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辺境から始まる2人の伝説  作者: サンダー
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4話:四次元の倉庫、開放

「よし、安全な壁の作り方は分かった。

次は生活拠点の確保だな」


アルスはそう言うと、誰もいない空間に向かって

一歩踏み出し、右手を大きく振るった。


「――『アイテムボックス』」


空間がぐにゃりと波打ち、まるで透明な扉が開いたかのように、漆黒の亀裂が宙に現れる。


アルスのもう一つの特殊属性『アイテムボックス』。それは容量無限、中に入れたものの時間は完全に停止するという、国家規模の輸送をも一人で可能にするチート能力だった。


「さーて、王都を出る前に、親父のツテと俺の全財産を使って買い込んでおいた物資を吐き出すか!」


アルスが手を差し入れると、空間の裂け目から、信じられないような光景が広がった。

どさどさ、と音を立てて現れたのは、最高級の防水布で作られた大型の魔導テント。さらに、ふかふかのベッド、木製のテーブルや椅子、数ヶ月分は優に耐える乾燥肉や小麦粉の袋、果ては最新式の調理器具まで。


「ちょっと、アルス!? あなた、いつの間にこんなものを……!」


「お前を追放するって決まったその日の夜から、寝ずに仕入れてたんだよ。伯爵家があれこれケチくさい荷物しか用意してくれないのは分かってたからな」


アルスはへへと笑いながら、手際よくテントの骨組みを並べていく。


「時間停止だからさ、王都のなじみの店で買った出来立ての熱々スープやパンも、この中に大量に入ってるぞ。今日の夜は宴会だな」


何もかも奪われ、着の身着のままで放り出されたと思っていたルミナスだったが、アルスの準備の良さは、王国のどの貴族の遠征よりも豪華なものだった。


数時間後。


アルスの『アイテムボックス』から取り出された物資と、ルミナスの『雷属性』によって加工された強固な黒岩の防壁によって、荒野の真ん中に奇妙な、けれど信じられないほど快適な「家」が完成していた。


周囲を頑丈な紫電の防壁で囲まれた敷地の中央には、仕切りがいくつもある巨大な高級テント。中に入れば、王都の高級宿屋と遜色ない家具が並び、魔導具のランタンが温かい光で部屋を照らしている。


テーブルの上には、アルスのボックスから取り出されたばかりの、湯気を立てる具沢山のシチューと、焼き立ての香ばしい香りがする白パンが並んでいた。


「まさか、辺境に着いた初日に、こんなに温かいご飯が食べられるなんて思わなかったわ」


スプーンを持ったルミナスが、感極まったように呟く。

「だろ? 俺のサポートがあれば、どこだって一級のホテルに変えられるさ。まぁ、これからもっとデカい家にするけどな」


アルスはパンを千切り、シチューに浸しながら豪快に笑った。


「ええ。この黒い岩を使えば、もっと広い敷地を囲めるわ。魔物が来ても、あの壁なら追い返せるものね」

「おう。俺たちがここで快適に暮らせば暮らすほど、王都のあいつらは勝手に悔しがる。最高の復讐だと思わないか?」


「ふふ、そうね」


ルミナスは微笑み、シチューを口に運んだ。

温かい味が、身体の芯まで染み渡っていく。

実の家族に捨てられ、最果ての地に追放された

二人の17歳。しかし彼らには、絶望している

暇などなかった。


アルスの無限の収納と鑑定、そしてルミナスの

最強の雷。

二人の規格外な開拓スローライフは、

この温かい食卓から、爆速で始まっていくのだった。

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