36 高馬 Day4
それからは他愛のない話をしながら帰った。猫の魅力だとかみたらし団子の「み」はなんの意味があるのかとか、気が付いたら家の前だった。
「・・・えっと、送ってくれてありがとうございました」
「あ、お弁当箱返して」
「あ、はい、取ってくるから待っててください」
「えー、高馬君の家、行ってみたいなー」
「いやぁ・・・結構汚いですし」
「じゃ、私が掃除してあげるからちょっとだけ見せてよ」
「・・・まぁ、いいですよ」
エレベーターに乗り込み、4階のボタンを押す。支倉さんは俺にぴったりとくっついてきた。
「ただいま」
「おじゃましまーす」
靴を隅に揃え、久しく使ってなかった来客用のスリッパを出す。加藤には出し忘れたな。まぁいっか。
「ここが高馬君の家かぁ」
「何にもないですよ。コーヒーでも飲みます?」
「あ、欲しいかも」
「じゃ、ちょっと待っててくださいね。淹れます」
豆を入れ水を入れ、ボタンを押す。しばらくしたら落ちるはずだ。
「これ、お弁当箱です。ごちそうさまでした。おいしかったです」
「あれ、わざわざ洗ったの?別によかったのに」
「まぁ、お借りしたものですし」
「いい子だねぇ」
戸棚からスティックシュガーを取り出し、牛乳も冷蔵庫から出す。
「・・・高馬君、冷蔵庫もう1回開けてくれない?」
「いいですけど・・・はい」
冷蔵庫の中には納豆、キムチ、ネギ、卵の他にはゼロコーラ、レッドブルや牛乳などが個々のスペースを尊重しながら置いてあった。
「・・・え、ほんとにご飯はカップ麺とかだけなの?」
「そうですよ」
「・・・今から買い物行こ」
「や、俺食材買っても調理せずに腐らせるんで買わないでください」
「・・・でも不健康が過ぎるよ」
「別に長生きしたいわけじゃあないんですけどね」
「高馬君、その発言だけは許せない。撤回しなさい」
支倉さんは静かにそう言った。声を荒げないのが逆に怖い。
「・・・すみません」
「高馬君が傷つくのは嫌だし、ずっと一緒に生きたいから長生きして。わかった?」
「・・・・・・」
「返事は?」
「はい」
「うん、じゃ、ご飯行こっか」
「・・・」
「返事は?」
「はい」




