↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
陰謀編 社交シーズン春②

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

186/216

伯爵、執事の正体に慄く

ディーンが自分の質問にまごまごとしている様子にため息を吐いたヴァスコは、お茶をひと口含んでゆっくりと語りだした。


「セシル様。私がここ、オールポート家に仕えることになった経緯はご存知ですか?」


「う~ん、確か先々代、シャーロットちゃんの曾祖父に雇われたってベンジャミンから聞かされたような?」


ベンジャミンよりも強者の雰囲気が漂うヴァスコは、引退していたオールポート前々伯爵に見出され執事としてオールポート伯爵の王都屋敷に勤めることになった。領地屋敷にいるベンジャミンとの交流は頻繁ではないようだったが……いつの間にベンジャミンの弱味を握ったんだ?


「そう、私はこの伯爵家では新参者です。マリーよりも少し長いぐらいです。当時、私に声をかけてくださった伯爵様は引退していましたし、その隠居されていたお屋敷で勤め始めたら、あっけなく伯爵様はお亡くなりになってしまいました……」


わざとらしく白いハンカチで目元を拭うヴァスコだが、あれは嘘泣きだろう。


ヴァスコの話では、自分を取り立てた伯爵が亡くなり、王都屋敷へと配置転換となる。しかし、しばらくすると年老いた王都屋敷の執事が引退させられ、領地屋敷から執事長がやってきた。それはベンジャミンから追い落とされた彼の父親で、オールポート伯爵令嬢と一緒にセシル君を罠に嵌めた奴だ。


「ええ。それはもう、王都屋敷に来たときからベンジャミンへの呪詛を吐きまくりでした。ディーンにとっては祖父でしょうが、あの男は執事としても父親としてもあまり質は良くない男でしたよ」


ニコニコ顔で言い放つ言葉ではないが、ディーンは涼しい顔で流している。どうやら祖父に対して情はないらしい。


「私の仕事の邪魔でもありましたので、すぐに隠居に追い込んでやりました」


ぺかーっと後光が差す菩薩顔で、どえらいカミングアウトをぶち込んできやがった!


「そのことは……ベンジャミンは承知の上で?」


「感謝されましたよ? そのときにうっかりとベンジャミン殿のあれやこれやも知ってしまいましたが。ハハハ」


「ハハハ」


こわーっ! 怖いぞ、この人! やっべ、俺は絶対にヴァスコには逆らわない。怖いもんこの人。物騒な話をしてるのに笑顔が優しいって、サイコパスじゃん。


「……ただ、私が王都屋敷に来たときにはセシル様への企みは成された後でした。知っていれば……」


クッと唇を噛むヴァスコに、じ~んと胸が熱くなる。ごめん、サイコパスって思って。まさかセシル君の悲劇に同苦してくれるなんて……。ん? 聞き違いかな? ヴァスコ、お前、いまなんて言った?


「そんなお家騒動ぐちゃぐちゃなときに、隠居老人の看病していたなんて……一生の不覚ですっ!」


「……なんだって?」


どうやら、ヴァスコは元々王宮に仕える使用人だった。王宮や王家といえばドロドロとした権力争いや血で血を洗う相続問題。謀略と裏切りのど真ん中で、そのあれやこれやを楽しもうと考えていたが……、王宮は平和だったし王族は穏やかな人格者が揃っていた。仲睦まじい王家とそこそこの地位で満足している貴族たち。ヴァスコは思った。こんなつまらない職場はとっとと辞して、お家騒動で揉めそうな家に勤めよう。


「おまっ! 最低だなっ。底意地悪いぞ? なんて悪趣味な覗き見主義なんだ!」


俺、知っている。これってば前世の「〇〇は見た!」だ。だからお前はオールポート伯爵家に勤めたんだな? そのときにはオールポート伯爵令嬢の我儘とハーディング侯爵家子息との婚約話のやり取り、そしてハーディング侯爵夫人のやらかしは社交界では有名だったと思うしな。


「失礼な。覗くだけなんて愚かしい。私はそのお家騒動でめちゃくちゃになっているのをテキパキと片を付けるのが趣味です!」


なんじゃこいつ? ヴァスコってこんな奴だったの? 有能な奴だなぁとは思っていたけど、自分の能力の使い方が間違っている。ディーンも俺の隣でポカーンと口を開けて絶句しているじゃないか。


「候補はいろいろとありました。ハーディング侯爵家やウェントブルック辺境伯家。プレイステッド辺境伯家……でもやっぱり潜入しやすいのはオールポート家でした。それなのに、一番の腕の見せ所で失敗するとは……本当にセシル様には申し訳ありません。ついでと言ってはなんですが、ベンジャミンの父親にはしっかりと報復しておきましたので」


「……怖いことを笑顔で報告するな。まぁ、結婚のときは手が出せなかったのはわかった。じゃあその後は?」


怖いもの見たさ精神で訊いてしまった。だって、結婚は阻止できなくてもその後には適切に処理ができたんじゃないの? 傷心なセシル君をハーディング侯爵家に帰すとか、コーディたちが乗り込んできたときに排除するとか?


「……セシル様のことは適時ハーディング侯爵家へ報告はしておりましたが、ご本人が頑なに周りを拒絶しまして。私は一服盛って縄で縛ってハーディング侯爵家へ強制送還しようと思いましたが、当時の侯爵様、セシル様のお父上が万が一のことがあったらと反対されました」


「もっと丁寧に扱え。……たぶん、セシル君の精神が危うくて自害の可能性も考えたのかな?」


そのときのセシル君はまだ儚い美青年だもんね? 白豚へと変身するのはその後だもん。


「あとは……やっぱりベンジャミン殿のやらかしですかね?」


ヴァスコは「ハッ」と鼻で笑い、お茶で喉を潤した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。