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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
オールポート家編

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父親、騎士にキュンする

伯爵家のエントランス、しかも以前この屋敷を牛耳っていた下品ママたちは庭に興味がなかったせいで、木々や咲き誇る花々も視界を遮るものが何もない門扉から丸見えのエントランスで、熊男と髭を剃れ、剃りたくないと揉めていると、何やら馬の蹄の音が聞こえてきた。


パッカラパッカラと軽やかな音ではなく、ダダダンダダダッという複数の騎馬隊の早駆けみたいな爆音ですけど。


「ん? 他に騎士たちを連れて帰ってきたのか?」


俺が門へと視線を向けたままハリソンに問いかけると、熊男はコテンと首を傾げてそれを否定した。


「いいや。俺はとりあえずベンの話を聞こうと単騎でここに来た。部下たちはのんびりと後から来る予定だ」


のんびり来るなよっ。オールポート領の騎士不足で、お隣のハーディング侯爵家から借りているんだぞ。


「じゃあ、誰なんだろう」


いや、ここに用があるわけじゃないだろう。ただ通り過ぎるって場合もある。その場合はハーディング侯爵領地に行くってことだけど。

なんだか嫌な予感もするので、シャーロットちゃんとライラ、マリー、ディーンとノーマンを屋敷の中へと下がらせた。

ベンジャミンと俺と熊男、なぜかメイがエントランスに残り、近づいてくる馬の音に耳を澄ませる。


「セシル様。この音、ここを目指しているみたいです」


「だよな。まさか盗賊ってわけじゃないよな」


王都に近い中堅貴族狙いの盗賊? しかも白昼堂々と? ハハハ、まさかそんな大胆な犯行、え? まさかのまさか、この世界ってそれが当たり前なの?

怖い思考に頭を占領され、ガクブルする体をベンジャミンと熊男が後ろに下がるよう引っ張り、二人が壁のように俺の前に立つ。


「何騎だ?」


「さて、こちらに来るのは二、三騎。だが、どこかで待機させている場合もある」


ハリソンは腰の大剣を鞘から抜いて両手で持ち構える。ベンジャミンもスッとジャケットの胸に手を入れナイフを二本抜き出した。

へ? そんなところに武器を隠し持っていたの? それが執事の嗜みなのか?


「セシル様。邪魔です」


ドンッと俺の体を突き飛ばしたのは、メイドで一人残ったメイだ。その手にはピシンとしなる長い鞭がある。ムーチー! なにそれ? それもメイドの嗜みなわけ?


いろんなことに頭が益々ぐるぐーるしてきた俺だけど、先頭を走る黒馬が門の向こうに見えて、ゴクリと喉を鳴らした。

白豚伯爵の俺だけど、こんなピンチに遭うなんて、聞いてないよーっ。

















黒く美しい馬に騎乗するのは、漆黒のマントを翻す凛々しい騎士だ。

銀色に輝く鎧に包まれた体は逞しく、陽の光を浴びて神々しいまでに輝いている。

艶のある黒髪の遠目でもわかる鼻の高さ。射抜く金色の視線が、熊男の姿にさらに強さを増した気がした。


「ありゃ、王宮の騎士じゃねぇか」


ハリソンの言葉にベンジャミンがくるりとこちらを向いた。そう、お前、城で何かやらかしたか? と主人である俺に問う目だ。

焦った俺はブルブルルと頭を激しく左右に振った。


ばか、お前。俺は春の社交を立派にやり遂げてきたわ! 兄上のいらんサプライズで王族に挨拶することにはなったけど、粗相はなかった。

ちょっと王妃様と第二王子が俺の見事な白豚ぶりに目を見張って二度見、三度見してたぐらいだわ……て、それが不敬罪になるとか言わないよね?


門番などいないため、閉じられた門の前で馬がカツカツと足踏みしている。

ハリソンとベンジャミンは互いの顔を見合わせた後、ハリソンがのしのしと大股で歩いて騎乗した騎士へと近づいていった。

その騎士の後ろから二頭の馬が追い付いてきたのが見えた。


「お~い、ここに何の用……」


ハリソンがのんびりとした顔で声をかけると、騎乗した騎士はスラリと銀色に光る剣を抜いた。


「ハアーッ。当たり前です。ハリソンの奴、抜刀したままですから」


あら、ほんと。敵意を隠さずにビシバシに相手へ向けたら、そりゃ向こうさんも警戒するだろうよ。


「私は王都騎士団副団長のルーカス・ウェントブルックだ。貴殿は何用があってオールポート伯爵邸にいる。領民から怪しい者が領主邸へ押し入ったとの報告がある!」


あー、ハリソンの奴、あんなマタギみたいな恰好して貴族屋敷になんか来るから、不審者扱いされたのね。


「そういえば、南方の魔獣狩りのため王都の騎士団が通行するとの通知がありましたね」


「そうだったな」


別に歓待する客でもないし、うちの領地にお金を落としていく客でもないから忘れてたけど。


「俺はここの騎士団の団長だ」


「嘘を吐け。オールポート伯爵騎士団の団長、ハリソン・クィン殿は王都の騎士たちも尊敬する騎士だ。貴様のような風体ではない」


断言されてやんの、ハリソン。ぷっくくくくっ。


「ちょっと、笑ってないでなんとか言ってくださいよ」


ハリソンが困った顔でこちら小走りで戻ってきた。

いや、来ようとしたのだけれど、そのときキラリンと騎士の目が光り、「ハッ!」と短い掛け声とともに門を馬でぶち抜いてきやがった。


「え、えええーっ!」


なにしてくれてんの?

そして、騎士様はハリソンの前に回り込むとピタリとハリソンの首に剣の切っ先を当てる。


「オールポート伯爵様に何をするつもりだ」


やだ、かっこいい。


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