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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ②

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領主、挨拶を間違える

夏が近づいてきて、朝日が昇る時間も早くなり、俺の爽やかな目覚めも早くなった。


サマータイム導入の世界なのか? いいや、違う。この世界に遮光カーテンなどないからだ。

ま、分厚いカーテンを重ねる方法もあるけど、朝日を浴びて目が覚めるのは健康にもいいことだから、俺も起きますよ。ええ、二度寝なんてしませんとも。だから起きるから、ちゃんと起きるから、シーツを引っぺがすのを止めろ、ディーン!


「まったく、もう」


アーリーティーを飲みながら、しれっとした顔で支度を進める従者を睨む。


今日は、執事長であるベンジャミンとクラーク、騎士団長のハリソンとともに西側領地サレルノへ赴く。

いつもの気軽な視察とは違い、とうとうラスキン博士仲介のもと領民たちと面談するのだ! 何があるかわからないから、シャーロットちゃんは今回はお留守番。そして、ディーンもお留守番。


こいつ、今回連れて行かないことを不満に思って、拗ねてやがる。

いつの朝より少々雑な手つきで身支度を整えてもらい、朝食を食べ、早々に馬車へと乗り込む。


「お父様……お気をつけて」


プルプルと震える両手を胸の辺りで組んで、愛娘が白豚父を見送っている。ええ子やー、本当にこの子はええ子やー。


「それでは、無事のお帰りを」


通常運転なのはノーマン。こいつはいつもお留守番組だからな。今日は厄介な義兄のディーンが残っているから、上手に付き合ってやってくれ。


シャーロットちゃんの両隣にはメイド長のライラと専属メイドのマリーが付き添い、がっちりと彼女を守っている。


んで、もう一人のメイド、メイはなぜか俺を睨んでいる。ものすごく殺意を込めて睨んでいる。

あれれれ? おかしいな? メイとは王都へ行ってから多少態度が和らいだと思っていたんだけど、白豚の勘違い?


あまりにも鋭いメイの視線に冷や汗をダラダラと流し、つい顔だけでなく体ごとメイの視線上から逸れてみた。


「ん?」


メイの視線が俺を追いかけてこない? ずっと同じところを睨んでいるみたいだ。そっと自分がいたところの後ろを盗み見ると、そこには俺の護衛でもあるハリソン騎士団長が引きつった笑いを浮かべ突っ立ていた。


お、おまえかあああぁぁぁぁぁっ!


どうやら、ハリソンとメイの間には複雑な親子関係があるみたい。いや、年頃の娘が父親を無意味に嫌うというものかもしれん。


ふわはははははははっ! 俺とシャーロットちゃんは仲良しだもなねーっ。ざまぁっ、ハリソン!


なんだかわからない高揚感に包まれて、俺は馬車へと……、よいしょっと、乗り込んだんだ。














西側領地サレルノは今日も魔虫カイコの飼育小屋以外、何もない平地……あれ?


よいしょっ、よいしょっと馬車を下りた俺の目に、いつもの西側領地サレルノとは違う風景が見える。


「ベンジャミン。ハーディング侯爵家からの職人たちって、もう仕事を始めているのか?」


「いいえ。そのような話は聞いておりませんが……」


なんでもできるオールポート伯爵家の執事長もちょっと困惑気味。だって、工事予定地の場所に目印のように細い木が建てられて、建物のスペース予定地が紐で囲まれている。

川沿いも人が立ち入らないよう板で簡易な壁ができているし……実は井戸を数か所掘ろうと考えていたんだけど、その場所にも細い木が立っててるんだよ。


「セシル様」


「ああ……ラスキン博士。あの、あれって……」


俺が指さした方向に視線を向けることなく、ラスキン博士はやや固い表情で俺に頷いてみせた。

ラスキン博士の視線の先には、ここに隠れ住んでいたオールポートの領民……税金未払いの人たちだから領民と言っていいのか困るが、俺が護るべき民たちがいる。


ぐっと気持ちを引き締めて俺は一歩を踏み出した。


「おわっ」


「おっとと。気を付けてくださいセシル様。あっちこっち掘り返しているみたいで、土が柔らかい。足を取られますよ」


後ろに控えていたハリソンの逞しい腕に支えられちっゃた。キャッ! じゃねえわ!


くっそ、綿花や亜麻畑を作るよう指示したのが自分だから、誰にも文句が言えない。もう、ちゃんと歩道と畑予定地はわかるようにしておけよっ! 工事予定地を区切る親切さがここにもほしい!


ドスドスとやや体重を足に乗せ、俺は歩いた。後ろで苦笑しているベンジャミンとハリソンは無視して。


……痩せているな。


領民全員が揃っているとラスキン博士から報告は受けている。何もない平地にオドオドした表情で座っているのは、だいたい子どもも合わせて五〇人ぐらいか……。

年寄りも多いし、ひとり親、両親が揃っていても片方の親は病持ちなのか顔色が悪く周りと比べても一段と痩せ細っていた。

働きざかりの年代でも、怪我をしていたり腕や足に欠損が見られた。


何人かおばさんが固まって隠すようにしているのは、若い女性だ。俺のことを警戒しているのかもしれんが、元々セシル君は女性不信だろうし、白豚の俺もそんな気になれないよーだ。ブヒー。


ラスキン博士を右側に、ベンジャミンを左側に立たせ、ちょっと強面のハリソンと代官のクラークを後ろに従えて、俺は領民の前に立つ。


「本日はお集りいただき、誠にありがとうございます」


あれ? なんかちがうな……。

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