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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
社交シーズン春①

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伯爵、試食する

トビーの乱入事件後、執務室でのんびりと書類仕事をしていた俺は、つい先日開かれた夜会のことを思い出していた。


あいつ……王都騎士団副団長のルーカス・ウェントブルック。

めちゃくちゃ男前だったあの軍神様だ。


懐かしさを覚える黒い髪と冴えた金色の瞳。

俺の耳元で囁いた……俺の名前「セシル」は心臓がドクンと動き不整脈が発生する始末だ。


年頃はセシル君と変わらないとしたら、軍神様は学園での知り合いかもしれん。

あいつは騎士だが、セシル君は残念ながら筋肉派ではなかった。どちらかというと頭脳派で、兄上の話では学園を卒業したら文官として王宮で働くことがほぼ決まっていたとか。


しかも、今の俺は白豚なので、あいつが知っている学園時代の大天使へ進化中のセシル君とは似ても似つかない。


う~ん、俺の聞き間違いだったのかな? だいたい兄上が俺の名前を叫んでいたから、俺が「セシル」だってことはわかりそうだし。


ブルブルルと頭を振って、ルーカスのことは忘れることにした。

騎士団の副団長様と会うこともないだろうし、ね。


無理やり頭から軍神様の残像を追い出していると、ディーンがトビー紹介の料理人が来たことを知らせにきた。


「そうか……。じゃあ昼食のときに試食する。お前も付き合えよ」


同席させるのは、別にディーンに対する嫌がらせではない。トビーたちのお墨付きもあるから、それなりに味はいいのだろう。

問題は俺の舌。セシル君は舌が肥えているかもしれないが、俺は不味いと美味いしかわからん。

なので、前回に引き続き今回も味のわかる者と一緒に試食するのだ!

















いつもの食堂に何人か給仕以外の使用人が加わり少し狭く感じる。


俺の前には緊張で顔を青くしたディーンと同じ年頃の男と男と同じ髪色瞳の色の女性が座っている。

テーブルには男が作ったと思われるパンとパイとタルトが数種類ずつ置かれているが……茶色だな。パンも丸パンとクロワッサンみたいなパンで総菜パンとか菓子パンは見当たらない。

パイもツヤツヤとしてはいるが中身が見えないし、断面も茶色だよ。ミートパイかな?

んで、タルトは……ジャム? フルーツが盛られているとかじゃないんだ……。前世の中高生が見たら絶句するだろうね。もはやSNSにあげるためにカメラを起動することもないだろう。

ゴクリと彼らの後ろに立って見守っているトビーの喉が鳴る。


「じゃあ、いただこう」


まずは丸パンから。黒パンだと固くて酸っぱいんだっけ? この丸パンはふわふわもっちりとしている。

うん……美味い。噛んでいると小麦の甘味が広がる……気がする。

クロワッサンもサクサクでバターが濃い~。あー、コーヒー飲みてぇ。


パイは……うん、ミートパイだね。もしゃもしゃ。美味いけどなぁ、俺はアップルパイとか旬の果物と生クリームとかカスタードクリームとかのパイが好き。

んでこちらはタルト。タルト……ジャムか……。いや、美味いけど、タルト生地が美味いけど……ジャムか……。


なんでこっちの世界は「デコレーションする」という意識がないのか……残念だ。


しかし、基本は美味いのでトビーと同じくしばらく「デコレーションする」技術を教えていけばいいか。

俺はひと口紅茶を飲んで、審査員である使用人たちの顔を一人一人じっくりと見回す。

うん、みんな満足げに頷いているな。合格だ、合格。


ニッコリ笑っても頬の肉の厚みが邪魔して口角が上がらないから、トビーの顔を見て大きく頷いてやる。


「セシル様ああぁぁっ」


いや、泣くな。まだ早い。俺、まだ何も言ってないだろう?


「トビーと同じ条件での出店を許す。契約は後でベンジャミンと済ましておいてくれ」


あー、パンとパイとタルトってカロリー高いよね? 今日はダイエットメニューをちょい厳しめにしないと、オールポート領に帰ったときにシャーロットちゃんに「お父様、変わってないですね?」と思われてしまう。


「あ、名前聞くの忘れてた」


「す、すみません。おれ……わ、私はパンを焼いてますヘクター。こっちは妹でヘレン。パイとタルト担当です」


ペコペコと兄妹揃って頭を何度も下げる。トビーも下げるがお前はもういい。


「火事に遭って大変だったな」


俺が労うとヘクターは顔を歪ませた。


「……いいえ。よかったのかもしれません。あのままではいずれ借金を背負って店を畳むしかありませんでしたから」


う~ん、たしかにちょっとお洒落なパンやパイは職人たちの食事にはならないし、タルトにも手を伸ばさないよなぁ。

女の人や子どもが通る場所なら繁盛したかもしれないけど、トビー同様に場所が悪かったな。


「本当にトビーとリタから話を聞いて驚きました、しかも自分たちにもチャンスがあるなんて」


妹のヘレンは夢見る瞳で天井を見るが、そんなところに夢も希望もないぞ。


「ちなみにトビーからデコレーションの話は?」


「「?」」


あ、トビーの奴動揺している。手をバタバタとしてリタに抑えられている。お前……恩人に対して秘密を守ったのか……いい奴だな。

もちろんこの二人もいい奴だ。


だって「(オーラ)」が教えてくれるんだもーん!


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