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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
オールポート家編

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父親、物件ツアーに胸踊る

西側領地サレルノについての予想図と設計案、予算案などをまとめ、必要な援助として大工職人や人工、当座の食料など遠慮なく強請る手紙を書き、我が愛しの兄上様へ送った。


兄上が病的なブラコンだったら、これらの工事に即時着工するだろうが、さすがにそこまでではないと思うので、何度か交渉が必須だろう。

だから、それを見越してかなりの金額を吹っ掛けたのだから。商売ってそんなもの。何度か交渉して、恩を売ったり泣き落としをしたりして、大体が予想する金額に落ち着くのだ。いわゆる、様式美の一つなので、この白豚は身内の脛を齧り過ぎとか思わないように。


さて、次は……領都クレモナの店舗の視察……というか、トビーたちの店の予定地を一緒に見学に行くのだ。

現地ではクラークの秘書ケイシーと合流予定。彼女希望のお洒落で美味しいカフェやパンとタルトの店を引っ張ってきたから、俺への信頼度はかなり高くなっていると思う。


「シャーロットちゃんは一緒に行かないほうがいいか……」


「そうですね。例の貴族相手のイベントに参加したときは何もなかったですが、未だに悪役令嬢という噂が領民の間で囁かれていますので」


キーッ! なんであんなにいい子なのに「悪役令嬢」なんて噂されてんの!

俺のせいだけど。くそっ、セシル君が人生を諦めていたせいで下品ママに引っ掛かり、余計な者たちをオールポート領に入れちまったから、シャーロットちゃんが苦労しているんだ。


なんとか、シャーロットちゃんの評判を上げたい。つーか、本来のシャーロットちゃんをみんなに自慢して回りたいっ!

俺はギリギリと悔しさに歯ぎしりした。


「すごい顔になってますよ、セシル様。ほら、トビーたちが待ちかねています。そろそろ出発しましょう」


「わかったよ」


今日のお供はディーンとメイ。マリーとライラはシャーロットちゃんの傍へ。ノーマンは屋敷内の仕事。ベンジャミンは……人探し?


「はい。そろそろコーディの奴にヒマを出された前騎士団長たちを探してこようかと」


「そうか。騎士団も整えて領都の治安改善もしないとな……」


本当にやることが山積みでイヤになるぜ。しかも、その山積みの仕事にテンションが上がる、自分の社畜根性もイヤになる。


「では、行こう」


「くれぐれも思いつきでなんでも口にしないでください」


あ、はい。すみません。

ベンジャミンのマジなトーンの忠告に、ちょっとウキウキしていた俺の気持ちがぷしゅうっと萎んだのは言うまでもない。






















役所と噴水広場を真っ直ぐに貫くメインストリートのプリマヴェーラと交差する通りエスターテの真ん中、つまり噴水広場でケイシーと待ち合わせ。


やや緊張気味のトビーとヘクター男性陣と、どんなお店にしようかお喋りが止まらないリタとヘレンの女性陣。

見事なぐらいに醸し出す雰囲気が違う。俺の能力で見なくてもわかる。トビーとヘクターの「(オーラ)」にはグレーの水玉が増えていることだろう。不安なんだよ、自分の店が持てるって言っても、王都の店のように繫盛しなければ後がない。

田舎に帰りたくても金はない……もしかしたら借金がかさんで返済するだけの人生になるかもしれない……と思っていそう。

そんなことにはさせないけどね。


「お待たせいたしました。では、物件にご案内いたします」


クールビューティーのケイシーがスタスタと早足で近づいてきて、ペコリと礼をしてすぐに踵を返しスタスタと……おおーい、挨拶もなしかよ。

トビーとヘクターが涙目になっているぞ。リタとヘレンは疑いもせずにケイシーの後についていかないの!


まずは、トビーの店候補からだ。

どちらかと言うと役所に近い区画で、三つ隣にはラグジュアリーホテルにしようと思っている五階建てのホテルがある。このホテルには、ハーディング侯爵ご紹介の彼らが働いているはずだ。


「トビーさんの店では、良質なスイーツと飲み物が提供できるとのことですので、こちらの店舗をお勧めします」


ケイシーがピタリと足を止めたのは三階建ての白い外壁に所々アクセントとして青いタイルが貼られている建物だ。屋根も光沢のある青い石材が使われていて二階にはバルコニー、三階には花台のある窓がある。


「かわいい」


リタが呟くとトビーは無言で力強く何度も頷いた。


「こちらは一階、二階が厨房と店舗で三階が住居となっています」


ケイシーは肩から下げたバッグからこの店の間取り図を出した。そして、鍵も取り出すと鍵を開けて店の中へと入っていく。


「ん? 狭いな」


俺が店に入って最初に感じたのは外で見るよりも中が狭いことだった。これでは客席が十分に用意できないぞ。


「この店は厨房が自慢なのです。最新式の魔道具も揃っていますのでコンロはもちろんオーブンや冷蔵、冷凍庫も完備。パントリーも広くとってあります」


説明しながらケイシーが指で示すのはドアのない上部が半月型の出入り口だ。


「そ……そんな、そんな素晴らしい厨房が……」


トビーとヘクターが何かに誘われるようにフラフラとその出入り口へと吸い込まれていった。

おいおい、大丈夫か?


「「ギャーッ! こ、これは」」


「おい、どうした? ディーン、見てこい」


「はいはい」


はいは一回です!

しょうがないだろう、俺の体は俊敏な動きには向いてない仕様なんだよっ。


この後、ディーンに無理やり引きずられて出てきた二人は夢見る少女のようにうっとりとしていた。

どうやら厨房の設備が整い過ぎていて、夢を見ている気分になったらしい。

あー、さよで。


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