12/15
12話:決別の意志
ルミナスは引き出しから、ルミナリア特産の
真っ白な高級便箋を取り出すと、万年筆を執り、
迷いのない美しい筆致で一言だけを書き記した。
『お断りいたします。私の愛する家族も、私の守る
べき民も、もうすべてこの地にございますので』
それは、彼女の幼少期を縛り付けていた
アルートス伯爵家という偽りの血脈、そして傲慢
極まりない王国に対する、完全なる「決別宣言」で
あった。
手紙は使者の手によって、そのまま王都へと送り返された。
それを受け取った王家とアルートス伯爵家が、
プライドをズタズタに傷つけられ、激高して
「力ずくで奪い取る」という暴挙に出ることは、
火を見るより明らかだった。
「……来るなら、来ればいいわ。ねえ、アルス?」
「ああ。俺たちの理想郷に泥靴で踏み込もうってなら、その足ごと、跡形もなく焼き尽くしてやろうぜ」
夕日に照らされ、美しく輝くルミナリアの街並みを
見下ろしながら、二人は静かに、しかし最高に不敵な微笑みを交わし合うのだった。




