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辺境から始まる2人の伝説  作者: サンダー
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24/30

24話:異国の天才軍師と、金の嵐

周辺4カ国連合による「75万の大包囲網」の報に、

大陸全体が緊迫感に包まれていた頃。


雷光帝国の白亜の城門の前に、一人の奇妙な旅人が

立っていた。


眩いばかりの金髪をツインテールに結い、

小柄ながらも無駄のない引き締まった体格。


その手には、身の丈ほどもある巨大な魔導書を

抱えている。


「ふん、ここが噂の『雷光帝国』ね。

無限のエネルギーだか何だか知らないけど、

成金国家が調子に乗って……まぁ、私の頭脳が

あれば、あの75万の烏合の衆なんて一瞬で消し炭にしてあげるんだから!」


彼女の名はルナ・コーライン(18歳)。


遥か海の向こうにある高度な魔導文明を持つ

異国から、ある「目的」を持ってこの地に

流れ着いた、

自称・世界最高の魔法使いにして天才軍師であった。


総督府の謁見の間。


ルミナスとアルスの前に引き出されたルナは、

物怖じするどころか、不遜に胸を張って言い放った。


「私がここに来たのは、べ、別にあんたたちを助けるためじゃないんだからね! 大陸のパワーバランスが

崩れて、私の研究の邪魔になるのが嫌なだけよ!

感謝しなさいよね!」


「……アルス、この子、なんだかすごく忙しい

性格ね?」


ルミナスが呆気にとられたように首を傾げる。


「まぁ、絵に描いたようなツンデレだな。

おーい、ルナちゃん、とりあえずその抱えてる

魔導書、重そうだから床に置いたら?」


「ル、ルナちゃんって呼ぶな! 馴れ馴れしい男ね!

これは私の脳細胞の結晶なんだから!」


ぷいっと顔を背けるルナに、アルスは苦笑しながら『鑑定』を飛ばした。


その瞬間、アルスの目がわずかに見開かれる。


【ルナ・コーライン】

職業: 異国の魔導軍師 / 特級元素魔法使い

固有スキル: 『千陣の戦術眼(マルチ・タクティクス)』 / 『広域元素干渉』


説明: 異国で最年少にて軍師の称号を得た天才。

地形と魔法を組み合わせた集団戦闘の構築において、彼女の右に出る者はいない。

ただし、素直になれない性格が災いし、

前の職場をクビになった。


「なるほど。ただの口うるさい金髪じゃなくて、

本物の『天才』か」


アルスの言葉に、ルナは顔を真っ赤にして怒鳴った。


「天才なのは当たり前よ! それよりあんたたち、

75万の軍勢に囲まれてる自覚あるの!?」


ルナは謁見の間のテーブルに、自身が書き下ろした

精緻な迎撃陣形図を広げた。


「いい? 敵は4つのルートから同時に進軍してくる。

私の広域魔法で東の平原を沼地に変えて足止めし、

そこをカイルとかいう勇者に――」


「あ、ルナちゃん。その必要はないわ」


ルミナスが穏やかに、しかし絶対的な声音で遮った。


「え……?」


「東の平原に近づいた軍勢は、私の『紫電』で一発

で無力化する予定だから。

少しだけ雲を集めれば、一瞬で終わるわ」


ルミナスが指先を鳴らすと、室内の空気が一瞬で

パチパチと放電し、ルナの金髪が静電気でふわふわと逆立った。


「な、なによこの魔力量……!? 馬鹿じゃないの!? 魔法の教科書を根本から書き換える気!?」


ルミナスの「人間を辞めている」出力を間近で感じ、ルナの軍師としてのプライドは、出会ってわずか数分で早くも崩壊しかけていた。

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