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転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~  作者: 緒沢 利乃
領地経営編 ③

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領主、魔獣と遭遇!

ヴァゼーレのほぼ廃鉱山から、俺の予想どおり魔石をみつけることができた!


でも、宝石の原石のように坑道内の壁とかからじゃなくて、下から見つかった。地面、つまり地下。今までも緩やかに下降しつつ掘り進めていたが、掘った坑道はそのままに魔石欲しさにガツンと地下深く掘っても大丈夫?


「セシル様、セシル様。犬じゃないんだから本気で掘り始めないでください。一度、町まで戻ってあちこちに報告書を出しますよ」


「えーっ」


ディーンのつまらないお小言に頬を膨らまし顔を上げると、「ぶふっ」とブランドンたちが噴き出した。ハリーまで変な顔で口を引き結んでいる。


「あ~あ、顔をこんなに土で汚して」


呆れた顔をしたディーンが、白いハンカチで俺の顔についた土汚れを拭ってくれた。うん……拭かれた場所が頬っぺたはまだしも、鼻の下とおでこなのはどうしてかな? なんでそんな場所に土がついた?


ぺっかぺかになった俺は満面の笑みで両手に持った魔石を、うりゃとディーンに見せびらかす。


「どうだ! 鉱山を閉じなくても魔石鉱山として採掘を続けていけるぞ!」


調査が必要だから、ヴァゼーレとしてはしばらく辛抱してもらわないといけないが、いずれは魔石鉱山の町として賑やかさを取り戻せるだろう。


「セシル様。その魔石はハーディング侯爵家に送り、まずは魔石鑑定士の鑑定を受けましょう」


ブランドンがひょいひょいと俺の手から魔石を取り上げていく。むむっ、ちょっと残念。でも、ハーディング家は自領に魔石鉱山を持っているから、これからの手続きや調査にも詳しい。うむ、すべては兄上に任せておけばいいのだ!


「あ、兄上はいま、俺の娘と一緒に王都に行っているんだ」


「承知しております。魔石については先代が詳しくそれなりの伝手もありますので、こちらはハーディング領へ。もちろん、王都のレイフ様にも送り、王家への報告に用立ててもらいましょう」


とにかく、報告書を書くことからは逃げられないみたいだ。しょうがない、真っ暗な鉱山から這い出て町へと戻りましょうか。しゃがんでいた体を起こし服に付いた土をパンパンと手で払う。


パンパン。ひえええっ。……パンパン。ひぇぇっ。


「なんだ? って、なにやってるーっ!」


魔石に夢中になっている間に坑道の隅でハリーがハーディング家の騎士に囲まれているし、おいおい、騎士の一人が剣を抜いちゃってるんだけど?


「セシル様。こいつ、ここで魔石が採掘されたことを外に知らせに抜け出そうとしていました!」


ビシッと敬礼しながら報告されても、それだけで抜き身の剣をチラつかせられたら、怖ぇーわ。


「セシル様、相変わらずボケボケですね。当然、魔石のことは極秘ですよ。あの案内人の口が滑らないように、喉を潰すか命を取るかって話です」


「ひえええぇぇぇぇっ」


こわっ。ディーン、こわこわっ。お前たちの発想が乱暴すぎて怖いんですけど?


「ブ……ブランドン。あまり、乱暴なことは……」


ブランドンの服の袖を指で摘まんでプルプルとしていたら、彼は頼もしくコクリと頷いてくれた。


「わかっています。あの者とは魔道具で沈黙の契約を結んでおきましょう。レイフ様から予め魔道具はお預かりしています」


おおーっ、兄上ったら準備がいい! そうそう、前世より人の命が軽い世界だけど、俺の前でバッタバッタと人を斬ってもらったら困るんだよ。主に俺の精神衛生上……。


「ディーン殿もあまりセシル様をからかうな」


ブランドンが苦笑してディーンの肩を軽く叩いて戒めている。なに? ディーン、お前ってば、俺をからかっていたのか? てへっと笑っても誤魔化されないんだからねーっ!































ハリーの口止めに成功した俺たちは鉱山から出て外の空気を胸いっぱいに吸い込む。はぁーっ、シャバの空気、サイコー! ……って、また騒がしいんだけど、今度はなんだよっ。


「ん? ハリソンたちがはしゃいでるな?」


鉱山からやや離れた所で、ハリソンたちが剣を片手にバタバタと走り回っている。レナードたち鉱山夫は剣を構えて、どこかを凝視しているみたいだ。


「あっちになにが……ふへぇ? ふへへへへえええぇぇっっっ!」


「セシル様、変な声で笑わないでください」


バ、バカヤローッ! 俺は笑ってんじゃない! あ、あれ、あれあれ、ディーンのバカ、あっちを見てみろ!


俺はガクガクと恐怖に振るえる体に叱咤して、そこを指で示した。

俺たちよりも高い場所から見下ろす無慈悲な金色の瞳。闇より濃い漆黒の体は周りの同胞よりも一回りも二回りも大きく巨大だ。太い足にはすべてを引き裂く爪、威嚇し唸る口元には鋭い牙が覗く。


「……魔獣だ……」


ハリソンたちは俺たちが鉱山に入っている間に魔獣と遭遇したのだろう。ハリソンたちが、これ以上魔獣が町に近づかないよう追い払おうと立ち回り、レナードは魔獣からラスキン博士を守っている。

……ラスキン博士が子供みたいに興奮している姿が目に移ったら、ちょっと冷静になった。


「ブランドン、魔獣が出た。刺激しないようにここから離れるぞ」


「はい」


うむ、ブランドンたち、ハーディング家の騎士たちは魔獣との交戦経験も豊富だから、冷静な判断ができるので安心だ。ハリソンみたいにあわよくば一太刀とか野望もないし、レナードみたいに隙を狙って突撃しようとも考えもない。素晴らしい騎士たちだ!


ねぇ、わかった? メイも大人しく撤退しようね? そんなに鼻息荒く剣を抜いてどこに行こうとしてたんだよ……。お前……父親似か?


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