21話:旧王国の自滅
雷光帝国の建国は、完全に旧王国の息の根を止めた。
公式に独立が大陸全土へ布告されると、旧王国に
残っていたわずかな商人や知識層も
「未来のない国に用はない」と、雪崩を打って
雷光帝国へと亡命。
国境線は実質的に崩壊し、旧王国はただ広大な
「治安の悪い過疎地」へと成り下がった。
かつてルミナスを追い出したアルートス伯爵は、
平民にまで身分を落とされ、いまや雷光帝国から
流れてくる安価な小麦を買うために、毎日配給の
列に並ぶ悲惨な余生を送っていた。
彼が「あの時、ルミナスを捨てなければ……」
と呟いても、誰も耳を貸さなかった。
「さて、陛下。
お祝いムードもそこそこに、次の仕事だ」
アルスが『アイテムボックス』から、世界地図を
取り出してテーブルに広げた。
そこには、隣り合う大帝国や海洋国家からの
「同盟締結」を乞う親書が山のように積まれている。
ルミナス光熱による無限のエネルギーと、
アルスが支配するコストゼロの超空間物流網。
この二つを敵に回せば、どんな大国であれ数ヶ月で
経済的に干渉され、干からびることを世界の首脳陣は理解していた。
「私たちは侵略はしないわ。
だけど、私たちの民の平和を脅かす者には、
容赦なく紫電の鉄槌を下す。……行きましょう、
アルス。私たちの、新しい国の未来へ」
「おう、どこまでもお供するよ、俺の可愛い女帝陛下」
最果ての荒野から始まった、追放令嬢と幼馴染の
開拓劇。
それは、理不尽な世界を塗り替え、大陸の頂点へと
君臨する『雷光帝国』の永遠の神話として、
後世まで語り継がれることになる。




