回復)」が組み合わさり、他国では治らないと言われた難病や大怪我さえも

数日で完治する、大陸最高峰の

医療環境が確立された。


そして開拓劇が始まってからわずか5年。ルミナリアの戸籍登録者は、ついに15万人の大台を突破した。


これは王国の首都の全人口に匹敵する規模である。


ここには、身分制度による不当な差別もなければ、

明日のパンに困って凍える子供もいない。


かつて実の家族から「不吉な天災の象徴」と罵られ、すべてを奪われて追放された少女の力は、

いまや15万人の民の命を繋ぎ、その行く末を

照らす、神聖でかけがえのない「聖なる光」

となっていた。

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