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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
陰謀編 領地経営④

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202/203

領主、果物を試食する

リグーリの三人の村長の中で、一番オールポート伯爵である俺に噛みついてきた東リグーリの村長は、えぐえぐと子どものように泣きながら、一通り東リグーリを案内してくれた。うん、麦畑しかなかった。こちら側に建てる予定の場所の凡その見当をつけておき、職人の出入りがあることを容認させておく。


そして、俺は念願の土いじりもさせてもらった。……麦畑じゃなくて村長の家の家庭菜園で。どうせ素人だよ、くそっ。


東リグーリの村長に涙ながらに見送られ、今度は南リグーリへ。


今日は、南リグーリの麦畑と果樹を見学したら、村長宅で一泊する予定だ。楽しみだなぁ、果樹。なにがあるのかなぁ。葡萄とかあったらワイン造りとかできるかな? いいなぁ、酒。ハッ! ホップがあればビールができる……ってこの世界にもエールはありました。ワインもあるし……目新しい酒なら日本酒だけど、米がないのよ。どっかの国でやってないかな、稲作。


南リグーリに着いて馬車を下りると麦畑もあるが民家の後ろに聳える木々に圧倒される。夏だから緑の葉も瑞々しく輝き、風に揺られサワサワと音を奏でている。涼しい風が木々を通り抜けて俺の頬を撫でる。


「わぁ、避暑地に来たセレブの気分」


うっとりと目を閉じてその気分を満喫している俺は気づかなかったが、俺の意味不明の言葉にディーンと南リグーリの村長は首を捻っていた。避暑地とセレブは禁句だな。

まずは一休みしてからと一杯のミルクを手渡された。ミルク? この暑い日にミルク? せめて冷えた麦茶にしてほしい……。


「っんぐ! 美味い!」


ミルクの濃厚さと甘さ、なのにスッキリとした後味。美味すぎる、コレ。ああ……これでソフトクリーム作ったら美味いだろうなぁ。でも氷関係の魔道具をわざわざ設置して……いやいや、待てよ? ヴァゼーレの魔石を使った魔道具を作って、南リグーリの牛乳を使いクレモナでソフトクリームを売る。これ、いけるんじゃね?


俺は新たな商機ににっこりと笑顔になった。残念なのは、この麦畑の視察にクラークとチャールズが参加していないことだ。そもそもクレモナのスイーツ担当はケイシーちゃんだけどね。クラークたちは昨日、俺が思いつきで話した物々交換のルール作りに頭を悩ませている。すまん、すまん。


「このミルクってどれぐらい取れるの? 牛って何頭いるの? チーズって何種類作ってる?」


伯爵様からの怒涛の質問攻撃に目を黒白させて、南リグーリの村長は麦畑ではなく牧場へと案内してくれた。うん、麦畑は東西リグーリで堪能したから、もういいや。































牧場で家畜たちと戯れ……、まあ、俺が一方的に追いかけまわされたともいう。美味しいミルクだけでなくヨーグルトとチーズも試食した。ハムつくらないかな、生ハム。あれ、どうやったらできるんだっけ? おっと、想像しただけで口の中にヨダレがじゅるるる。


そして牧場の次は果樹です。あったらいいなと思ったらありました、葡萄の木。ワインは作ってなくてジュースやジャムは作ってた。ううむ、オールポート産のワインを作りたい。前世のワイン造りの知識は皆無だから、この世界のワイン職人をどっかから引き抜いてこないとな。ふふふ、秋の社交シーズンでまた人材探しだぜ。


他にも桃に似たピンク色の甘い果実がなる木や、爽やかな香りの柑橘系の果実もあった。ちゃんと試食しましたよ。当然でしょ。俺が領主なんだから、領地経営のためにも、しっかりと味わって……じゃなかった、何を作っているのか把握しておかないとね!


「セシル様。少し木陰で休みませんか?」


「そうですね。こちらに作業時に休む場所がありますよ」


ディーンの誘いに村長がいい場所へと誘導してくれる。果樹に囲まれたそこは、いくつかの切り株が椅子になっているおとぎ話の挿絵のようなところだった。


「なんか雰囲気があっていいな。涼しいし!」


木陰だし風は通るし、麦畑や家々も見える場所で気持ちがいいぞ。俺はさっそく切り株に腰かけて水筒から冷たい麦茶を注ぐ。ディーンが止める間もなく自分で注いだ。そしてグビッとな。ぷはぁっ、うまっ。


「あ、すみません。ちょっと呼ばれたので行ってきます」


果樹の世話をしていた者に呼ばれ村長がバタバタと駆けていく。俺の護衛のブランドンは東リグーリとの境に建てられる騎士の詰所から、ここまでのルートを確認しに馬を走らせていた。他の騎士たちも果樹の試食に散らばっている。


「のんびりした場所ですね」


ディーンも切り株に座り、冷えた麦茶をがぶ飲みしている。ずいぶんと汗をかいたしな。水分補給は大事だ、俺もグビグビッと。


「あ……。セシル様、馬車からタオルを持ってきます。それで汗を拭きましょう」


別に汗が垂れてても気にしないが、ディーンは慌てて馬車へと走っていく。たぶん、俺の首に巻いたタオルを取り上げたから、気にしているな? そうなんだよ、こう暑くて汗をかく日は、首にタオルを巻いているとすぐに拭くことができて便利なんだよ。ディーンも、ひとつ勉強になったな。


ふむふむ、と一人で頷いていると、サッと影が濃くなって俺の足元を覆う。なんだろうと顔をあげて振り向くと……。

首に衝撃。倒れる俺を抱きとめるのは……ああ……なんでお前がここにいるんだ?











どうして……そんな苦しそうな顔で俺を見るんだよ……ハリソン。


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